「終戦記念日」絵本ナビがおすすめする「平和を考える絵本」厳選4冊

絵本の情報サイト「絵本ナビ」編集部が選んだ、戦争と平和を考える絵本を紹介

提供:アフロ

8月の絵本 平和を考える絵本

年間2000万人が利用する絵本情報サイト「絵本ナビ」の編集者が選ぶおすすめの絵本や児童書を季節のテーマに合わせて紹介していくこの連載。たくさんの絵本や児童書の中から、絵本のプロが選んだとっておきの4冊をご紹介します。

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第6回8月の後半は、「平和を考える絵本」をご紹介します。

戦争が引き起こす悲惨さや平和の尊さを、美しい絵とシンプルな言葉で静かに問いかけてくれる4冊。戦争について子どもたちと話し合うきっかけになる絵本です。

心にしみる詩と透明感のある絵がつむぐものがたり いま子どもたちに伝えたいメッセージ

谷川 俊太郎/文 江頭 路子/絵

あらすじ

「戦争」を最小限の言葉で、本質を表現する試みから生まれた作品です。

詩人・谷川俊太郎さんの言葉で語られる戦争への思いと、絵本作家である江頭路子さんの絵の透明な生命力。人間の知恵はどこにあるのかを、静かに問いかけます。

絵本ナビのすすめる「せんそうしない」のみどころ

本書を読むと、伝えるべきことは、ほんとうにシンプルなことなのだと気づかされます。最小限で語られる詩人の谷川俊太郎さんのひとことひとことは、しっかりと重さをもって読者の心にしみこんできます。

そのことばとともに、江頭路子さんが描く子どもたちののびやかな姿を見ていると、大人が絶対にまもっていかなければならないのは、ここに描かれているような子どもたちの何気ない日常と曇りのない笑顔なのだと強く感じるのです。

読者のレビュー

ページをめくるたび
ちょうちょはせんそうしない、くじらはせんそうしない、などページをめくるたびに
「そりゃーねぇ」
と相槌を打つ息子。
何当たり前のこと言ってんの?という感じでしょうか。
でも、
せんそうするのはおとなとおとな
ここからは、息子は急に黙ってしまいました。
最後までじーっと本を見つめていました。
当たり前のことしか書いてない。まっすぐな言葉は大人にも子供にも充分伝わってきました。
(lunaさん・20代ママ)

あなたの月はどんな月? ウクライナ支援への想いを込めて

ジャンニ・ロダーリ/作 ベアトリーチェ・アレマーニャ/絵 内田 洋子/訳

あらすじ

ウクライナ・キーウの月は、わたしたちが見上げている月と同じ月。世界的作家・ロダーリの絵本が、ウクライナ救援のために世界で緊急出版されました。

絵本ナビのすすめる「キーウの月」のみどころ

イタリアの国民的作家であるジャンニ・ロダーリさんが1960年に発表した詩を、絵本化したものです。ウクライナ救援のため、世界の出版社へ寄付をともなう翻訳出版の呼びかけがあり、日本では講談社が参加を決定しました。

この絵本の売り上げによる利益は、セーブ・ザ・チルドレンに寄付されます。静かな詩の中に平和への祈りがこめられた一冊です。

読者のレビュー

思いをはせる
小さくて小ぶりの絵本です。簡潔な文章は詩。読みながら、じーんときました。
いまだ、戦争が終わらない、ウクライナの人たちに思いをはせます。
「わたしの光はパスポートなしで旅をします」のページが特に心に響きました。大好きな絵本作家、ベアトリーチェ・アレマーニャの絵もあたたかみがあり、とても素敵でした。
手元において、平和を願いたいと思います。
(あんじゅじゅさん・50代ママ)

