

7月に入り、あっという間に夏休み直前ですね。家族旅行や子どもの宿題計画、学童や習いごとなど、夏は家庭内で把握しておく予定が増えてきます。それ以外にも、毎日の子どものお昼ごはん問題やお留守番をどうするか、宿題のチェックなど、親は頭を悩ませることが増えてきます。
SNSにも、夏休み前にはまさに「叫んでいる」保護者の声であふれかえり、それでも夏休みは容赦なくやってきます。親にとっては、目の前にある「小学生の夏休み」という名のミッションなのです。
そこで『「自分でできる子」に育つ放課後時間の過ごし方』(講談社刊)の著者であり、民間学童「こどもクリエ塾」代表の遠藤奈央子さんに、共働き家庭に役立つ、夏休みを上手に乗り切る知恵を教えてもらいました。
夏をラクに乗り切る7つの知恵
私は運営している民間学童で、15年間で延べ2000人以上の子どもたちやそのご家庭と放課後や長期休みの過ごし方についてとことん向き合ってきました。そこからご紹介したい夏休みの「リアルな知恵」をお届けします。
①お弁当は“3パターン”でOK!
毎日趣向を凝らしたり、多種多様なおかずを詰める必要はありません。「月・水はパスタ」「火・木は丼もの」「金はサンド系」などと、基本は3パターンで回せば十分です。ルーティン化すれば子どもも覚えてラクですし、親も買い物・調理がグッと楽になります。

②自由研究は「やらせる」でなく「見つけさせる」
「親が調べて、親がまとめる」のが自由研究ではありません。そうならないようにするには、子どもと話し合って“気になることメモ”を7月前半にたくさん書かせ、「どれを深掘りする?」と聞くだけでいいのです。
もともと子どもが気になっているテーマであれば、それをどうやって深掘りするか、親は助言やサポートをするだけでOKです。

③夏休みは「がんばらない日」を先に決めておく
お盆前や中盤の3日間は、思い切って「お弁当も宿題もサボるデー」にしてしまいましょう。子どもにも親にも、“休むこと”の許可を出しておくのが、夏をうまく乗り切るコツです。「全力で走るマラソン」ではなく、「給水所のあるハーフマラソン」に切り替えるのです。
民間学童を頼るもよし、数日~1週間でも子どもを実家に預けられたら……そこは思い切って親も罪悪感を持たず、休むことにしましょう。
④学童は“飽きる”のが普通! だから「日替わり」を提案
高学年になると“学童卒業”は自然な流れです。地域によっては定員オーバーで低学年しか入れない公立学童もあります。その場合、「午前中は塾」「午後は児童館」「週1は図書館」など、居場所を複数に分ける“日替わり居場所プラン”で乗り切りましょう。これも計画的にルーティン化するのが楽です。

⑤宿題は“朝15分×毎日”で勝手に終わる
「今日はどこまでやる?」ではなく、「毎朝15分だけ」と決めてしまいましょう。量で区切ってしまうと、すぐに終わった日はいいのですが、長時間かかってしまうとだらけてしまい、続けることが苦痛になる子が多いようです。
歯磨きと同じで、時間区切りの習慣化にすればメリハリもつくので、量も質も一気にラクになります。
⑥“午後の暇つぶし”をルーティン化
親が在宅勤務だった場合、午後3時~5時の時間帯は業務に追われることが多い時間帯です。そんなときに子どもから声がかかったりすると、よりストレスが増えてしまう原因になりがちです。その対策として、この時間だけの「限定ミッション」を用意しましょう。子どもが親の力を借りずとも楽しく過ごせるような、カリキュラムを用意しておくのです。
例えば、「YouTubeでDIYをまねてみる」「紙コップピラミッド選手権を用意する」など、まずは子どもがやってみたくなる、熱中できる場を準備しておくのです。あとでケアは必要だとしても、一番忙しい時間帯での親子のイライラは軽減します。

⑦「完璧な夏」より「生きのびる夏」で充分
最後にお伝えしたいのは、何事も、完璧にやる必要はないということです。SNSなどで目にするような、「○○に連れていった」「親子で△△に挑戦した」などの“理想の夏”とは、比べなくて大丈夫。家族みんなが健康で、元気で、笑った日があれば、それで上出来です。
中盤でもまだ間に合う! 夏休みの“立て直し方”
7月下旬に差しかかったころに、「夏休みはまだ半分も過ぎていないのに、こんな過ごし方もう無理……」と感じたら、逆にチャンスです。中盤はリセットの好機。「ここから、やり直そう」と子どもに素直に言ってみるのも一手です。親が素直だと、子どもも柔らかくなります。
「子どものために、どこまでやればいいのか?」「これって、ほんとうに必要?」「夏休みなのに、うちはこんな過ごし方でいいのかしら……」──そんな問いを、親はこの夏、何度も自分に問いかけるはずです。でもそれって、親としての“自由研究”みたいなものかもしれません。正解はひとつじゃない。だからこそ、肩の力を抜いていきましょう。
宿題フォローも、お弁当地獄も、まとめて解決したいなら…
そして最後にひとつ、選択肢をお伝えさせてください。宿題のフォローやお弁当問題が一気に解決できるのが「民間学童」です。最近は、1日だけのスポット利用が可能な施設も増えてきています。夏休みの過ごし方について途方に暮れたら、「いざというときの保険」として、ぜひ選択肢に加えてみてください。
大人も子どもも何かと忙しい夏。疲弊してしまうまで頑張りすぎず、まわりの力も頼って上手に乗り切りましょう!

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遠藤 奈央子
民間学童「こどもクリエ塾」代表。(株)ビジョンゲート代表取締役。非営利型一般社団法人学童ナビ研究所理事長。 一般社団法人民間学童保育協会設立代表理事。社会福祉士。 リクルートにて人材採用と教育を提案する法人営業を担当、2007年よりIBMビジネスコンサルティングサービス(現IBM)で戦略コンサルタントに従事したのち、2011年4月民間学童保育「こどもクリエ塾(ビル・ゲイツ氏財団エドビジョン型プロジェクト・ベース学習を導入)」設立。 現在、表参道・白金台・茗荷谷・四谷・日本橋で5校を運営。さらにタイ・バンコクに日本人と多国籍を対象としたKidsClieを開校。日々現場で子どもと共に学びあう、教育者としての顔を持つ事業家。直接指導した子どもは延べ2000人を超える。 主な著書に『「自分でできる子」に育つ 放課後時間の過ごし方 ほめる・𠮟る・見守る 親も育つ』(講談社)がある。 Twitter @endonaoko1
民間学童「こどもクリエ塾」代表。(株)ビジョンゲート代表取締役。非営利型一般社団法人学童ナビ研究所理事長。 一般社団法人民間学童保育協会設立代表理事。社会福祉士。 リクルートにて人材採用と教育を提案する法人営業を担当、2007年よりIBMビジネスコンサルティングサービス(現IBM)で戦略コンサルタントに従事したのち、2011年4月民間学童保育「こどもクリエ塾(ビル・ゲイツ氏財団エドビジョン型プロジェクト・ベース学習を導入)」設立。 現在、表参道・白金台・茗荷谷・四谷・日本橋で5校を運営。さらにタイ・バンコクに日本人と多国籍を対象としたKidsClieを開校。日々現場で子どもと共に学びあう、教育者としての顔を持つ事業家。直接指導した子どもは延べ2000人を超える。 主な著書に『「自分でできる子」に育つ 放課後時間の過ごし方 ほめる・𠮟る・見守る 親も育つ』(講談社)がある。 Twitter @endonaoko1