石川基子の絵本『ほしじいたけ ほしばあたけ』制作日記
第36回 講談社絵本新人賞受賞からデビューまで 第5回
2022.04.13
基準を統一するのが難しいことを改めて知りました。この制作日記も、つい 分かち書きに して しまいそうです。
先日、色校のチェックのため、上京してきました。
既に印刷所さんの方で何度か製版テストが繰り返されていたようで、上がってきた色校は、ほぼそのままでもよいほどの仕上がりでした。
……それを、「ああしてほしい」「こうしてほしい」と赤字だらけにするのは、ひとえに描き手が至らないせいです。
きのこたちの周りに残ってしまった色を消してもらう箇所があまりにも多くて、印刷所さんにはもちろんのこと、担当さんにも申し訳ない思いで、その指示を赤字で書き入れる作業を見守っていました。
校閲さんには、句読点についてだけでなく、きのこに関してもチェックを入れてもらい、私のうっかりを、これまた印刷所さんになんとかしてもらうことにしました。
色校のチェックだけなら、直接行かなくてもできるようなのですが、あえて出かけていったのは、原画をちょっと直したかったからです。
絵の具や筆や筆洗を携えて、数限りなくある「気になるところ」の中でも、いま特に気になっているところを、加筆・修正してきました。部分的に再スキャン、合成してもらうとのことで、仕事を増やして本当に申し訳ありません!
児童局の秘密の会議室に陣取って、原画を広げて作業しました。その一角には、今年の絵本新人賞の応募作品が並んでいます。
ちょうど一年前、「ほしじいたけ ほしばあたけ」もここで審査を待っていたことが、遠い昔のように思えてきます。受賞の通知があってからも、本当に出版に至ることができるのか、ずっと不安に思い続けていましたが、皆さまのおかげで、やっとゴールが見えてきた感じです。
いよいよ絵本らしくなってきて、うっとりしてしまいます。タイトルの書き文字は「きのこ体」にしました。(※そんな書体はありません。)
見返しは、どの色になるのでしょうか?
どれもとてもかわいくて(作者バカ)、この抹茶色のなど風呂敷にできたらいいのに……と、見とれています。
それでは、次回最終回は、ほしじいたけ、ほしばあたけのインタビュー記事をお届けする予定です。どうぞお楽しみに。
石川 基子
愛知県生まれ。京都教育大学特修美術科卒業。「子どもの本専門店 メリーゴーランド」の絵本塾で絵本作りを学ぶ。第12回ピンポイント絵本コンペ最優秀賞、第35回講談社絵本新人賞佳作受賞。第36回講談社絵本新人賞受賞作『ほしじいたけ ほしばあたけ』(講談社)でデビュー。シリーズに『ほしじいたけ ほしばあたけ じめじめ谷でききいっぱつ』『ほしじいたけ ほしばあたけ カエンタケにごようじん』『ほしじいたけ ほしばあたけ いざ、せんにんやまへ』がある。造形教室講師として、子どもたちに一緒に遊んでもらっている。
愛知県生まれ。京都教育大学特修美術科卒業。「子どもの本専門店 メリーゴーランド」の絵本塾で絵本作りを学ぶ。第12回ピンポイント絵本コンペ最優秀賞、第35回講談社絵本新人賞佳作受賞。第36回講談社絵本新人賞受賞作『ほしじいたけ ほしばあたけ』(講談社)でデビュー。シリーズに『ほしじいたけ ほしばあたけ じめじめ谷でききいっぱつ』『ほしじいたけ ほしばあたけ カエンタケにごようじん』『ほしじいたけ ほしばあたけ いざ、せんにんやまへ』がある。造形教室講師として、子どもたちに一緒に遊んでもらっている。