世の中は冷たい人ばかりではない
福田:同時に、障がいのあるお子さんやご家族が外に出たときに、社会の人たちが「こうやって温かく見守り、支えてくれればうまくいきますよ」というメッセージも込めたかった。世の中は冷たい人ばかりではないし、外に出てみると結構なんとかなるよ、という希望を示したかったのです。
城:福田先生のメッセージは、読者としてとても伝わってきました。世間ではどうしても「障がい者=弱者」という目線で語られがちです。でも、前作の『いもうとのにゅうがくしき』や今回の作品を読んだとき、「ちょっとした手助けがあれば、挑戦できることはたくさんあるのだ」と改めて感じました。
私自身、妹と過ごす中で「なんだ、これはできるじゃん!」と思えた瞬間がたくさんありました。「大変なことばかりではなく、楽しいこともたくさんある」というポジティブなメッセージを受け取ることができて、とても勇気づけられましたね。
福田:私は長年支援学校で教えてきましたから、校外学習などで子どもたちと街へ出ると、ときに厳しい言葉をかけられることも山ほど経験してきました。けれど、それ以上に心温まる優しい出来事にもたくさん出会ってきたのです。
街中で障がいのある子が何か不思議なことをしていても、周りが優しい笑顔でそっと見守れるような、そんな温かい目線が社会に広がるといいなと思っています。
「楽な選択」をしてほしい 専門家として寄り添う家族支援
――お二人はそれぞれ特別支援学校の教員、そして作業療法士という「専門家」でもいらっしゃいます。現場で接してきた障がいのある子と、そのきょうだい、ご家族の姿についてどう感じていますか。
福田:支援学校の行事などで見かける「きょうだい児」のお子さんたちは、ごく普通に笑って、兄弟ゲンカをしています。ただそれは、支援学校という、遠慮のいらない安心できる環境だからこそ見せてくれる姿かもしれません。
保護者の方から「きょうだい児」の相談を受けることもありますが、私はいつも「ご家族や本人が歯を食いしばって頑張るような選択ではなく、『一番楽になる選択』をしてください」とお伝えしていました。楽を選ぶことはズルいことではありません。無理のない選択をしてほしいです。
城:福田先生のおっしゃる「楽になる選択」というのは、本当に重要な視点だと思います。作業療法士としてお子さんの療育に関わる際、「これをやってきてください」と家庭に宿題を出すこともありますが、無理をして家庭のサイクルが壊れてしまっては意味がありません。
お母さんやお父さんが追い詰められてしまうと、結果的にきょうだい児のケアにしわ寄せがいってしまいます。だからこそそのご家庭の日常に、「無理なく溶け込むかたちの支援」を提案することを私たちも意識しています。
――家族全員が無理をせず、のびのびと生活できる仕組みづくりが大切なのですね。
福田:もう一つお伝えしたいのは、きょうだい児の方が将来、福祉や看護の道に進んだときに、周囲が「やっぱり妹(弟)のためにその道を選んだのね」と安易に決めつけないでほしいということです。
それぞれの進路は、その人自身が自分の意思で選んだ選択です。周囲の思い込みで彼らの可能性や生き方を縛ってしまわないよう、正しい理解が広がってほしいと思います。
物語に込められた「視覚支援」のヒント
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