第62回(令和3)講談社児童文学新人賞受賞作『黒紙(くろがみ)の魔術師と白銀(しろがね)の龍』が舞台化され、秋田の劇団わらび座により上演された。原作者の鳥美山貴子(とりみやま・たかこ)さんは「夢みたいだった」と振り返り、舞台化の裏側と初日公演で味わった感動を語った。舞台は、わらび座創立75周年記念企画の大がかりなもので、2026年11月23日までのロングラン公演の予定。
(舞台写真:コンドウダイスケ)
『黒紙の魔術師と白銀の龍』
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物語が広がっていく喜び
舞台化のお話を頂いたときは、半分夢を見ているようでした。喜びといっしょに、こんなことが自分の身に起きるなんて、と信じられない気持ちでした。
この物語には、生き物に変わる折り紙、大きな龍や鳥も出てきます。いったいどう表現するのだろう。そんな驚きに似た思いもありました。
舞台化という言葉は、それからしばらくの間、頭の中でふわふわと浮かんでいました。
実感がわいてきたのは、脚本をいただいたときです。
上演時間の制約がある中で原作を再現してくださり、さらに魅力を引き出してくださった内容に感激しました。
懸念していた、折り紙の生き物、大きな龍や鳥たちも、素晴らしいご縁を頂き、フィギュアとして現実になっていきました。
実際に稽古場にも足を運び、舞台裏も見せていただきました。ひとつの舞台がたくさんの人の力で支えられていることを知り、胸がじんとしました。
迎えた公演初日はとにかく緊張していました。舞台ですからお客さまの反応を肌で感じることになります。
そわそわしているうちに、折り紙のとんぼを飛ばす冒頭のシーンが始まりました。歌が流れるとしぜんに涙があふれ、舞台にすいこまれていきました。
本から登場人物たちがそのまま目の前へ立ち上がってきたようです。
龍と鳥が出てくるシーンはもう圧巻です。ラストは感無量でぼろぼろと泣いていました。
劇場で多くの方と感動をともにできたのは素晴らしい体験でした。帰りに本をお持ちになってサインを求めてくださった方、声をかけてくださった方と話すうちに、また胸がいっぱいになりました。原作者としてはこの上ない幸せなひとときでした。
自分の中に生まれた小さな物語が本となり、ミュージカルという新たな世界へ羽ばたいていく。私自身も想像しなかった景色が広がっていました。舞台化を通して出会えたすべての方へ感謝の思いでいっぱいです。
──鳥美山貴子
『フィギュアシアター「黒紙の魔術師と白銀の龍」the Musical』演出を担当された栗城宏さんが2026年5月13日お亡くなりになりました。初稽古をみて感激している鳥美山さんに、「これからもっとよくなる。これからですよ」と力強くおっしゃったことがとても印象に残っています、と鳥美山さんがお話しくださいました。上の写真で鳥美山さんの向かって右に座っていらっしゃるのが栗城さんです。謹んでご冥福をお祈りいたします。
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鳥美山 貴子
秋田県出身。2021年、『黒と白の対角線~おりがみおとぎ草子~』で第62回講談社児童文学新人賞を受賞。改題・改稿した『黒紙の魔術師と白銀の龍』でデビュー。2026年同作がわらび座で舞台化。
秋田県出身。2021年、『黒と白の対角線~おりがみおとぎ草子~』で第62回講談社児童文学新人賞を受賞。改題・改稿した『黒紙の魔術師と白銀の龍』でデビュー。2026年同作がわらび座で舞台化。