「ヒグラシ」の起源は日本最古の歌集「万葉集」! 涼しげで儚い鳴き声のヒグラシとはどんな昆虫?

【ちょっとマニアな生きもののふしぎ】昆虫研究家・伊藤弥寿彦先生が見つけた生きもののふしぎ

昆虫研究家:伊藤 弥寿彦

日本最古の歌集「万葉集」にも登場!

ヒグラシ
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最近の夏は毎日「暑い」というより「熱い」と言いたくなる日が続いていますね。私の家の周りでは最近は暑すぎて、昼間セミが鳴きません(夜鳴いています)。

セミの声は種類によって様々ですが、アブラゼミやミンミンゼミ、クマゼミなどの鳴き声は、私たち日本人には、汗ばむ夏を感じさせる「暑くるしい音」に感じられるのではないでしょうか? ←この説には科学的根拠はありません(笑)。

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ヒグラシの鳴き声はなぜか涼しげ

そんな中、ヒグラシの鳴き声は、他のセミと全く違って、どこか涼しげで、心にしみる物悲しさを感じます←これも科学的根拠はありません。でもこれはいずれ脳科学的に解明できるのではないか?という気もします(再笑)
日中、炎天下で鳴くセミとは対照的に、薄暗い夜明けと夕暮れ時に鳴くヒグラシ。実はこの「ヒグラシ」という種名の起源は驚くほど古く、なんと今からおよそ1300年前に作られた日本最古の歌集「万葉集」に登場しています。万葉集には大昔の人たちが詠んだ約4500首の歌が記されていて、その中にはセミが登場する歌が10 首もあります。そして、なんとその内の9首が「ひぐらし」と書かれているのです。ひとつだけ紹介しましょう。

『ひぐらしは時と鳴けども片恋にたわや女我れは時わかず泣く』(第10巻:作者不明)

これを現代語訳すると「ヒグラシは時間を決めて鳴くけれど片思いに悩む女の私はいつもいつも泣いています」となります。正にヒグラシの生態が書かれているし、そして何とも物悲しいではありませんか!(再々笑)。
動画も公開!ヒグラシを採取しに出かけると……

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