
【出版までのイバラ道】「100本ノック!の巻」タイトルは『あおくんふくちゃん』に決まりました!
第44回講談社絵本新人賞受賞作家 みやもとかずあきの制作日記③(4コマ漫画つき)
2024.12.13
作家:みやもと かずあき
制作日記 第3回
今回は作品タイトルが決まるまでのお話をしたいと思います。
応募作品のタイトルは『福の神』です。
このタイトルにした由来は第2回でこってりと語らせていただきましたとおりです。
『福の神』は思い入れのあるタイトルだったのですが、担当編集者から、
「タイトルを変えませんか」
とあっさり言われて口から飴が転げ落ちました。
それくらい衝撃的なひと言でありました。さあ、どうなるのでしょうか……。![]()
人の目にとまるタイトルって!?
「『福の神』ではタイトルとしては普通な感じで印象が弱いです。節分が題材の絵本がいろいろとある中で、たとえばネットで検索したときに、素通りされてしまいそうです。もっと目にとまるようなタイトルに変えましょう」
とのこと。
前回の第43回に新人賞を受賞された玉田美知子さんも、「まよいぎょうざ」から「ぎょうざがいなくなりさがしています」に変更してヒットを飛ばしていると説明され、それならばこちらもあやかってタイトルを変えることにしよう、と腹をくくったのでした。
それでも福の神のワードは絶対いれたかったので、「○○福の神」や「福の神は○○」という感じでいっぱい考えました。
担当編集者福の神に見せなかったのも入れると、軽く100は超えていると思います。
しかしなかなかしっくりくるタイトルが思いつかず担当編集者福の神も首を縦にふってくれません。
そうこうしているうちに、春がきて夏が来てお盆が近づいたころ、担当編集者福の神から「せつぶんぶん」ってどうですかと連絡があり、その響きにピンときました。
本文に出てくるオノマトペ「ぽんぽん がば」をつけて「せつぶんぶんぽんぽんがば」をタイトルにすることに決めました。
「せつぶんぶんぽんぽんがば」は何回口ずさんでもリズムがよく、楽しい気持ちになってきます。とてもよいタイトルができたと満足していました。
ところが。
タイトル命名の旅、まさかの結末
早速、担当編集者福の神に連絡をすると、調べてくれて、せつぶんぶんのコマーシャルは2年間流れているようですが、そこまで子どもたちに話題になっていないようです。
「『せつぶんぶん』はタイトルとしては今ひとつかもしれません」
となり、『せつぶんぶんぽんぽんがば』はボツになってしまいました。出版の段取りも押し迫ってきているにもかかわらず、タイトル命名はふりだしに戻ったのでした。
「泣けるぜ」(映画「ダーティーハリー」の捨てゼリフ)
新しいタイトルを考えますがなかなかピンとくるタイトルは浮かんできません。
「うぅーーー。うぅーーー」
とチューバッカのようにうなっているばかりでした。
しょうじき飽きてきました。
「はじめの『福の神』のタイトルでええのとちがうの!」とブツブツひとりごとを言いつつも、
「いやいやはじめて出す絵本だからおろそかにはできないな」
そんなときです。
今回絵本の装丁を担当いただいたデザイナーさんが、
「タイトルはおにちゃんふくちゃんとか、あおくんふくちゃんみたいな感じが呼びやすくていいんじゃない」
と言っていたと担当編集者福の神から聞き。
『あおくんふくちゃん』か。
ええやん!
お笑いコンビみたいで楽しい。
担当編集者の福の神も
「よし、これでいきましょう」
ということになり、デザイナーさんのおかげで『あおくんふくちゃん』のタイトルに決定したのでした!
けっきょく、長ーい命名作業の末、自分ではタイトルが生み出せずじまいで……。
まあいいか!
