樹齢7000年超! 世界自然遺産「屋久島の縄文杉」を一生に一度は見るべき理由
念願の“縄文杉”に会いに、MOVEラボ助手のまさたかが行ってきました
2023.06.03
MOVEラボ・高校生メンバーがみた感動の島、屋久島
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縄文杉は、世界自然遺産に登録されている屋久島にある!
135kmと言われてもあまり実感が湧かないかもしれませんが、私が鹿児島県の港から乗船した高速船では、ロケットの発射が行われる種子島にも寄港しておよそ2時間半かかりました。ちなみに屋久島には空港もあるので飛行機で訪れることも可能です。
屋久島は90%以上が森林から成り、全域ではありませんが一部は世界遺産に登録され、5~8月はウミガメが産卵に訪れるほどに自然で溢れています。
島内には大手コンビニチェーンは無いので、個人経営のコンビニばかりだそうです。地域のスーパーを訪ねた際は、輸送コストのせいかお肉などが私の地元より若干高いような印象を受けました。
縄文杉とは?
縄文杉がある屋久島は、九州の南端から南へ60kmほどの海に浮かぶ五角形の島。東京23区と同じくらいの面積の島には、九州一高い宮之浦岳(標高1936m)などの山が連なっていて、「洋上のアルプス」ともよばれているよ。島の90%は森林で、よく知られた「屋久杉」をはじめ、たくさんの樹木におおわれた、緑の山の島なんだ。
縄文杉は、確認されているなかで最大の屋久杉です。高さは25m以上、おとなの胸の高さでの周期は16.4mもあり、ずんぐりしています。はっきりとした樹齢は不明ですが、2000年~7200年と考えられています。縄文杉のほかにも、名前のついた屋久杉の大木があります。(MOVE「世界遺産」より)
誤解するポイントであるのがそもそも縄文杉という名は、数ある屋久杉の一個体につけられた名前なので種の総称ではありません。上記の屋久杉とは屋久島に生えた樹齢1000年以上の物を指し、それ以下のものは小杉というとかなんとか。
往復10時間以上! 縄文杉までの道のりは険しい……!?
答えは往復10時間以上です。そう聞くと自分には絶対に無理だ、と考えてしまうのも無理のないことです。かくいう私も日頃から運動をあまりしていなかったので、かなり厳しいのではないかと思っていました。が、意外や意外、膝はガッタガタになりましたが、体力の面というならそれほど心配はいらないと感じました。
トロッコは現在も緊急時などで使われることがあるらしく、綺麗に整備されていたのですが慣れない凸凹道にはどうにも骨が折れました。
屋久島は月に35日雨が降ると言われているようで、道中で伺ったガイドさんのお話によると、ある人は飛行機で屋久島に行こうとしたらしいのですが、悪天候によって計3回にわたり上陸することができなかったそうです。それを聞いて、私は問題なく上陸できたうえに、この日は清々しい快晴だったため、幸運が味方してくれたのだと確信しました。
そこから1時間ほどの地点でウィルソン株というものに出会いました。面前には少し開けた空間があり、他の登山者はそこで休憩をしている様子でした。
一番の特徴は切り株内のある角度から上を見上げると、ハート型の穴が見えるということです。私もばっちり見てきました!
しかしそのおかげで、屋久杉は非常にゆっくりと成長するので長寿なんだそうです。ほかにも抗菌作用を持つ樹液が多い影響もあるという話でした。この小さな小さな幼木がきっと、人間を見守りながら大きくなっていくのでしょう。感慨深い光景でした。
縄文杉の樹齢は正確にはわからないそうで、約2000~7200年となっています。これは7300年前に噴火した鬼界カルデラの火砕流によって、九州付近の動植物が全滅したとされているそうなので、噴火の前から樹齢が続いているとは考えられないようです。(諸説あり)
縄文杉に行くまでの道のりでは、三代杉、仁王杉、大王杉、夫婦杉など個性溢れる屋久杉が登山者を迎えているように生えていましたが、残念ながらじっくりと観察できるほど私の体に余裕はありませんでした。
5時間半歩いて……縄文杉はもう目の前……!?
実際に、登山道では多くの人と(お年寄りも非常に多かったです)すれ違ったのですが、その人たちの目は「楽しい!」という気持ちでいっぱいのようでした。恐らくは私の目も。
ちなみに縄文杉は枝が折れて下に落ちてくる危険性から、現在は少し離れた展望デッキからの鑑賞になっています。
道が平坦になる場所まで進むとガイドさんがツアー参加者に、ここからは頭を下げて前を見ないで歩いてくださいと言いました。私がサプライズを待つ子どものような気持ちでいると、ガイドさんは、あれを見た登山者たちは絶対に言葉が出ない、と言っていたのが聞こえました。
そこまで上がった期待のハードルを縄文杉が超えることができるのか、展望デッキへ上がる階段の途中あたりで、若干の不安が頭をよぎりました。そのとき、「頭を上げてください」という声が上がりました。
ついに目の前に縄文杉が! 言葉にならない、感動の瞬間!
荘厳の一言で済ますことのできない美しさ、空へ空へと伸びた枝から漏れた光は、等しくその場の人間に投げかけられており、私にはそれを感じることができただけでこの旅は一生のものとなりました。人の寿命が長くて100年ほどの中、こうして何千年と生きてきたあの大樹は、わかりやすく目に見える生命の形を体現したものでした。
残念なことに縄文杉との対話は30分ほどで終わりを告げ、来た道を戻りましたが、私はあそこに感動を置き忘れてきたような気さえします。
取材・文・写真提供/MOVEラボ研究員・加藤雅隆