ヒーロー雑誌の編集が作るトミカ絵本は「密」で「四面」! 【あつまれ! トミカ いっぱいずかん】

テレビマガジン謹製『あつまれ! トミカ いっぱいずかん』の注目ポイントを編集者が語ります。制作秘話も。

テレビマガジン編集部

『テレビマガジン』では『ウルトラマン』など数多くの特撮ヒーロー関連の本を刊行しています。その一方で、「のりもの」「どうぶつ」ものや「女児向けアニメ」など、『テレビマガジン』のメイン読者層から離れた本もときどき出版。好評発売中の『あつまれ! トミカ いっぱいずかん』も読者乖離層にある本ですが、そこには、特撮ヒーロー編集部ならではのエッセンスも込められています。
トミカを並べて作られた「870」の数字。それが意図するものとは……!? ※最後まで読むとわかります

トミカ×テレビマガジン(黎明期)

担当編集者の私は長らく、いわゆる「幼児誌」と呼ばれる部署に在籍していました。その部署における「トミカ」は訴求力【大】の主力コンテンツであり、頼もしい4番バッターでした。

そんな『トミカ』の大砲ぶりが忘れられず、『テレビマガジン』に異動となった私は、何かもっともらしい理由をつけて企画を通し、新しい部署でも『トミカ』の絵本を作ることになりました。

そうして作った『トミカ』絵本の第1弾がこちらでした。
▲『あそべる ずかん トミカ』
こちらの『あそべる ずかん トミカ』にも触れておきます。

まずは「表紙」を見ていただきたい。

「トミカ」の「箱」をイメージさせる枠取り。

メインカットはバーンと重機! 「はたらく くるま」を推しています。

そして中身は、図鑑ページと遊びページがほぼ半々。

この本はつまり、小さなお子さん向けに構成されています。

トミカ×テレビマガジン(発展期)

話を本題に戻します。

みなさまのご支持があり(感謝!)『あそべる ずかん』のセールスが好調でした。

そして「トミカ」第2弾として発売されたのが、今回の『あつまれ! トミカ いっぱいずかん』なのです。

さっそく、表紙をご覧ください。
▲『あつまれ! トミカ いっぱいずかん』
トミカの数が凄いことに!

とにかく数を優先するために、大きなカットを捨てています。

これは、トミカの「量的緩和」ですね。

この絵本も、もちろん小さなお子さんをターゲットにしています。

しかしながら、「小さなお子さん」を卒業して『テレビマガジン』を読んでいるような子にも関心を持っていただけるようなデザインを施しています。テレマガ世代の読者は、なんといっても理屈抜きに「たくさん」な図鑑が大好きなのです。

このような、表紙にぎっちり詰め込むデザインは、特撮ヒーローの絵本では常用されていて、いわば王道のデザインです。

たとえば、このような表紙がそれです。
▲『ウルトラ怪獣 パワフル大図鑑100』 ©円谷プロ
怪獣どんだけ「密」なのって表紙です。

こんだけ怪獣がいたら、パワフルすぎでしょ。

私は50代の人間なので、もう、この表紙を見ただけで、おなかいっぱいになってしまいます。

しかし、育ち盛りの子どもたちには、この「満腹感」が良いのですね。

『テレビマガジン』らしさは誌面にも

このようなテレビマガジンの技法は誌面にも生かされています。

たとえば、これ。
▲14-15ページ
誌面を見てみると、特撮ヒーロー関連本の影響を受けたデザインが見受けられます。

こちらに、注目してください。
▲かにクレーン
前、横、後ろ、上。すべての角度から車両が掲載されています。

この技法は、いわゆるヒーロー誌の方々が「四面」(よんめん)」と呼んでいる、とても汎用性が高い掲載の仕方なのです。

たとえば、こんな感じです。
▲『テレビマガジン』の誌面より抜粋。『ウルトラマンデッカー』  ©円谷プロ
ヒーローや怪獣の場合は、前、右、左、後ろの「四面」となります。

絵本では、この「四面」カットを多用した「トミカをさがせ!」のページもあります。設問数は4題です。

前・横・後ろ、上から、トミカを探してみましょう。

写真をたくさん掲載! そのために

トミカをテレマガチックに「四面」から見せる。

これまで、実はありそうでなかったその手法を実践するために、まず、編集チームがすることと言えば、写真を撮ること。

撮影は、この「四面」だけではありません。

消防車のはしごを伸ばしたり、重機のアームを持ち上げたり、アクション部分を稼動させた場面も欲張って撮影。

そのため、共同編集者のHさんとカメラマンのOさんは、まるまる2日間、スタジオにこもって延々と撮影をするはめになったのです。

これは、大変な作業です。

撮影2日目の夕方、疲弊している二人を見て、私は「これは、ねぎらわなければ」と強く思いました。

そして二人に「今からお弁当を頼むから、一緒に食べましょう」と提案をしました。スタジオの近くには、評判のデリバリー焼肉弁当屋さんがあるのです。私は牛タン弁当(特上)が好みです。

そうしたら、Hさんから意外な返事が……。

「撮影の後に、遅れても参加したい飲み会があるので要りません!」

え、そうなのですか?

牛タン弁当(特上)が食べたかったのになあ、ではなくて、ねぎらいたかったのになあ……断られてしまいました。

しかたなく、自販機に行ってレッドブルを購入。二人に差し上げたのでした。

870

そうして絵本に掲載された「トミカ」は、全89台870カット!

ロングトミカもカバーしています。
▲ロングトミカもアクション全開
「トミカいっぱいずかん」を読んで「満腹感」を味わっていただければ幸いです。
『あつまれ! トミカ いっぱいずかん』
42ページのボリュームに、人気のトミカが80台以上大集合! 持ち上がったり回転したり、はたらく車のアクション部分の紹介と解説もあります。ロングトミカも掲載!

テレビマガジン編集部

日本初の児童向けテレビ情報誌。1971年11月創刊で、仮面ライダーとともに誕生しました。 SNS:テレビマガジンX(旧Twitter) @tele_maga  SNS:テレビマガジンLINE@ @tvmg  記事情報と付録の詳細は、YouTubeの『ボンボンアカデミー』で配信中。講談社発行の幼年・児童・少年・少女向け雑誌の中では、『なかよし』『たのしい幼稚園』『週刊少年マガジン』『別冊フレンド』に次いで歴史が長い雑誌です。

日本初の児童向けテレビ情報誌。1971年11月創刊で、仮面ライダーとともに誕生しました。 SNS:テレビマガジンX(旧Twitter) @tele_maga  SNS:テレビマガジンLINE@ @tvmg  記事情報と付録の詳細は、YouTubeの『ボンボンアカデミー』で配信中。講談社発行の幼年・児童・少年・少女向け雑誌の中では、『なかよし』『たのしい幼稚園』『週刊少年マガジン』『別冊フレンド』に次いで歴史が長い雑誌です。