全世界の小学生が夢中! 「顔から逃げるゲーム」開発者はゲーム三昧の人生を送っていなかった!?

【後編】ゲームクリエイター・manatoさんインタビュー (2/2) 1ページ目に戻る

ライター:山本 奈緒子

実は「村上春樹」の小説とジブリ映画が創作の源になっています

──ゲームは、作ることはできても、アイディアが面白くないとヒットはしません。manatoさんの子ども時代の体験の中で、アイディア豊かな人になれる要素があったとしたら、それは何だったと思われますか?

manatoさん:流行りのゲームは一通りやってきたことが大きいのかなと思います。「顔から逃げるゲーム」も、マリオの動きを思い出しながら作りましたから。そう考えると、いろんなゲームを買ってくれて、制限なくやらせてくれた親に感謝しないとですね。

──ただ先ほど、社会人になったころにはもうあまりゲームをしていなかった、とおっしゃっていました。決してゲーム三昧の人生を歩いてきた、というわけではないんですよね?

manatoさん:高校生になるとゲームはしなくなったんです。教育費のこともあって、親に高いゲームを買ってもらうのが申し訳なくて。そのかわりに本を読んでいました。とくに村上春樹が好きだったんですけど、彼の小説って不思議な世界観が展開されているので、それがゲームの世界観を構築するうえで影響しているところはあると感じています。

──読書がお好きだったんですね。アイディア豊かな人になっていくには、ゲーム以外の経験も大事だと考えさせられます。

manatoさん:そう言われると、マンガもたくさん読んでいたなと思い出しました。キン肉マン、名門第三野球部……。あと、僕は姉と妹がいたので、女性向けのカルチャーにもたくさん接してきました。それが、幅広い感覚を育ててくれた気がします。実は、「顔から逃げるゲーム」も女性ユーザーのほうが多いんです。

結局、ゲームを作ってみようと思っても、リアルな遊びを経験していないとアイディアが湧いてこないと思うんですよね。だからもしゲームクリエイターを目指す子にアドバイスが欲しいと言われたら、「いろんな遊びをしたほうがいい」という答えになるかもしれません。昆虫を集めたり、リカちゃん人形の着せ替えをしたり……。

僕は、「となりのトトロ」みたいな不思議なものがいるんじゃないかと想像するほうが、この世界は面白くなると思っています。誰しも子どものころには、本当にお化けも鬼もサンタもいると信じていたはずで、子どもにとっては本当に存在していますよね。

偉そうには言えないのですが、ゲームにかぎらず創作にはつまりはそういう、「夢のある心」を持って生きることが大事なんじゃないかと思っていて。「夢のある心」がきっと、自分にしかないゲームの世界観を生み出してくれると思っています。

──今はどのようにアイディア感覚を磨いていらっしゃるのですか?

manatoさん:いろんなゲームをやってみるだけでなく、本を読んだり図鑑を見たりしています。やはり一つのアイディアだけで作っても、最初は盛り上がってもすぐに飽きられてしまいますから。

神話を知りたくて『古事記』を読んだり、最近は「ディズニー+(プラス)」にもハマっています。『シンデレラ』ってやっぱり面白いな、ディズニーって何でこんなにワクワクするんだろう? って、毎回感動しています。結局、どれだけ考えてもその理由は分からないんですけどね(笑)。

究極の夢は世界に誇れる映画を作ること

──一方で、どんな仕事にも大変さはあるもので。ゲームクリエイターとしての大変さってどのようなものがあるのでしょう?

manatoさん:作り始めたときはいいんですよ。「こんな機能をいれよう」「こうしたら楽しいんじゃないか」とアイディアがどんどん湧いてきて、ワクワクするんです。でも毎日開発を続けていると、3~4ヵ月目ぐらいに、毎日ゲームに向き合いすぎて見るのも嫌になる時期が襲ってくる。

これ、“ゲームクリエイターあるある”なんですけど、途中で自分のゲームの何が面白いのかわからなくなるんです。それで開発をやめてしまって、新しいゲームを作り始める人も多いんですけど、「顔から逃げるゲーム」のときはちょうど転職活動中で無職だったこともあって「これしかない」と思っていたので、苦しかったけど開発を続けました。

おかげでこれほどのヒットにつながりました。無職で良かったと思いましたね(笑)。

──反対に楽しいことは、やはりいろいろなアイディアを考えているときですか?

manatoさん:ゲーム作りについてこんなことを言ってはなんですが、ほとんどの時間は楽しい時間ばかりではないんです。ゲームプログラミングは、地味で、膨大な時間がかかる作業ですから。でも、自分の頭の中で描いていたことを実際に再現して、それが想像以上に面白かったときの感覚は最高です!

──この先、やりたいと温めていることについても教えてください。

manatoさん:「Zooo」といって、「顔から逃げるゲーム」の動物バージョンみたいなゲームも作って公開しているんです。こちらは顔が動物で体は人間という生きものが包丁を持って追いかけてくるという、ちょっとキモカワなホラー系ゲーム。仲間でクリアしていくものなのでけっこう好評で、「アップデートしてほしい」という声が多いんですけど、滞っているのでまずはそれを……。
余談ですがこのゲームは、『古事記』の学習マンガを読んでいて思いついたんです。日本って神話とか、妖怪とか、いろいろ面白いカルチャー素材がある。何より、このゲームのキモカワさに反映されているように、日本には世界に誇る“カワイイ”カルチャーもある。

このカワイイ感覚って、日本人なら男女関係なく自然と持っていると思うので、すごい強みだと思うんですよね。そんなふうに、再現させたいアイディアはいっぱいあるんですけど……。

──ゲーム開発だけでなく、他にもこんなことをやってみたい、という夢はあったりしますか?

manatoさん:ゲーム開発は、需要がある限りやっていきたいと思っているんですけど、一方で僕は同じくらい映画も好きで。とくにジブリ映画は世界に誇れるカルチャーだと思っている。あんな素敵な映画がいつか1本でも作れたらなと、密かに夢見ています!
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山本 奈緒子
やまもと なおこ

山本 奈緒子

ライター

1972年生まれ。愛媛県出身。放送局勤務を経てフリーライターに。 『ViVi』や『VOCE』といった女性誌の他、週刊誌や新聞、WEBマガジンで、 インタビュー、女性の生き方、また様々な流行事象分析など、 主に“読み物”と言われる分野の記事を手掛ける。

1972年生まれ。愛媛県出身。放送局勤務を経てフリーライターに。 『ViVi』や『VOCE』といった女性誌の他、週刊誌や新聞、WEBマガジンで、 インタビュー、女性の生き方、また様々な流行事象分析など、 主に“読み物”と言われる分野の記事を手掛ける。