小学校教師だった経験を生かし、子どもたちが夢中になる本をたくさん書きのこしたクレメンツ。子どもに本を手渡す大人からの支持も高い作家です。
アメリカで学校物語の帝王とよばれているアンドリュー・クレメンツ。小学校教師の経験を生かし、子どもたちが生き生きと活躍する痛快な物語を書き、全世界で何百万部も読まれている児童書作家です。
2019年11月に惜しまれながら亡くなりましたが、その最後の作品『秘密のフリンドル・ファイル』(原題THE FRINDLE FILES)が2026年2月26日に発売になります。
この遺作はなんと、クレメンツのデビュー作『合言葉はフリンドル!』(原題FRINDLE)の続編なのです。30年前のデビュー作の続編を最後の作品として遺したクレメンツ。物語のようですね。
『合言葉はフリンドル!』でクレメンツの作品をはじめて日本に紹介し、その後もたくさんの作品の訳を手がけてきた翻訳者の田中奈津子さんに、クレメンツ作品の魅力について教えていただきました。
『合言葉はフリンドル! (新版)』
続編『秘密のフリンドル・ファイル』
米国の学校を舞台に生徒と先生の間で「デジタル対アナログ」戦争が勃発
本作は『合言葉はフリンドル!』の続編として、クレメンツさんが2019年11月に亡くなる直前に、編集者に送ったものです。その原稿は、編集者やご家族によって手を入れられたのち、2024年、「The Frindle Files」として出版されました。
クレメンツさんにとって長編児童書デビュー作である『合言葉はフリンドル!』は、新しい言葉を作ってそれを流行らせようとするニックと、厳しい国語教師グレンジャー先生との「言葉の戦争」を描いたものです。騒ぎが大きくなった要因は、新聞、テレビなどのメディアに取り上げられたことでした。
それから30年たった現在、世の中に影響を与えるメディアとして、新聞やテレビのほか、インターネット、SNS、ユーチューブなどが加わり、自分で情報を発信できるようになりました。
作者はそういった世の中の変化を、続編の『秘密のフリンドル・ファイル』にうまく取り入れています。
主人公のジョシュはコンピューターのプログラミングが大好きな少年です。
ところが、国語のN先生は超アナログで、作文の宿題は手書きで提出しなければなりません。教室では電子黒板は使われず、チョークで書く黒板しか使われません。
あまりの時代おくれかげんにうんざりしていたジョシュですが、あるとき、ペンのことを「フリンドル」という新しい言葉で呼んで、それを全国的に流行させたニックという少年のことを、ネット検索で知ります。
その少年の顔つきは、なんと、N先生にそっくりなのです。
少年の名前はニコラス・アレン。N先生の名前はアレン・ニコラス。あやしすぎます。ジョシュはこの二人が同一人物かどうかを探ろうとします。
一方、アナログな国語の教室でノートパソコンを使わせてもらえるよう、仲間たちとある行動を起こします。
その結果「デジタル対アナログ戦争」ともいえるような状態に……。
(『秘密のフリンドル・ファイル』訳者あとがきより抜粋)
デジタル時代を生きる子どもたちとどう向き合うか?
その後、ジョシュたちは、ある海賊版の書籍と闘うことを決めます。ジョシュたちらしく、デジタル機器を使いこなし、自在に協力し合う姿は胸がすくようです。
そして、彼らをとりまく親や学校の先生の行動は、「経験があり、信頼できる大人」のものでした。ジョシュたちは反発しながらも、向き合い、知恵と協力を求めていきます。
『合言葉はフリンドル!』から30年の時を経て発表された『秘密のフリンドル・ファイル』。
30年の間に、わたしたちを取りまく環境は激変しました。
デジタルとどうつきあうか? デジタルにどっぷりつかった子どもたちとどう向き合うか?
子どもたちにあたたかい視線を向けつづけてきたクレメンツの渾身の答えがここにあります。
アンドリュー・クレメンツの作品









































田中 奈津子
翻訳家。東京都生まれ。東京外国語大学英米語学科卒。『はるかなるアフガニスタン』が第59回青少年読書感想文全国コンクール課題図書に、『アラスカの小さな家族 バラードクリークのボー』と『わたしのアメリカンドリーム』が厚生労働省社会保障審議会推薦児童福祉文化財に選ばれている。翻訳は他に『こちら「ランドリー新聞」編集部』『ぼくたち負け組クラブ』『橋の上の子どもたち』『ホロヴィッツ ホラー』(以上、講談社)など。
翻訳家。東京都生まれ。東京外国語大学英米語学科卒。『はるかなるアフガニスタン』が第59回青少年読書感想文全国コンクール課題図書に、『アラスカの小さな家族 バラードクリークのボー』と『わたしのアメリカンドリーム』が厚生労働省社会保障審議会推薦児童福祉文化財に選ばれている。翻訳は他に『こちら「ランドリー新聞」編集部』『ぼくたち負け組クラブ』『橋の上の子どもたち』『ホロヴィッツ ホラー』(以上、講談社)など。