ニシダは昔から「ビワアンコウみの強い生き方」をしていた byサーヤ
──事前に本展にまつわる資料をいろいろとご覧になり、お二人の印象に残った生きものは?
サーヤ:たくさんいますが、体の部位によりオスとメスが混在しているギナンドロモルフという個体がいることを初めて知って、「そんな面白い存在を、今まで知らずにいたのか!」と思いました。
サーヤ:性が途中で変化する生きものがいることは知っていましたが、オスとメスが1つの個体に混在するというのは驚きでしたし、人間には“女の子っぽい”“男の子っぽい”といった表現がありますが、生きものにはそれ以前の存在もいるのかと視野が広がりました。
ニシダ:音声ガイドの原稿を通じて、爬虫類の多くは卵を温める環境の温度によってオスメスが決まるということを知り、不思議だなと思いました。
30℃以下と33℃以上の場合はメスになり、30~32℃台の場合はオス、もしくはオスとメスが半々の確率になるそうです。環境によってはどちらかがめちゃくちゃ多いというケースもあり得るのか、それで生態系のバランスに問題は出ないのだろうか……と、新たに気になる部分が出てきました(笑)。
今回の原稿に目を通す作業は、僕にとってまさに学びだった気がします。
──今回の展示で、親しみを持てた生きものというと?
ニシダ:ヒグマはオス同士が戦い、勝者がメスをゲットするという構図は、人間から見ても非常に分かりやすいなと思いました。
オオフウチョウのオスは鮮やかな黄金色の長い飾り羽をもっていて、1本の木に10〜20羽ほど集まり、集団でメスにアピールするというのも「オシャレなヤツがモテるんだな」と納得できるというか(笑)。
その一方で、まったく違うパターンやアピールで繁殖戦略を勝ち抜く生きものもいて、本当に生きものによって“モテポイント”が違うんだなと実感しました。
サーヤ:私は今回のグッズでぬいぐるみになっているビワアンコウが、ニシダに似ているなと思いました。
サーヤ:ビワアンコウのオスは、メスを見つけるとメスの体に嚙みついて離れず、メスから栄養などの恩恵を受け続けるんです。ビワアンコウのそうした生態を知って、「ニシダは昔から、ビワアンコウみの強い生き方をしていたんだな」と改めて思いました。
ニシダ:反論のしようがないですね。僕にとっては、理想の生き方かもしれません(笑)。
特別展は、生きものたちの性に関する正しい情報が得られる場
──お二人は子どものころや学生時代、生きものの生態などに興味はありましたか?
サーヤ:生物の授業は好きでしたし、自然と遊ぶなど生きものにフォーカスした番組をよく見ていました。
ニシダ:僕も子どものころ、動物のバラエティー番組が大好きでよく見ていました。今に至るまでわりとずっと興味がある分野で、YouTubeなどでも生きもの系のコンテンツを楽しんでいます。
──性教育については、どのような形で受け止めてきましたか。
サーヤ:私が通っていた中学・高校が女子校ということもあったと思いますが、性教育について手厚くきちんと学ぶ場があり、私はそれを当たり前と思っていたんです。
ところが世に出て同い年の子と話してみると、状況がかなり違っていて驚きました。また大学で性に関する講義を取り、性や性別、性愛、性的指向、ジェンダーなど、ひと口に「性」と言ってもいろいろなことを含んでいるという内容を学びました。
世の中にジェンダーというワードがこれだけ出てくる以前に、私は授業で知っていて、卒業してからポツポツそういう話題が世間で出始めたという体感があり、そのころから「性に対する情報や認識を積極的に広める方向で、何かしら携われたら」という想いがあったので、今回のお声がけを嬉しく思っています。
ニシダ:僕は中高一貫の男子校に通っていて、性教育は教科書の内容をなぞる形で進んでいったと思います。10代ということで照れや気恥ずかしさもあり、きちんと真面目に勉強したという感じではなく、大人になってから知ることのほうが多かった気がします。思い返すと、やっぱり中高生や大学生の時点での知識には怪しいものも多かったなと(笑)。
僕が中高生のころはギリギリ、まだスマホがない時代だったので、個人で手に入れられる情報には限りがありましたが、今は誰もが手軽にたくさんの情報に触れられる時代になりました。
その中には誤った情報も混在しているので、正しい情報発信をしてくれる場所があるといいですよね。今回の特別展が、そういう場になるのではないかなと思います。
──サーヤさんが作詞作曲、ボーカルを担当するバンド「礼賛」が、本展のイメージソングを担当しますね。
サーヤ:現在、礼賛では来年のリリースに向けてアルバムを制作中で、その中に収録される新曲『つれない』が、この特別展とピッタリだということでイメージソングに採用していただきました。
たまたまなのですが、「鋭い角が光って見えた」「近づいて乗っ取ろうとする」といった歌詞と今回の展示とがリンクするところも多く、不思議な縁を感じています。
子どもと性の話をすることへの抵抗やためらいを払拭する機会に!
