見た目も飛び方もかっこいい珍種トンボ!中学生昆虫博士が「キイロヤマトンボ」の採集方法を伝授

MOVEラボ研究員助手しんご「ボクの、観察・研究日記」vol.9

手のりキイロヤマトンボ(メス)
MOVEラボ研究員・助手の工藤真悟(中3)

昆虫から化石まで! 研究者顔負けの観察眼を持つ中学生がレポート!

工藤真悟

「講談社の動く図鑑MOVE」の中学生研究員、工藤真悟(くどうしんご)です。昆虫や化石、鉱物など、生きものと自然が大好きなボクにとって、「フィールドワーク」は命! 今回は、準絶滅危惧種に指定されているキイロヤマトンボを採集する際のポイントを解説。

昆虫採集は、事前のリサーチや工夫が成功を左右します。キイロヤマトンボの生息場所や採集方法、おすすめの服装や装備など、実体験のレポートをお届けします。

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キイロヤマトンボとは?

キイロヤマトンボは日本に6種類いるヤマトンボ科のトンボの一種です。水質が良くて川底に砂がある中流河川でしか見られません。本州には3種のヤマトンボ科のトンボがいますが、その中でも一番かっこよく珍しいトンボです。また、川沿いに竹藪などがあり、川があまり開けていないことも重要です。黄色の模様がコヤマトンボより広いためこの名前が付きました。

宮城県以南の本州、四国、九州に分布していますが、生息地はかなり限られていて、環境省に準絶滅危惧種に指定されています。タイプ産地は多摩川なのですが、もうすでに絶滅しているようで、1930年代から生息が確認されていないようです。
キイロヤマトンボ(オス)
見た目だけでなく飛び方もかっこいいです! 体色が黒と黄色なので、川底の砂の色に紛れて見失いやすいことに加え、メスは川面スレスレを不規則に、ものすごいスピードで飛びます。見失わないようにしても不規則に速く飛ぶのでネットインが難しいです。また、振り逃すとすぐに飛び立って遠くに行ってしまいます。僕はこのトンボはかっこよさの塊だと思っていて、体形、模様、複眼、胸部の金属光沢全てがかっこよく、日本のトンボの中で3本の指に入るほど好きです。

採集記 6月8日 茨城県

この日は尊敬する先輩にキイロヤマトンボの採集に連れていってもらいました。午前は曇りだったので、キイロヤマトンボの姿はなく、アオハダトンボやアオサナエ、クワコの幼虫を取って遊びました。
クワコの幼虫
アオハダトンボは身近なハグロトンボと同じカワトンボ科で、アオハダトンボも環境省に準絶滅危惧種に指定されています。キイロヤマトンボと同じく水質がいい砂底のある川に生息しているのですが、幼虫が川岸の植物の根元などで育つため、生息するには流れが緩いヨシなどの植物が生えている流れの緩い場所が必要です。

他のカワトンボとは異質の美麗種で、オスには翅全体にチョウトンボのような青色の光沢があります。体にはカワトンボ科らしく緑色の光沢があります。メスの翅には光沢はないですが、翅に白い紋があるのでハグロトンボと区別できます。

また、アオサナエは体色が黒と黄色の種が多いサナエトンボの中では異質である、体色が黒と緑の2色です。個人的にサナエトンボ科の中で一番好きな種かもしれません。アオサナエも河川の中流域にしかいないトンボで、なかなか珍しいので採集できて嬉しかったです。

砂底の中流河川は初めて来たので同定できていませんが、初採集と思われるハネカクシが採集できました。次にキイロヤマトンボを採集しに行く機会があればゴミムシやハネカクシも採集したいです。石起こしや枯れ草起こしをしていればきっとかっこいい種が採集できたはずです……。

川沿いの笹をスウィープしていると、ルイスコメツキモドキが入りました。割と多い種ですが、銅色の光沢やコメツキモドキの独特な体形がたまらなくかっこいいです。いつかニッポンホホビロオオコメツキモドキも採集してみたいです。川沿いのウマノスズクサにはジャコウアゲハの幼虫がいて、なかなかかっこいい幼虫なので少々観察しました。ウマノスズクサには外来種ですが、ホソオチョウというかっこいいチョウもつくのでしっかりと見ておきたいです。
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ついにキイロヤマトンボを採集!

