石川基子の絵本『ほしじいたけ ほしばあたけ』制作日記
第36回 講談社絵本新人賞受賞からデビューまで 第4回
2022.04.12
結果発表が楽しみですね。選考の途中経過の発表を見るときは、心臓がばくばくしてしまいましたが、あのスリル感はやみつきになります。
9月の授賞式には、わたくしも刊行になったばかりの、インクの匂いもしそうな「ほしじいたけ ほしばあたけ」を携えて駆けつけます……ことができるのでしょうか……?
思い残すところはあちこちありましたが、時間切れで「ほしじいたけ ほしばあたけ」の本編は提出し、ただ今、表紙、見返し、裏表紙などの装丁を考え中です。
担当編集者のO川さんやデザイナーさんにアドバイスやアイデアをいただき、だいぶ固まってきましたが、いまだ決定できず……、という、またまた危ない状況です。
絵本の文の方も最終的に詰めていく段階となり、何か気がつくこともあるかもしれないと思って、今さらなのですが、造形教室の子どもたちに「ほしじいたけ ほしばあたけ」のラフを読んでみました。(幼児・児童対象の造形教室の講師をしています。)
幼児にはちょっと理解しにくいかもと思い、小学2年生の子に見せました。読む前にふと不安になって、「干し椎茸って知ってる?」と聞いてみたところ、
「なにそれ?」
「ホラ、椎茸をかちかちに干したやつだって。食べるときには水に浸けてやわらかくして、煮たりするやつ。」(と、内心焦る私。)
「そんなもん、見たことも食べたこともない。」(そんなはずはないと思いますが。)
干し椎茸がどういうものなのか知らないと、このお話は理解できないのでは……との予感は的中。
読んでいる間、彼らはずっときょとんとしていました。今となってはどうしようもないことですが、ちょっとショックです。
造形教室では、絵を描く前の導入として読み聞かせをするなど、絵本を活用しています。前述の小学生たちと「お絵描きしりとり対決」をやったとき、一緒に読んだ『おえかきしりとり』(講談社刊)は、しりとりのルールを知らせるのに役立ちました。
それには、「ず」のつく言葉として「ズッキーニ」が出てきます。
「ズッキーニなんてわかる?」と聞いたら
「うん。きゅうりみたいな野菜。」
ズッキーニは知っているのに、干し椎茸を知らないとは……隔世の感があります。
かくなるうえは、どこかの椎茸農園とタイアップして、絵本に付録として干し椎茸を一個ずつ付ける……なんてことができたらいいのですが……。
石川 基子
愛知県生まれ。京都教育大学特修美術科卒業。「子どもの本専門店 メリーゴーランド」の絵本塾で絵本作りを学ぶ。第12回ピンポイント絵本コンペ最優秀賞、第35回講談社絵本新人賞佳作受賞。第36回講談社絵本新人賞受賞作『ほしじいたけ ほしばあたけ』(講談社)でデビュー。シリーズに『ほしじいたけ ほしばあたけ じめじめ谷でききいっぱつ』『ほしじいたけ ほしばあたけ カエンタケにごようじん』『ほしじいたけ ほしばあたけ いざ、せんにんやまへ』がある。造形教室講師として、子どもたちに一緒に遊んでもらっている。
愛知県生まれ。京都教育大学特修美術科卒業。「子どもの本専門店 メリーゴーランド」の絵本塾で絵本作りを学ぶ。第12回ピンポイント絵本コンペ最優秀賞、第35回講談社絵本新人賞佳作受賞。第36回講談社絵本新人賞受賞作『ほしじいたけ ほしばあたけ』(講談社)でデビュー。シリーズに『ほしじいたけ ほしばあたけ じめじめ谷でききいっぱつ』『ほしじいたけ ほしばあたけ カエンタケにごようじん』『ほしじいたけ ほしばあたけ いざ、せんにんやまへ』がある。造形教室講師として、子どもたちに一緒に遊んでもらっている。