マスク越しのおはよう
著:山本 悦子
「世界中がマスクであふれている」コロナ禍の子ども達の心をリアルを描く、野間児童文芸賞受賞作家、山本悦子氏待望の新作長編!
発売日 | 2019/10/18 |
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価格 | 定価:1,650円(本体1,500円) |
ISBN-13 | 9784065168783 |
判型 | 四六変型 |
ページ数 | 322ページ |
小一のつばさは台風の日に家族が留守で家に帰れず、同じ通学班で小五の真紀の家で遊んでもらって以来、真紀に子犬のように懐いている。だがある日真紀はつばさが同級生に「どろぼう」とよばれて仲間はずれにされているところを見て・・・。
野間児童文芸賞受賞作家、山本悦子氏待望の新作長編!一年から六年までの個性豊かな六人の通学班の物語
わたしたちの通学班は双葉町三班。全員で六人。六年の里奈ちゃんが班長。里奈ちゃんは、六年で一番頭がいいらしい。同じく六年のパウロくんが副班長。パウロくんは、ブラジル人。大きな目とチョコレート色のはだは、まさに異国の人だけど、中身は超日本人。最近、俳句にはまってる。一年ボウズのつばさは、「さ」行がいえない。自分のことを「つばしゃ」という。二年生のティアラちゃんは、純粋な日本人。名前を漢字で書くと美愛姫。漢字と読みがなは、別物としか思えない。空気を読まない男、圭太は四年。そして、五年のわたし、原田真紀。
この六人が一列になって歩く。わたしが一年のころは、二人ずつで手をつないで歩いていた。でも、小学生が二列で歩くとじゃまになるし、歩道からはみ出るところもあるので、今は一列。班長が先頭、副班長が一番最後。あいだに低学年をはさむようにしてならぶ。うちだと、里奈ちゃん、つばさ、わたし、ティアラちゃん、圭太、パウロくんの順。
だから、わたしの視界には、いつもつばさの黄色いぼうしがある。─本文より。
一 原田真紀五年 つばさ係 二 岡崎圭太四年 ハニキヌキセヌ男 三 原田真紀五年 万年四位 四 更科里奈六年 通学班班長 五 原田真紀 口は災いの元 六 ダ・シルバ・パウロ六年 クールなヒーロー 七 原田真紀 好きの魔法にかかってる 八 岡崎圭太四年 知らないほうがよかったのに 九 更科里奈六年 「お手本さん」の本当の姿 十 原田真紀五年 言葉の力