平和の輝きが戦争の影を鮮明に 戦争の恐ろしさと向き合う

アリス・ウォーカー/作 ステファーノ・ヴィタール/絵 長田 弘/訳

あらすじ

人々の平和な生活や自然や生きものたちの姿と対比して、戦争の悲惨さを描きます。

姿をたくみに隠し忍びよる戦争のこわさ、恐ろしさを伝える絵本。深みのある文章と、力強い絵で静かに語りかけます。

絵本ナビのすすめる「なぜ戦争はよくないか」のみどころ

「~を心に思い浮かべてみて」。思い浮かべた平和な光景は、戦争であっけなく破壊されていきます。やさしく語りかけるような言葉で、残酷さが繰り返し描かれています。

「戦争は 戦争の目で ものを見るのよ」
「戦争は たくさん経験を積んでも すこしも賢くならないのよ」

戦争の本質を鋭くえぐる文章。戦争が自我を持つ存在として描かれ、その恐ろしさがまるで喉元に突き付けられるよう。一度読んだら忘れられない、そしてその意味がある絵本です。

読者のレビュー

子どもには難しいけどぜひ読んであげたい
6歳の子どもには難しいかな?
絵は綺麗で、とってもすてきです。
娘に読んであげても、???って顔をして何が何だか分からない顔をしてました。でも分からないなら分からないなりに、何かを感じとってくれたら良いと思います。
綺麗な絵は、時として残酷な表情を見せますが、今の穏やかな生活がいつ脅かされるかもしれない、とても幸せで、大切な時間であり、それを守るのは、とても難しい。
アリスウォーカーらしく、虐げられる者の立場から、抑制されつつも力強く、語りかけます。

小学生の高学年くらいになったら、もう一度一緒に読めたらいいなぁと思う絵本です。
(めぐちちさん・40代パパ)

平和で美しい町にやってきた「戦争」 人々の希望になったものとは……?

ロマナ・ロマニーシン アンドリー・レシヴ/作 金原 瑞人/訳

あらすじ

美しい町・ロンドに、ある日とつぜん「戦争」がやってきました。「戦争」を知らない町の人びとはおろおろするばかり。町を愛するダーンカ、ジールカ、ファビヤンの3人は、ロンドを暗闇から救い出そうとします。

絵本ナビのすすめる「戦争が町にやってくる」のみどころ

ウクライナを拠点に活動するアートユニットが子どもたちに向けて描いた、平和と戦争の絵本。平和な町と、壊された日常、その目も覚めるようなコントラストで、戦争の痛ましさを描き出しています。

作中では、赤いヒナゲシが象徴的に描かれます。第一次世界大戦の戦死者を追悼するシンボルとして知られる花です。現実に大きな戦争が起きてしまった今、その当事者である著者らが子どもたちに向けて発信した、心ゆさぶられる作品です。

読者のレビュー

戦争には心も心臓もない
『うるさく、しずかに、ひそひそと』『目で見て かんじて』の作者による作品。
ウクライナのリヴィウを拠点に活動、とのこと。
まさに今現在の戦争の様子を独特の感性で紡ぎます。
聴覚や視覚がテーマの作品を読んでいたせいか、それらの感覚がよみがえってきます。
ロンドという町に住む、ダーンカ、ファビヤン、ジールカが目撃した、戦争。
楽しく、平和に暮らしていた生活が一変する様子が、「やってきた」という表現で視覚的に感じさせてくれます。
ダーンカ、ファビヤン、ジールカも、不思議な造形ですが、
戦争も不気味な造形で紡がれます。
戦争には心も心臓もない、という文章が重いです。
3人が必死に対抗した方法が、希望でしょうか。
いろいろと問題提起させてくれる作品だと思います。
(レイラさん・50代ママ)

目の前にある平和を見直し、戦争について語るきっかけに

ご紹介した4冊は、大人でも説明をすることが難しい「平和と戦争」を、シンプルな言葉や印象的な絵で伝えてくれます。

あたり前の日常があることはどれだけ幸せなことなのか。
あたり前の幸せを奪う戦争がもたらすものはなんなのか。

戦争を過去のものとはせず、戦争とは......平和とは......と向き合うこと。

この機会に家族で絵本を見ながら、それぞれの想いを伝えあってみてはいかがでしょうか。

レビューは絵本ナビサイトからの抜粋です。

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