サッカーボールはなぜ五角形と六角形の組み合わせなの? 〜身近にある物のかたちの謎を解き明かそう!~
物のかたち図鑑 チャプター10 ~サッカーボールのかたち~
2023.09.15
サッカーボールは、もっとも球に近い立体のかたち
五角形と六角形を組み合わせたサッカーボールは、なぜこんなかたちになったのでしょうか。
サッカーボールは、五角形が12枚、六角形が20枚の組み合わせです。この組み合わせをむずかしくいうと「切頂(せっちょう)20面体」といいます。
五角形が12枚、六角形が20枚ですから32面体といってもいいでしょう。
アルキメデスの32面体
球体というのはボールのことで、大きなものでは地球や月、太陽のような星も球体ですね。完全な球体のことを真球といいますが、この真球はいまの技術でもつくりだすことができません。
立体とは小さな箱もそうですし、大きなビルやピラミッドも立体です。角のある箱やピラミッドはつくれても、角のない丸いかたちの物をつくるのは、いまもむかしも大変です。
そこでアルキメデスは五角形と六角形を組み合わせて、なるべく丸に近いかたちをつくろうとしたのでしょうね。
ですから、むかしの人がボールをつくろうとすれば、とても大変だったにちがいありません。
五角形と六角形のサッカーボールが生まれた理由
バスケットボールもバレーボールもちがうかたちをしています。
60年以上前までは、サッカーボールも長方形のかたちをした革(かわ)を組み合わせてできていました。このときのサッカーボールの色は茶色でした。
サッカー人気とともに、テレビでもサッカーの試合が放送されるようになりましたが、むかしの白黒テレビでは、土と同じ色の茶色いボールでは、ボールがどこに行ったのかがよく見えません。
そこで目をつけたのがアルキメデスの32面体です。いつだれがやったかは諸説あるものの、12枚の五角形を黒に、20枚の六角形を白にしました。
世界中にテレビが普及していった時代ですから、まだ白黒テレビが多く、テレビ映りのよい白と黒のサッカーボールは世界中の試合で使われるようになったのです。
サッカーボールは丈夫じゃないといけない
サッカーボールは足でつよく蹴られます。ですから丈夫じゃないといけません。蹴られているうちに、ボールの丸い形がゆがんでしまってはボールがまっすぐ転がらず、選手は困ってしまいます。
でも野球のボールやゴルフボールだって、バットやクラブでつよくたたかれます。たしかにそうですけど、野球のボールやゴルフボールは試合中ひんぱんに交換できます。サッカーボールはボールが外へ出ない限り、ずっと同じボールがつかわれつづけます。
だからかたちがくずれにくい五角形と六角形の組み合わせなのです。
現在のサッカーボールはつくる技術が上がって、はじめから曲面で材料をつくり、それを熱してつなぎ合わせることで、さらに丈夫でデコボコのないきれいな球形になっています。
謎のこたえ いちばん丸くて丈夫なかたちだから!
テレビマガジン編集部
日本初の児童向けテレビ情報誌。1971年11月創刊で、仮面ライダーとともに誕生しました。 記事情報と付録の詳細は、YouTubeの『テレビマガジン 公式動画チャンネル』で配信中。講談社発行の幼年・児童・少年・少女向け雑誌の中では、『なかよし』『たのしい幼稚園』『週刊少年マガジン』『別冊フレンド』に次いで歴史が長い雑誌です。 【SNS】 X(旧Twitter):@tele_maga Instagram:@tele_maga
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