『あおくんふくちゃん』頼んでおきます!と手を合わせて、長ーい長ーい命名作業にやっと終止符を打つことができたのでした。
この続きは次回。
講談社絵本新人賞 受賞作既刊
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第43回新人賞受賞作『ぎょうざが いなくなり さがしています』玉田美知子・作
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第42回新人賞受賞作『タコとだいこん』伊佐久美・作
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第41回新人賞受賞作『にんじゃいぬタロー』渡辺陽子・作
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第40回新人賞受賞作『まよなかのせおよぎ』近藤未奈・作
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第39回新人賞受賞作『いっぺん やって みたかってん』はっとりひろき・作
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第38回新人賞受賞作『おじいちゃんの ふしぎなピアノ』はまぎしかなえ・作
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第37回新人賞受賞作『ピカゴロウ』ひろただいさく・ひろたみどり・作
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第36回新人賞受賞作『ほしじいたけ ほしばあたけ』石川基子・作
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第35回新人賞受賞作『てがみぼうやのゆくところ』加藤晶子・作
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第34回新人賞受賞作『きいのいえで』種村有希子・作
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第34回佳作受賞作『それなら いい いえ ありますよ』澤野秋文・作
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第33回新人賞受賞作『シールの かくれんぼ』定岡フミヤ・作
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第33回佳作受賞作『おにぎりにんじゃ』北村裕花・作
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第32回新人賞受賞作『ぼくと おおはしくん』くせさなえ・作
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第30回新人賞受賞作『あっぱれ! てるてる王子』コマヤスカン・作
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第30回佳作受賞作『まないたに りょうりを あげないこと』シゲタサヤカ・作
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第29回新人賞受賞作『たこやきかぞく』にしもとやすこ・作
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第28回新人賞受賞作『つぎはぎ おばあさん きょうも おおいそがし』たかしまなおこ・作
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第27回新人賞受賞作『おもちのきもち』かがくい ひろし・作
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第25回新人賞受賞作『ミーちゃんですヨ!』なかや やすひこ・作
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第25回佳作受賞作『いぬの ムーバウ いいね いいね』高畠那生・作
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第24回新人賞受賞作『むしゃむしゃ武者』藤川智子・作
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第21回新人賞受賞作『ガボンバのバット』牛窪良太・作
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第20回新人賞受賞作『かみをきってみようかな』足立寿美子・作
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第19回新人賞受賞作『トカゲのすむしま』串井てつお・作
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第18回新人賞受賞作『ハワイの3にんぐみ』笹尾俊一・作
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第16回新人賞受賞作『しろへびでんせつ』山下ケンジ・作
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第14回新人賞受賞作『ふしぎなカーニバル』あきやまただし・作
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第5回新人賞受賞作『新装版 ばあちゃんのえんがわ』野村たかあき・作
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第2回新人賞受賞作『新装版 ゆきのひ』佐々木潔・作
みやもと かずあき
和歌山県生まれ。第44回講談社絵本新人賞受賞。絵本作家を目指して30年、60歳にして、ついに本作で念願のデビューを果たす。 男の子と女の子の双子育児の傍ら、「講談社フェーマススクールズ」「神戸ギャラリーヴィー絵話塾」で絵本制作を学んだ。受賞歴として第38回日産童話と絵本のグランプリ絵本の部優秀賞、第3回安城市新美南吉絵本大賞入賞など。 現在は、地元でベビー子ども服店を営みながら、みかんや野菜を少々作っている。
和歌山県生まれ。第44回講談社絵本新人賞受賞。絵本作家を目指して30年、60歳にして、ついに本作で念願のデビューを果たす。 男の子と女の子の双子育児の傍ら、「講談社フェーマススクールズ」「神戸ギャラリーヴィー絵話塾」で絵本制作を学んだ。受賞歴として第38回日産童話と絵本のグランプリ絵本の部優秀賞、第3回安城市新美南吉絵本大賞入賞など。 現在は、地元でベビー子ども服店を営みながら、みかんや野菜を少々作っている。