ふしぎに思って黒いつぶらな瞳を見つめていると、
ギョロッ!ギョロッ!
と、眼をあちこちに動かしはじめた。
まるでカメレオンのようだ。
たまに大きく動かしすぎて、瞳がかくれて見えなくなることもある。
これがまばたきに見えるのだ。
おそらく、ねぐらにしている岩のすきまから、顔だけのぞかせてはこうして監視カメラのように眼を動かして周囲を見わたしているのだろう。
そして、エサとなる生きものや、外敵(成魚にはほとんどいないと思うが)をさがしているのだろう。
一歩も動かないで周囲の様子を確認できる眼。
上手に泳ぐことをあきらめて、かくれることに特化したオオカミウオにふさわしい機能だ!
ということは、オオカミウオを釣り上げるためには、かれらのひそんでいる岩場をさがし当てて、眼のとどく範囲へエサを送りこまなければならないのだ。
逆にピンポイントで居場所をつき止めることができれば、案外かんたんに釣れてくれる。
海を知りつくした腕のいい漁師さんに協力してもらうのが、捕獲への近道といえそうだ。
4.歯もすごいが、ほほ肉はもっとすごい!
そして、釣り上げたオオカミウオの内臓をとりだしてみると、なんと胃のなかから、粉々にくだけたホタテの貝殻が大量に出てきた。