【科学的理由があった!】人間が人間を食べてはいけないのはなぜ? 「倫理的・社会的な問題」以外の説明とは 

科学系YouTubeチャンネル「サイエンスドリーム」が解説

『恐竜は今も生きている? 動物・人類・絶滅生物──すごい進化の話』(ワニブックス刊)より イラスト:德永明子
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人間が人間を食べる共食い行為(カニバリズム)は、人類のタブーとされます。

私たちが人間を食べない理由には、「そんな残酷なことはいけない!」という倫理的・社会的な問題以外に、非常に科学的な問題があることをご存知ですか? 例えば、人肉のエネルギー効率や、人肉を食べることで死に至る恐ろしい病気……。

「科学は世界を見る窓!」という決めゼリフとともに科学の知識とその面白さを伝え、今や37万人超の登録者数を誇る科学系YouTubeチャンネル「サイエンスドリーム」。

古生物学・進化生物学にまつわるテーマを中心に、斬新な切り口と確かな科学的根拠にもとづく解説で、いま、大人はもちろん、ためになる“ナゾと不思議”で小学生の子どもたちにも大人気です。

ここでは、最新の論文や面白い研究にもとづくサイエンスドリームの動画の中でも、とくに話題と議論を呼んだ「人間を食べてはいけない謎」についてのトピックをお届けします。

この記事は『恐竜は今も生きている? 動物・人類・絶滅生物──すごい進化の話』(ワニブックス刊)から一部抜粋・再編集したものです。
サイエンスドリーム
科学の知識とその面白さを提供するYouTubeチャンネル。科学記者として約10年働いたのち、YouTubeで活動を始めた。古生物学・進化生物学にまつわるテーマを中心に、斬新な切り口と科学的根拠に基づく簡潔かつ分かりやすい解説、独自の見解が高評価を得て、大人から子どもまで人気になる。YouTubeでの決めゼリフは「科学は世界を見る窓!」
YouTube @sciencedream_jp

大昔の食人の証拠

イラスト:德永明子
人が人を食べるという食人行為は、これまでの人類の歴史の中でときどき登場します。

イギリス南西部のチェダー渓谷で見つかった1万4700年前の人類の骨の化石は、歯の跡と頭蓋骨の一部がなめらかに加工されていました。これが当時食人の風習があった証拠だと主張する研究者がいます。

また、アメリカ・コロラド州の南西部にある1150年代のインディアンの遺跡で発見された人のうんちの化石からは、人間の筋肉にあるタンパク質が検出されました。これも食人の証拠だという主張があります。
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