午後からは晴れたのでキイロヤマトンボの活性が上がりました。13時ごろに同行者が採集していて、それまで僕はキイロヤマトンボらしきシルエットを見ただけだったので、「本当にいるんだ!」と思いスイッチが入りました。

川を見回ってしばらくすると、川の中央を大きなトンボがゆったり、まっすぐ飛んできました。わけがわからないままネットを被せると、なんとキイロヤマのメスです!
キイロヤマトンボ(メス)
トンボは太陽の下で見るに限りますね! 複眼の緑色が美しいです。トンボは標本にするとすぐに目が黒ずんでしまうので、この色は生きているときにしか見ることができません。色を残す方法はありますが、キイロヤマトンボはかなり難しいです。

翅の根本の部分の黄色もほっそりした体型も全てがかっこいいです! 僕はこのトンボにはキイロヤマトンボという名前は合っていない気がします。名前でかっこよさを表現できていません。

コヤマトンボのメスも後日観察する機会があったのですが、こちらは全体的に太く短い感じがしました。かっこよさではキイロヤマトンボには敵いませんね。
キイロヤマトンボ(メス)
キイロヤマトンボのメスは不規則に高速で飛翔する産卵個体を採集するのが主な採集方法なのですが、僕はたまたま通過個体を採集したようです。思っていた飛び方ではなかったので驚きました。

この後キイロヤマトンボのメスの産卵個体に惨敗したのは秘密です。ちなみに先輩は、キイロヤマトンボのメスの産卵個体との激闘を制し採集していました。網がものすごく上手いのです。僕と同じ時期に昆虫採集を始めたとは思えません。
少し時間が経った後、キイロヤマトンボのオスが飛び始めました。キイロヤマトンボのオスは川の中央をメスに比べて遅く、まっすぐ飛んできます。縄張りを持っているので、川の中で待っていれば同じ場所に繰り返し飛んで来ます。

キイロヤマトンボのオスは個体数が割と多く、振り逃して濡れた網を乾かしている間に飛んでくるので、まだ濡れている網を振ったらなんと竿が折れてしまいました……。でも、折れた竿を無理やり使い、キイロヤマトンボのオスをなんとか採集できました。
キイロヤマトンボ(オス)
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また、同じような環境に生息するコヤマトンボのオスも採集できました。60口径のメッシュではなく、もっと網目が粗いイワシ網を使えばよかったです。
コヤマトンボ(オス)

採集する際のコツやおすすめの服装

先輩が言っていたのですが、キイロヤマトンボがいる川のコヤマトンボは、キイロヤマトンボに追いやられて川の岸近くを飛ぶそうです。実際、僕が採集したコヤマトンボは川岸近くを飛んでいた個体でした。この日は16時くらいに川を出たのですが、そのくらいの時間まで産卵個体も縄張り個体も見ることができたので、網を振るチャンスは多いです。水面スレスレを飛んでいる個体が多いので、上から網を被せるといいと思います。

また、川の中に入って採集するのでサンダルと海パンなどの濡れてもいい服装にしたほうが良いと思います。僕は長靴で行ったのですが、長靴の中に水が入って重くなり、動きにくかったです。キイロヤマトンボを採集するには、川に入って縄張り個体、産卵個体を採集する方法以外にも川沿いで摂食している個体を採集する方法があるらしく、こちらは川の近くの草地の上空を飛んでいる個体を採集するようです。

みなさんもぜひ最高にかっこいいキイロヤマトンボを採集してみてください!

今回の収穫

・アオハダトンボ(オス)
・アオハダトンボ(メス)
・アオサナエ(オス)
・キイロヤマトンボ(メス)
・キイロヤマトンボ(オス)
・コヤマトンボ(オス)

写真・文/工藤真悟

〈MOVEラボ研究員とは?〉
MOVEラボ研究員は、厳正な選考によって選ばれた、生きものや自然科学に興味のあるMOVE読者の代表です。研究員は、MOVEラボの活動に参加し、フィールドや博物館、動物園などをリアルに楽しみます。また、ラボの研究員は、自分たちの研究レポートをMOVEラボのサイト上で発表します。

メンバーは現在22名! 中学生以上は「助手」として活動しているよ!
https://lab.zukan-move.kodansha.co.jp/researchers

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