驚愕する可変戦闘機のリアル!
放送前にバルキリーそのものは公開されていたものの、「はたしてどのように変形するのか」は明かされていなかった。それだけにオープニング映像で、ファイターからガウォーク、そしてバトロイドに変形して戦うVF-1 バルキリーで「答え合わせ」を見せつけられたファンは、一発で魅了されてしまったのである。
とくに変形シーンはロボットアニメにとって見せ場であるため、玩具の販促的にはゆっくり見せて、見得きりのポーズで印象づけるのが定番だった。
だが、VF-1 バルキリーの変形は、あくまでメカニズムの機能の1つとして、ファイター、ガウォーク、バトロイドとシームレスに各形態に変形しながら戦うさまを、リアルに描いたのだ。
ロボットアニメの発明といえるVF-1 バルキリーだが、シリーズとしてこの形態に固執せず、作品ごとに新たな可変戦闘機が登場するのも驚きである。
VF-1 バルキリーにはじまり、『マクロスプラス』ではYF-19とYF-22、『マクロス7』ではファイヤーバルキリー、『マクロスゼロ』ではVF-0 フェニックス、『マクロスF』ではVF-25 メサイア、『マクロスΔ』ではVF-31 ジークフリードといった具合に、時代や映像表現に合わせて可変戦闘機はアップデートされてきた。
それだけに「次の『マクロス』では、どんな可変戦闘機が登場するのか?」という点も、ファンに期待感を抱かせるポイントになっているのだ。
歌は物語の重要な要素!
『超時空要塞マクロス』でいえば、ミンメイの歌は文化を持たないゼントラーディに衝撃を与え、最終的に星間戦争終結の決定打になっている。
『マクロスプラス』では洗脳の手段として、『マクロス7』では生態兵器プロトデビルンの切り札、『マクロスゼロ』では人類に滅びをもたらす恐るべきものとなり、『マクロスF』では宇宙生物バジュラとのコミュニケーションの手段に、そして『マクロスΔ』では奇病ヴァール・シンドロームを鎮める力となった。
物語の一要素として存在感を示してきた歌だが、そこに説得力が生まれなければ、劇中での効果は薄まってしまう。とくに歌には流行があり、時代のトレンドに敏感でなければならない。
そこで「マクロス」シリーズでは、80年代のアイドル、90年代のロックバンド、00年代の歌姫、10年代のグループアイドルなど、時代に合わせて流行歌を積極的に取り込んできた。
つねに流行歌を追うことは、新たなユーザー層に対しても「自分たちの世代の歌」という意識を抱かせ、「マクロス」の新陳代謝を促してきたのではないだろうか。