2021.07.07

はまぎしかなえの絵本『おじいちゃんの ふしぎなピアノ』制作日記

第38回 講談社絵本新人賞受賞からデビューまで 第4回「ピアノの旅に没入!」

※この記事は、講談社絵本通信(2017年4月)掲載の記事を再構成したものです。

みなさまこんにちは。
新学期も始まり、暖かい日が多くなってきましたね。私も今春から新社会人になり、毎日早起きすることにようやく体が慣れてきました。

加えて先日は近所にお花見に行ってきました!
少し時期が早く、ほとんどつぼみだったのですが、会場には屋台が出ていてとても賑やかで楽しかったです。




……さて、前回の日記、

私は書きました。


次回は「本描きが終わった」お知らせをする、と……


おわ…………


……………ってません!! 泣(2017/4/17現在)


制作日記は全6回なのに、もう第4回……のんびり花見をしている場合じゃない!

まだ表紙と見返しの作業が残っているので、この制作日記が掲載される頃(5月頭)までには原画を完成したいところです。

春から新生活で作業環境も新しくなったのですが、すでにかなり汚れてます

さて今回は絵作りについて少しお話ししたいと思います。


私が今作で一番やりたかったことは「ピアノを弾いている時の没入感」を描く、ということです。

ピアノを弾く時は、たくさんのことに影響されて、脳裏に風景やストーリーが浮かんできます。例えばタイトルや歌詞、メロディや曲調(私は長調と短調くらいしか分からないのですが)などの影響が強いです。

これらに加えて、ピアノは自分で音の強さや速さを調節できるので、より自分の好きなシーンを強調して弾くことができます。

そういう風に弾いていると、自分が曲の中の世界に行ってしまったような気分になる時があって、とても気持ち良くなれるのです。(映画を見てるみたいな感じですネ!)

その気持ち良さを読んでくれた人にも擬似的に体験してもらいたい、という思いから上記の「没入感」というテーマを設定しました。

このテーマを表わすため「ピアノ」では、部屋に居ながらにしておじいさんが様々な場所に旅してしまうシーンがあります。

前回紹介したパステルで描いてます。パステルは手軽にかけるという利点もありますが、大きな面を塗りつぶすのはかなりつらい! 私は筆圧が高いので、肩がとてもこります。あとパステルもすごい速さで減っていきます。トホホ……

例えばこのページは、おじいさんが「星空の曲」を弾いたときのイメージです。
星空の曲を弾いているところを想像すると「広い空間」「頭上から降ってくる」「包まれる」といったイメージが浮かびます。

これをピアノを弾いている室内で感じるとしたらどのように映るか、ということを次に考えます。

星空を想像したら自然と上をみるよなぁ…… 上についてて、かつ星空を連想するようなものってなんだろう……

あれこれ考えていたら「そうだ!カーテンがある!」と思いつきました。「星空」→「頭上」「広大」「包む」→「カーテン」という流れです。

こうして、おじいさんがカーテンの夜空に包まれるシーンができました。この考え方でできたシーンが他にもたくさんあります。


ピアノを弾く楽しみは人によって様々にあると思いますが、私にとってはこのような想像をさせてくれるところが一番楽しい部分です。



さあ、来月はどうなっているのでしょう。
追い込まれたときこそ、初心を思い出しながら楽しんで描きたいですね。

ドキドキの次回につづく!

こちらができあがった絵本です。

『おじいちゃんの ふしぎなピアノ』
作:はまぎしかなえ 講談社

はまぎし かなえ

1992年、福井県生まれ。絵本作家。
子どものころから絵やお話をかくのが好きで、
美術の仕事に就くことを志す。