ペンギンは飛べないのではなく「飛ぶのをやめた」という驚きの事実! 動物園の飼育員が解説!
ペンギンはなぜ、飛ぶのをやめた? 「淡路ファームパーク イングランドの丘」動物園の現役飼育員が答えます。
2024.09.19
「コアラはなぜ木のぼりが上手?」「ペンギンはなぜ飛べないの?」といった素朴な疑問から、はては「ネコとパパはどっちがえらいの?」といったユニークな質問まで──現役の飼育員さんに、真剣に答えてもらいました。
この記事は『飼育員さんのすごいこたえ』(ワニブックス)から一部抜粋したものです。
淡路ファームパーク イングランドの丘
兵庫県南あわじ市にある農業公園。イングランドの湖水地方をイメージしたテーマパークで、ふれあいを楽しめる動物園のほかに、広大な敷地の中で手作り体験、収穫体験、花の鑑賞などが楽しめ、淡路島グルメを堪能できるレストランも併設されている。動物園の一番人気はコアラ館。
園内の質問箱に寄せられた「なぜ?」への飼育員さんのユーモアあふれる回答とイラストがX(旧Twitter)上で話題となる。
X(旧Twitter)=@englandhill_zoo
ペンギンが「飛ぶのをやめた」のは進化の過程
ペンギンは、鳥なのになぜ飛べないの?
【飼育員さんの答え】
というのも、鳥が空を飛ぶためには、翼を力強く羽ばたかせるための強大な筋肉と、その筋肉と胸の骨を支えるための「竜骨突起」という特殊な骨が必要なのですが、実はペンギンにはそのどちらも備わっているんです。
ペンギンは進化の過程で、もともと空を飛ぶために備わっている体の構造をあえて水中で活かせるよう特化させた鳥と言えます。ほら、ペンギンがヒレのように進化した翼を動かして、まるで水中を飛んでいるかのように泳いでいるのを見たことはありませんか?
これは想像ですが、空を飛んでいたペンギンの祖先は、餌が豊富なうえ天敵も少ない海中という環境で暮らしているうちに、空を飛んで移動するより水の中を泳ぐ能力を高めるほうが効率的だということで、少しずつ今の姿に進化していったのかもしれませんね。
ティラノサウルスは花柄だった可能性もある!
ティラノサウルスは、なんで、ひふが、茶色なの?
【飼育員さんの答え】
たしかに、本や映画などで見るティラノサウルスは茶色く描かれることが多い気がします。これはライオンなど強い肉食獣のイメージで着色されているからかもしれませんね。
もしかしたら、花柄などもっと派手な色や柄をしていたのかもしれないし、全身に羽毛が生えていたという説もあります。想像する人の数だけいろんな姿のティラノサウルスが生まれるのは楽しいですね。
コアラは指紋があるから木のぼり上手
コアラは、どうしてきのぼりがじょうずなんですか?
【飼育員さんの答え】
コアラの指には鋭い爪があって、これを木の皮にひっかけて上手に木にのぼることができます。しかも指には指紋があってすべりどめの役割を果たしています。
指に指紋があるのは、私たちにとってはあたりまえのことですが、実は動物全般ではサルの仲間と一部の動物にしか見られないとてもめずらしい特徴です。
動物が涙を流さないのは脳のしくみ
どうぶつは、なぜ、なみだを、ながさないの?
【飼育員さんの答え】
涙は目が常に潤った状態を保っていられるように分泌されているのですが、ほこりや細菌などの異物や刺激から目を守るのにも役立っています。
これは多くの動物に共通した特徴ですが、ヒトは感情によっても涙を流しますよね。これは脳のしくみがほかの動物より発達していることが大きく関係しているようです。
ヒト以外の動物にも感情はありますが、感情によって涙を流さないのは脳にそのしくみが備わっていないからだと思います。
えらいのはパパでなくて、ネコかもね
ネコとパパはどっちがえらいの?
【飼育員さんの答え】
その疑問が出ている時点で もう薄々答えはでているんじゃないかな……。
それを私に言わせるなんてあまりにも酷です。
ネコです。
飼育員さんのすごいこたえで生きものの「なぜ?」に気づこう!