2大NGワード「ダメでしょ」「早くしなさい」 こう言い換えるのが正解 教育評論家が「親の残念な口癖をやめる方法」を解説

子どもをダメにする親の口癖 #1

教育評論家:親野 智可等

2大NGワードは、どう言い換えればいい?  写真:mon_printemps_fleuri/イメージマート
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2大NGワード「ダメでしょ」「早くしなさい」は、こう言い換えるのが正解!

ついつい口から出てしまう「ダメでしょ」「早くしなさい」という言葉。これらが子どもに与える影響や言い換えフレーズを、親野先生が徹底解説します。今日から、意識的に言葉を変えていきましょう。

2大NGワード① 「ダメでしょ」

ダメという言葉は否定語で、それだけでインパクトがあるワードです。これを親からいわれてしまうと、子どもは「自分はダメな子なんだ」と全否定されたように思い込んで、自己肯定感を下げてしまいます。

これでは「○○をやってみよう!」と大人や友だちが誘っても、「自分はダメな子だから、そんなことできるわけがない」と、すべてのことに消極的になってしまいます。

親が心がけたい言い換えフレーズ

「走っちゃダメでしょ」→「歩こうね」
「触っちゃダメでしょ」→「見るだけだよ」
「丁寧に書かないとダメでしょ」→「前よりもこの字は上手に書けたね。こっちの字も丁寧に書いてみようか」

ダメな行動をわざわざ指摘して無理やり矯正するのではなく、具体的にどんな行動をすればいいのか子どもに伝えてあげましょう。上からガツンと言い渡すのではなく、子どもの行動を導いてあげることが大切です。

2大NGワード② 「早くしなさい」

「早くしなさい」には、「早く着替えなさい」「早く宿題やりなさい」など、さまざまなバージョンがありますが、どの行動についても子どもには子どものペースがあります。まずはその子のオリジナルペースを尊重してあげてください。

特にマイペースな子は、生まれつきの資質もありますから、親が「早くして! 遅いんだから!」と資質を𠮟りすぎると自信をなくし、穏やかな性質という長所を消してしまうことになりかねません。

親が心がけたい言い換えフレーズ

「早く着替えなさい」→「7時になったらパジャマを脱ぐよ」
「早く算数のプリントやりなさい」→「算数のプリント、今のうちに1問だけやっておこうか」

「着替えなさい」という表現は、実は子どもにはとても抽象的なので否定的な言葉です。小学校の低学年でも、何をどうすればいいのか戸惑うことがあります。この場合も、何をどうするか具体的な行動を伝えてあげましょう

子どもが宿題にとりかからないときは、とりかかりのハードルを下げてあげると効果的です。「今のうちに1問だけ」という言葉であれば、子どもは「1問だけ」ならやってみようかなという気になりやすいですし、1問やることで全体量の見通しがつきます。

見通しがつくと、本格的にとりかかるときの心理的なハードルが下がります。また、1問やることでエンジンがかかり、ついでに2問、3問、半分、全部やってしまうということもあり得ます。

時間をしっかりと理解できていない子や時間管理ができない子には「5分後」は難しい量

「7時になったら着替えるよ」というのも、「5分後に出るよ」というのも、「早く」よりは具体的ですが、これでもまだ動けない子もいます。

「着替えるよ」をより具体的に「靴下を脱ぐよ」にしたり、「5分後」を「長い針が6のところ」と表現してあげればより具体的になり、行動につながりやすくなります。

「7時になったら着替えるよ」→「7時になったら靴下を脱ぐよ」
「5分後に出るよ」→「長い針が6のところにきたら、靴を履いておうちを出るよ」

ルーティンのことで、朝7時30分までに登校や登園の支度を終わらせたいなら、画用紙に針が7時30分を指した模擬時計を描き、それを本物のアナログ時計の横に貼っておくのもおすすめです。

本物の時計と絵で描いた時計を見比べ、残り時間が減っていくという時間の量を見える形で子どもに伝えて、行動をうながすといいでしょう。

親野先生による「年少からの〈子どもの時間管理術〉」はこちら!

次回は、「先生に𠮟られた」「友だちとケンカしちゃった」といって、しょんぼりしている子どもに対して、親がかけるべき言葉やとるべき行動について解説します。

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◆親野 智可等(おやの ちから)
教育評論家
長年の教師経験をもとに、子育て、しつけ、親子関係、勉強法、学力向上、家庭教育について具体的に提案。子育て世代に寄り添ったSNS投稿も話題で、「ハッとした」「泣けた」という声が多数寄せられている。全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも講師を務め、オンライン講演も経験豊富。著書に『親の言葉100 ちょっとしたひと言が、子どもを伸ばす・傷つける』(グラフィック社)など。人気マンガ『ドラゴン桜』(講談社刊)の指南役としても知られている。

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※公開日までリンク無効

取材・文/梶原知恵

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おやの ちから

親野 智可等

Chikara Oyano
教育評論家

長年の教師経験をもとに、子育て、しつけ、親子関係、勉強法、学力向上、家庭教育について具体的に提案。子育て世代に寄り添ったSNS投稿も話題で、「ハッとした」「泣けた」という声が多数寄せられている。全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも講師を務め、オンライン講演も経験豊富。著書に『親の言葉100 ちょっとしたひと言が、子どもを伸ばす・傷つける』(グラフィック社)など。人気マンガ『ドラゴン桜』(講談社刊)の指南役としても知られている。 教育評論家・親野智可等ホームページ 「親力(おやりょく)」

長年の教師経験をもとに、子育て、しつけ、親子関係、勉強法、学力向上、家庭教育について具体的に提案。子育て世代に寄り添ったSNS投稿も話題で、「ハッとした」「泣けた」という声が多数寄せられている。全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも講師を務め、オンライン講演も経験豊富。著書に『親の言葉100 ちょっとしたひと言が、子どもを伸ばす・傷つける』(グラフィック社)など。人気マンガ『ドラゴン桜』(講談社刊)の指南役としても知られている。 教育評論家・親野智可等ホームページ 「親力(おやりょく)」

かじわら ちえ

梶原 知恵

KAJIWARA CHIE
企画・編集・ライター

大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。

大学で児童文学を学ぶ。出版・広告・WEB制作の総合編集プロダクション、金融経済メディア、外資系IT企業のパートナー会社勤務を経て現在に。そのなかで書籍、雑誌、企業誌、フリーペーパー、Webコンテンツといった、さまざまな媒体を経験する。 現在は育児・教育からエンタメ、医療、料理、冠婚葬祭、金融、ITシステム情報まで、各媒体の企画・編集・執筆をワンストップで手がけている。趣味は観劇。特技は長唄。着付け師でもある。