小さなカブトムシは、じつは幼虫時代に十分な栄養が取れなかったため、大きくなれなかったのです。カブトムシの大きさは、幼虫のときにどれだけ栄養豊富なエサを食べたかによって決まります。
小さなカブトムシ君は昆虫酒場ではちょっと弱い存在です。エサを巡る戦いでも大きなカブトムシに負けてしまいますし、メスの奪い合いでも劣勢です。でも、観察を続けてみると、大きなカブトムシの隙を突いて、すばやく動きメスを獲得して交尾をしていました。フットワークを活かして懸命に生きているんですね。
「がんばれ!」とつい応援してしまいます。カブトムシがいたら、すぐに捕って虫かごに入れたくなりますが、ちょっとがまんして、虫たちのドラマを観察して見てはいかがでしょうか。とっても面白いのでおすすめです。
柴田 佳秀
元ディレクターでNHK生きもの地球紀行などを制作。科学体験教室を幼稚園で実施中。著作にカラスの常識、講談社の図鑑MOVEシリーズの執筆...