YA! アンソロジー ひとりぼっちの教室
著:小林 深雪 著:戸森 しるこ 著:吉田 桃子 著:栗沢 まり 絵:牧村 久実
友達なんかいない! 「泣いちゃいそうだよ」の小林深雪と、講談社児童文学新人賞受賞作家が紡ぐアンソロジー! 絵・牧村久実
発売日 | 2017/06/21 |
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価格 | 定価:1,430円(本体1,300円) |
ISBN-13 | 9784062206013 |
判型 | 四六 |
ページ数 | 250ページ |
母子家庭で育つ中学3年生の麻美は、「一番ボロい」といわれる市営住宅に住んでいる。家はゴミ屋敷。この春から心療内科に通う母は、一日中、なにもしないでただ寝ているだけ。食事は給食が頼りなのに、そんな現状を先生は知りもしない。 夏休みに入って、夜の仲間が、万引き、出会い系とつぎつぎに非行に手を染めていくなか、麻美は同じ住宅に住む同級生がきっかけで、学習支援塾『まなび~』に出会う。
母さんが茶色の紙袋を揺らしてる。
ものすごく久しぶりのハンバーガー。ポテトもある。ドリンクも。つばが出てきて、ガツガツ食べて、ゴクゴク飲んだ。
「そんなにあわてて食べなくても」
母さんは疲れた声で、でも、笑ってた。さびしそうに笑って、ビールをゴクリゴクリとのどに流しこんでいる。
母さんはどうやってこのお金を作ったんだろう。
想像したら、のどが詰まった。食べつづけることを拒否することも考えたけど、いいにおいと食欲に負けた。なにも考えないことにして、久々の味を楽しむ。
すべてを味わいおえたあと、どうしようもなく苦しくなった。ゴミ袋と包み紙が、あたしに問いかけてくる。
おまえは何者だ。なんで、平気で食べられるんだ。
そしてまた、そう思うそばから別の自分が否定する。
考えるな。考えたら生きていけなくなるぞ。
――本文より
母子家庭で育つ中学3年生の麻美は、「一番ボロい」といわれる市営住宅に住んでいる。家はゴミ屋敷。この春から心療内科に通う母は、一日中、なにもしないでただ寝ているだけ。食事は給食が頼りなのに、そんな現状を先生は知りもしない。 夏休みに入って、夜の仲間が、万引き、出会い系とつぎつぎに非行に手を染めていくなか、麻美は同じ住宅に住む同級生がきっかけで、学習支援塾『まなび~』に出会う。
『まなび~』が与えてくれたのは、おいしいごはんと、頼りになる大人だった。
1 マヨネーズとハンバーガー 2 パンの耳と野菜炒め、それから海苔弁 3 湯気の立ったソース焼きそば 4 カツ丼、チャーハン、ハンバーグ 5 クリームパンと塩おにぎり。あったかいお茶も 6 ハンバーグ弁当。ひときれのパン 7 貧乏チャーハンとフレンチトースト