プロの画家は知っている! ぬりえを「おしゃれ」に仕上げるコツ

「はりねずみのルーチカ」シリーズの画家・北見葉胡さんにインタビュー

画家:北見 葉胡

ぬりえに興味はあるけれど、なんとなく敷居が高く、手を出しづらいと感じていませんか。

またぬりえに挑戦したことはあっても、納得のいかない仕上がりになってしまい、途中でやめてしまったという人も少なくないでしょう。

童話「はりねずみのルーチカ」シリーズや「りりかさんのぬいぐるみ診療所」シリーズ(ともに作・かんのゆうこ)などを手がけてきた画家の北見葉胡(きたみ ようこ)さんに、簡単におしゃれなぬりえが仕上げられる方法を教えていただきました。

北見さんは『花ぬりえ絵本 不思議な国への旅』のなかで、71ページにも及ぶぬりえ用のイラストを描かれています。後半は北見さんが世界観に込めた想いや、イラストに描かれた「はなのこ」の秘密も伺いました。

北見さんが教えてくれる方法でぬれば、おしゃれ度の高いぬりえが完成する。
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初心者でもおしゃれにぬりえを仕上げよう!

私も『花ぬりえ絵本 不思議な国への旅』をつくるまで、ぬりえをしたことがありませんでした。

巻頭のカラー見本をつけるため、初めてぬりえに挑戦しました。最初はなかなか上手く仕上げられず、担当の編集者さんからボツをもらうこともありました。

しかし、もしかしたら絵を描くときの要領で塗っていくと上手くいくかもしれないと気づいてから、少しずつ塗り方のコツのようなものが摑めるようになりました。

初級編 色味を絞る

ぬりえをしようと思ったら、いろいろな色を使いたくなりますよね。

私も最初はそうでした。でも色の種類をたくさん使いすぎると、バラバラな印象の絵が出来上がってしまう危険があります。

初めは色調を抑えて、バランスを見ると良いように思います。試しにこちらの絵を塗るための色を選んでみますね。

『花ぬりえ絵本 不思議な国への旅』の1ページ。

花はピンクの同系色を3色と水色、カゴは茶系の同系色を3色、葉は緑の同系色を3色を選びました。

色数が多くても種類ごとに同系色でまとめると色味の幅が限定されるので失敗が少ないです。

塗るときは、花びらでしたら真ん中と外側を濃く真ん中を薄く塗ると立体感が出ます。葉っぱは、葉脈に沿って何色か塗り分けると、絵に変化が生まれて楽しいです。

北見さんがぬり終えたイラスト。統一感がありつつも、華やかな絵が仕上がった。

もちろんこれが正しい塗り方というわけではなく、私が試行錯誤の末なんとか形にすることができたひとつのやり方だと思っていただければと思います。

中級編 塗り重ねてみる

北見さんの創作用の机。色の鮮やかさに注目すると、北見さんのつかう色は、すべて落ち着いたトーンで統一されている。

色を塗ってみて、思ったのと違う、失敗した、ということもよくあります。そういうときは気にせず消してしまいます。

色が少し残りますが、その上に別の色を塗ってしまって大丈夫です。そのことで、かえって絵に深みが出たり、思ってもいない色合いになったりする発見も楽しめます。

また、単色で物足りないと思われたら重ね塗りをすると、より複雑な色味になって面白いです。風景のぬりえは、遠くのものは薄く、手前のものは濃く塗ると遠近感が生まれます。

上級編 線を描き足してみる

『花ぬりえ絵本 不思議な国への旅』のぬりえ前のイラスト(左)と、北見さんがぬった完成イラスト(右)。中央の折のなかに、青い球が描き足されている。

『花ぬりえ絵本 不思議な国への旅』は線の濃さを調整していますので、塗るだけでなく絵を描き足すことができます。また、線に沿って塗る必要もありません。

線は単なる下書きのラフ、たたき台だと思って、描き足すだけでなく輪郭を気にせず絵を描くように塗ってみたり、背景も自由に塗っていくと独自の作品になっていくと思います。

実は表紙の中央に描いた青い球は、ぬりえの最後に描き足したものです。なぜかどうしてもここに球を描いてみたくなり、表紙なので、もし失敗したらやり直しなのですが、描かずにいられませんでした。

でもそれがこの絵の中心を担う存在感を示してくれて、塗ってよかったと感じています。

サムネイルの画像をよく見ると、左下に編集者さんの描いた花が描かれています。編集者さんからいただいた校正紙だったからですが、最近気づいてお上手でかわいい♪と思いました。

こんなふうにみなさんに楽しんでいただけたらとてもうれしいです。

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