──「生きものの性」というテーマを、親子でどのように楽しむのがおすすめですか?
サーヤ:どのタイミングで誰が行っても「面白い!」と感じる展示で、デートや親子でのお出かけ先としてはもちろん、たとえ暇つぶしで足を運んだとしても、どこかで何かに好奇心をくすぐられ、誰も置いてけぼりにならない内容になっていると思います。
私たちのファンの方が『(ラランドがアンバサダーを)やっているから、行ってみるか』くらいのきっかけで訪れても、きっと興味をもつと思うんです。
性がテーマというと、親御さんとしては少し構えると思いますが、逆にこの特別展をきっかけに性教育へとシームレスに入っていける気もするので、お子さんと一緒に来場していただいて大丈夫だと思います。
ニシダ:いわゆる性的なものというより、生きものたちの奥深い、不思議な生態の話が圧倒的に多いので、親子で気まずくなるということはないと思います。お子さんが親と一緒に見るのを恥ずかしがるようなら、ぜひ我々のオーディオガイドを聞いてください!
生きものたちの情報と二人の掛け合い、どちらもラフに聞ける内容になっていて楽しんでもらえると思いますし、気まずさを払拭できると思います。
──今回の特別展は、生きものたちの生態を通じて、親子で「性」や「生命の多様性」について自然に語り合える素晴らしいきっかけになりそうです。最後に、子育てや学びの情報を届けているWebメディア「コクリコ」読者の皆さんへ、お二人からメッセージをお願いします!
サーヤ:この記事を読んでいる子育て世代の読者さんは、ご自身の親から性教育を受けてこなかった世代かなと思っていて。性の話は恥ずかしいものとして、親子できちんと話をしないまま大きくなってしまったゆえに、自分が親になったときに、子どもと性の話をすることに抵抗やためらいがあるような気がします。
でもこれからの時代、その感覚を少しずつ変えていかなければいけないと思うんです。それには、この特別展のような取っ掛かりから入るのが一番いいんじゃないかなと。
生きものたちの性の話から入ったら、人間の性の話にもすんなり入っていけるかなと思うので、ぜひこういうエンタメで、性の話を自分たちの中に取り込んでもらえたらいいですね。
ニシダ:僕自身、5~6歳のときに親が連れてってくれた博物館のことなど、32歳の今も覚えているものが結構あるんです。
子どものときにどんな体験をするかによって、興味関心の方向もわりと決まってくると思いますし、今回の展示はお子さんの記憶にも何かしら刻まれ、いい思い出のひとつになるんじゃないかなと思います。迷っているようでしたら、ぜひ足を運んでほしいです。
●ラランド
上智大学のお笑いサークルで結成されたお笑いコンビ。M-1グランプリ2019、2020にて2年連続準決勝に進出。サーヤは川谷絵音らとのバンド・礼賛(らいさん)でボーカルを務め、2026年9月にはTOYOTA ARENA TOKYOでの2DAYSのライブを成功させた。俳優として『最高の教師』、『新空港占拠』(共に日本テレビ)、『じゃああんたが作ってみろよ』(TBS)などドラマにも多数出演。
ニシダは短編小説の執筆活動を重ね、これまでに『不器用で』『ただ君に幸あらんことを』の2作の小説集を出版。俳優として、多くのドラマに出演している(俳優はニシダ・コウキ名義で活動)。公式YouTube『ララチューン』の登録者数は、現在166万人超え。
サーヤ:1995年12月13日生まれ。東京都出身。
ニシダ:1994年7月24日生まれ。山口県出身。
取材・文/木下千寿
撮影/安田光優
特別展「生きものたちの性」
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