【観察】青と緑のミヤマカラスアゲハ!採集のコツを中学生昆虫博士が徹底解説

MOVEラボ研究員助手しんご「ボクの、観察・研究日記」vol.4

ミヤマカラスアゲハのオス
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昆虫から化石まで! 研究者顔負けの観察眼を持つ中学生がレポート!

MOVEラボ研究員・助手の工藤真悟(中2)

工藤真悟

「講談社の動く図鑑MOVE」の中学生研究員、工藤真悟(くどうしんご)です。昆虫や化石、鉱物など、生きものと自然が大好きなボクにとって、「フィールドワーク」は命! 今回は、黒地に青と緑の構造色が輝く「ミヤマカラスアゲハ」を徹底観察しました 。

昆虫採集は、事前のリサーチや工夫が成功を左右します。なぜ夏の採集では花ではなく水たまりで待つのが良いのか? なぜ赤色の服が有効なのか? ボクが自ら山へ赴き、経験から学んだミヤマカラスアゲハを捕まえるための具体的なノウハウをお届けします。

第1回(ハラグロオオテントウ)第2回(ギフチョウ)第3回(マルタンヤンマ)に続き、MOVEラボ研究員助手しんごがレポートします。
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青と緑に輝くアゲハチョウ!「ミヤマカラスアゲハ」の生態

ミヤマカラスアゲハは、黒地に緑色と青色の構造色の模様がある美しいアゲハチョウの仲間です! 春型と夏型があり、春型は小型で夏型は大型になります。しかし、色彩は基本的に春型のほうが美しく、派手な模様があります。
ミヤマカラスアゲハのオス
名前の由来は深い山にいるカラスアゲハだから深山カラスアゲハですが、深い山でないといないわけではなく、標高が低くても食草であるカラスザンショウ、ハマセンダンなどが生えていれば生息している可能性があります。

採集時は赤色の服を着るのがおすすめ!

春は花によく来るので花で待っていれば飛んできますが、夏は花に来るのはメスだけで、メスはとても個体数が少ないので花の前で待っていても収穫が少ないです。なので、水を飲みに水溜まりなどに来るのを待つか、蝶道で待つのがいいと思います。暑すぎると全然飛ばなくなるので注意が必要です。
また、赤色に寄ってくるので、赤色の服を着ていくとかなり採集が楽になります。赤色の服と網を持った人を山で見かけたら、おそらくそれはミヤマカラスアゲハの採集に来ている人です。
ミヤマカラスアゲハのオス

夕方以降の時間帯が採集チャンス!

採集記

その日は気温がかなり高く、山を登る前に同行者の人と飛ばないだろうと話していました。しかし、山の上に登ってみると、ひらけたところに二つの蝶道が交差していて、カラスアゲハに混じってたくさんのミヤマカラスアゲハが飛んできたのです! 脇のところにカラスザンショウがあったので、メスを採ることもできました。
ミヤマカラスアゲハのメス
また、15時くらいになると上空にはオオムラサキが飛び始め、16時くらいになるとミヤマカラスアゲハが飛び終わってモンキアゲハやスミナガシが飛ぶようになりました。
ミヤマカラスアゲハがいるようなところにはさまざまな面白い蝶がいるので、行く価値があると思います。また、ミヤマカラスアゲハ自体も個体変異が大きく、産地によっても全然違ったり、同じ産地でも発色が全然違ったりします。

「ミヤマカラスアゲハ」と「カラスアゲハ」の見分け方

ミヤマカラスアゲハとカラスアゲハは、個体によっては見分け方が難しいので、それぞれの写真を載せておきます。

ミヤマカラスアゲハ

ミヤマカラスアゲハは、後翅の裏側に白い帯が入り、前翅の裏側の白い帯が細いです。
ミヤマカラスアゲハ(オス)の翅の裏側
ミヤマカラスアゲハ(オス)の翅の表側

カラスアゲハ

それに対し、カラスアゲハは後翅の裏側に白い帯がなく、前翅の裏側の白い帯が太いです。
カラスアゲハ(オス)の翅の裏側
カラスアゲハ(オス)の翅の表側
ぜひ構造色を生で見てみましょう! さまざまな角度で見てみると楽しいです。

写真・文/工藤真悟

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