歌舞伎俳優 中村勘九郎 「礼節を大切に」と教えられた幼少時代

芸のことだけは厳しかった父 それ以外は自由に育ちました! 勘九郎インタビュー#2

ライター:小川 聖子

日常を大切にすることは お芝居の道にもつながります

春暁特別公演 「高坏(たかつき)」
ーー歌舞伎やお芝居に関して以外は、基本は「自由」だったのでしょうか。

勘九郎さん:そうですね。自由というか、「自主性に委ねられる」という部分が大きかったです。

特に、私が通っていた学校がそのような校風であり、そこで私は「自分自身で考えて、行動することが大切だ」ということを学びました。だから、人に決められるというよりは、自分で決めることが多く、そういう意味では「窮屈」を感じることは少なかったです。

「窮屈」って、よくないですよね。萎縮してしまうし、自分自身で考える機会を失ってしまう。反対に「のびのび」というのは、子どもにとってはとても大事なことだと思います。のびのびとした自由な心で、感じたり、思ったりすることは、これまた芝居の話になってしまいますが、実は演じることや芸の道にも通じています。

「感じたことをする」というのがお芝居ですから、考えてみればもっともですよね。うちの子たちも「お芝居が好き、歌舞伎役者になりたい」と言っていますので、「普段の生活が芝居につながるよ」という話はよくしています。

「正しく食べる」 基本を大切にする姿勢

ーー具体的にはどんなところでしょうか。

勘九郎さん:立居振る舞いから字の書き方までなんでもですが、わかりやすいところで言えば食事でしょうか。マナー的なことを含め、「正しく食べる」ということに関してはとても厳しく言っています。

歌舞伎の演目にはいろいろな役柄がありますが、例えば「汚く食べる」という役があったときに、正しい食べかたを知らないと、汚くも食べられない、ということが起こるんです。

基本を知らないと、アレンジすることができない。だから基本というのはとても大切です。その基本を学べる日常生活は、大切にしなければと話しています。
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