「Ane♡ひめ キャラ♡フェス」開催決定! 幼児誌編集長の考える広がるキャラクターと書籍化&商品化の関係性
おともだち・たのしい幼稚園・Ane♡ひめ3誌編集長 浅野聡子インタビュー2
2024.08.02
ライター:小川 聖子
2012年よりこども事業部で女児向けの付録や誌面を担当し、キャラクターをいかした数多くの企画でヒットを飛ばしてきた現編集長・浅野聡子。「Ane♡ひめ.net キャラ♡フェス」開催に際し、キャラクタービジネスの舞台裏やトレンドの傾向について語ります。
幼児雑誌への異動で知った「かわいい」の年齢を問わない強さ
浅野さん 異動してきた当時は上の娘が4歳で、まさに『たのしい幼稚園』世代でした。当時もプリキュアは大人気でしたが、娘もプリキュアが大好き。
ちょうど『スマイルプリキュア!』の年だったので、私がプリキュアに関わるのをとても喜んでくれたんです。「すごい!」「ママ天才!」って(笑)。
ただ、当時はいわゆる付録付きの幼児雑誌の勝手みたいなものが全然わかっていなくて、最初に手がけた付録も、全然キャラクターに関係ないものだったんです。
というのも、そのころは誰かに細かく仕事を教えていただくという状況でもなかったので、もう自分で勝手に企画を出して、勝手にやるみたいな感じで(笑)。
それで企画が通ったので、ほとんど『with』の付録を作るような感覚で、当時大人の女性の間で流行っていた「小さいポンポン」をあしらって、子ども用のピンクのバッグを作って付録にしたんです。
ひたすら、「かわいくておしゃれなものを作ろう!」というマインドで進めてしまったのですが、実はこのような「ただのおしゃれアイテム」みたいな付録をつける前例はなかったみたいなんです。
だから後になってから「キャラクターをつけないと売れないよ!」と言われたのですが、知らないし、もう間に合わないし(笑)。
でも、結果はビギナーズラックもあったのか、異例の大ヒット。当時は発行部数も20万部くらいありましたから、街でそのバッグを持っている子を見かけることも多くて……。怖かったのと嬉しかったのと、今でもよく覚えています。
──「かわいいもの、おしゃれなもの」はもともと女の子が大好きなものでもあると思います。
浅野さん 私自身、ファッションが大好きですし、娘を育てる中でもどうせならかわいいもの、おしゃれなものを与えてあげたいと思っていて。
そういう意味では、当時は誌面も私から見たら「もっとなんとかしたい!」という状況だったんですよね。キッズモデルの写真ひとつとっても、ヘアメイクを整えて、「かわいく撮る」「おしゃれに撮る」みたいな概念がほとんどなかったんじゃないかと思います。
なので、ちょっと『with』時代のスタッフにも声をかけたりして、少しずつ変えていきました。
素晴らしいキャラクターには素晴らしい「スタイルガイド」があり、それが作り手を刺激する
浅野さん 当時(2012年ごろ)編集部では、プリキュア以外のキャラクターものはほとんど扱っていなかったですね。
スーパー戦隊シリーズ関連やタカラトミーさんなど玩具メーカーさんとのお付き合いはありましたが、世の中で流行っているIP(※Intellectual Property=知的財産。ここでは作品名やキャラクターなどの著作権を指す)を取ってきて本やグッズを作る……というのは、当時はほとんどやっていませんでした。
その後、付録や企画が大ヒットする「すみっコぐらし」は、当時もちろん大きな人気を得ていましたし、本も少しは作られていましたが、「付録にして爆発的なヒットを狙う」みたいな考え方は、社内ではあまり共有されていなかったと思います。
「すみっコぐらし」のキャラクターについても、社内でも当時は「ピンとこない」という意見も多かったんですよ。確かにそれまで子どもにウケているキャラクターって、ミッフィーにしても、キティちゃんにしても、色使いがはっきりしていたり、パキッとしたデザインのものが多かったりしたので、それに比べると「すみっコぐらし」は色使いが淡すぎるというか。
「誌面でちゃんと映えるの?」「子どもに伝わるの?」という心配の声が上がるのももっともと言えばもっともでした。
ただ、「すみっコぐらし」は、キャラクターがかわいい、デザインが優れているのはもちろんですが、「世界観」がしっかりあること、さらにその世界観を展開する「スタイルガイド」(※キャラクターをグッズや誌面で使用する際の設定画像集、使用ルールをまとめたもの)が豊富で、しかも全部おしゃれでセンスがいいところが圧倒的だったんです。
「このスタイルガイドのアート(イラスト)を使って、こんなグッズを作りたい!」がどんどん浮かぶし、それが欲しいって思える。「スタイルガイド」は毎月新しいものが出るのですが、それもちゃんと今の時代を反映していて、おしゃれなんですよ。
ひとつのIPをどんどん動かして、さまざまなアートとしてスタイルガイドに落とし込んで、それを使ってものを作っていくって、それまでの講談社にはない考え方だったのですが、私はこれはすごく新しいし、面白いことだなと。それでいろいろな本やグッズを作らせていただきました。
──浅野さんの、「かわいいもの、おしゃれなもの」へのセンサーが働いたことがそもそものきっかけだったんですね。特に覚えているグッズなどはありますか。
浅野さん 最初に売れたのはうつし絵ができる「ライトボックス」だったかな。それから「ポンポンメーカー」も作りました。
毛糸で「すみっコぐらし」のキャラクターが作れるよ、という玩具だったのですが、当時はちょうど「手芸ブーム」で、玩具メーカーもこぞって子ども向けの手芸キット的なものを作っていたんですよ。
私、流行っているものと流行っているものを掛け合わせるのがすごく好きなんです。「強いものと強いものが組んだら、最強でしょ!」みたいな(笑)。
ただ「ポンポンメーカー」はキャラクターの再現性というところで許諾を得るのがとても大変で。今、知識がある状態だったらなかなかトライしなかったなとは思います。知らないゆえの大胆さですね。
──売れているキャラクターを使えばなんでもいいわけではなく、しっかりと「かわいいもの、おしゃれなもの」へと落とし込みがあったからこそ、たくさんの子どもたちの心を摑んだのだと思います。
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小川 聖子
東京都出身。アパレル系企業に勤務したのちライターに。雑誌やWeb系メディアにてファッション関連記事や人物インタビュー、読み物記事の構成や執筆を行う。長男はついに成人、次男は中学生に。1日の終わりに飲むハイボールが毎日の楽しみ。
東京都出身。アパレル系企業に勤務したのちライターに。雑誌やWeb系メディアにてファッション関連記事や人物インタビュー、読み物記事の構成や執筆を行う。長男はついに成人、次男は中学生に。1日の終わりに飲むハイボールが毎日の楽しみ。