
なぜ「小学生の習い事」は身につかない? 親が見直すべき“その場限り“にしない習慣とは
学童のプロに聞く「体験」を子どもの力に変える方法 #1
2026.09.18
「こどもクリエ塾」代表:遠藤 奈央子
「週末や夏休みにもいろんな体験をさせているのに、それっきりで終わってしまう……」「放課後の習い事は、本当に子どもの身になっているのかな?」
子どもにさまざまな経験をさせてあげたいと思えば思うほど、こんなモヤモヤを抱えてしまう保護者の方は少なくありません。
そこで、学童のプロであり、『「自分でできる子」に育つ放課後時間の過ごし方』(講談社刊)の著者でもある遠藤奈央子さんに、習い事や体験を子どもの力にするヒントを教えてもらいました。
習い事をさせている家庭の「約半数」が抱える悩み
じつは、子どもにとって大切なのは「体験の数を増やすこと」ではありません。本当に大切なのは、体験のあとに生まれた「もっとやりたい!」「なんでだろう?」という小さな芽をしっかり拾い上げることです。
実際にどのような悩みがあるのか、2026年8月に小学1年生の子どもを持つ働くお母さんを対象に調査を実施しました。結果、73.8%の家庭が「現在、何らかの習い事や体験をしている」と回答しています。
しかし一方で、全体の43.0%(習い事をしている家庭に限ると49.1%)が「体験や学習をさせてもその場限りになり、次の興味や学びにつながっていない」と感じていることが判明しました。
「体験の機会が足りない」こと自体は問題ではありません。「さまざまな体験をさせているのに次へつながらない」という悩みを抱える家庭は、実はとても多いのです。
「楽しかった」の後に注目したい子どもの小さなサイン
もちろん、動物園や科学館、工作イベントに行って「その場で楽しめた」だけでも、体験としては十分価値があります。
体験を「次の興味」へステップアップさせたい場合は、体験直後に子どもが見せる「小さなサイン」に注目してみてください。
・帰宅後、体験の話を自分からもう一度したか
・「なんで?」という質問が出てきたか
・家でも続きをやろうとしたか
・自分なりに工夫してやり方を変えてみようとしたか
「上手にできたかどうか」を気にする必要はありません。子どもの「もう1回やりたい!」という純粋な反応こそが、何より大切な興味の芽になります。
親は毎回「次のイベント」を用意しなくていい
とはいえ、仕事や家事に追われる日常の中で、親が「次はどのイベントに連れていこう」「次はどんな準備をしよう」と頑張り続けるのは本当に大変です。
親が「体験を増やし続けること」を目標にする必要はありません。大切なのは、体験の後などに、続きの「小さな問い」をつくることです。
【日常の中でつくる「小さな問い」の例】
・科学館に行ったあと➡「家の中で磁石につくもの、探してみる?」
・料理中に氷が溶けたら➡「外に出すと、どうして溶けるんだろうね」
・工作をした翌日➡「違う材料で作ったらどうなるかな?」
大がかりな教材や特別なイベントを用意する必要はありません。「体験➡小さな問い➡次の行動」という流れが日常に少しあるだけで、ひとつの体験が子どもの「次の行動」へと自然につながっていきます。
親の役割は「全部教えること」ではない
子どもから「なんで?」と聞かれたとき、大人が完璧な正解を答えることにこだわる必要はありません。「なんでだろうね」「どうなると思う?」「ちょっとやってみる?」と、一緒に面白がるだけで十分です。
すべてを親が準備し、すべての疑問に答えようとすると、親自身が疲れてしまい長続きしません。子どもの学びを深めるためには、親自身の「心の余白」も欠かせないポイントです。
習い事を追加する前に見直したい放課後全体の過ごし方
「英語もさせなきゃ」「運動も大切」「プログラミングも気になる……」と、子どもの教育を考えると、「何をプラスするか」に意識が向きがちです。
しかし一度立ち止まり、下校から就寝までの「放課後全体」の過ごし方を見つめ直してみましょう。
小学校低学年の放課後は、習い事のスケジュールで埋め尽くすためだけの時間ではありません。自由に遊ぶ時間、何もせず過ごす時間、自分のタイミングで何かを始める時間などの「余白」があってこそ、子どもは自分の「好き」や「探求心」を発展させていきます。
今日の放課後からできること
体験の数を増やすこと以上に、ひとつの体験から生まれた「もっとやりたい」という気持ちを尊重することが大切です。
『自分でできる子に育つ 放課後時間の過ごし方』(講談社)でも詳しくお伝えしていますが、放課後を子どもが自分で考えて動ける「最高の時間」に変えていくヒントは、実は日々の過ごし方の中にたくさん隠れています。
「何をやらせるべきか」と迷ったときこそ、まずは今日の放課後、子どもが何に心を動かしているか、少し離れた場所で温かく見守る対応から始めてみましょう。
【調査概要】
・調査名:小学生の放課後の過ごし方と学習に関する意識調査
・調査対象:小学1年生の子どもを持つ就労中の女性
・回答数:全国221名
・調査時期:2026年8月7日
・調査方法:インターネット調査

































遠藤 奈央子
民間学童「こどもクリエ塾」代表。 株式会社ビジョンゲート代表取締役、一般社団法人民間学童保育協会代表理事。社会福祉士。 2011年に「こどもクリエ塾」を開校し、現在、東京都内で6校舎を運営。直接指導した子どもは延べ2,500人を超える。2026年には、家庭での放課後時間を好き・得意・探究につなげるオンライン型の放課後体験サービス「HAKOLAB(はこラボ)」を開始。 著書に『「自分でできる子」に育つ放課後時間の過ごし方』(講談社)など。
民間学童「こどもクリエ塾」代表。 株式会社ビジョンゲート代表取締役、一般社団法人民間学童保育協会代表理事。社会福祉士。 2011年に「こどもクリエ塾」を開校し、現在、東京都内で6校舎を運営。直接指導した子どもは延べ2,500人を超える。2026年には、家庭での放課後時間を好き・得意・探究につなげるオンライン型の放課後体験サービス「HAKOLAB(はこラボ)」を開始。 著書に『「自分でできる子」に育つ放課後時間の過ごし方』(講談社)など。