
【不登校】の選択肢 子どもの心が動き出す「食育」 学びを変える「横浜きりん学園」(横浜市)の実践
不登校の子の新たな学びの選択肢「学びの多様化学校」 #9 (3/4) 1ページ目に戻る
2026.09.12
農園での体験学習で子どもの表情が劇的に変わる理由
──農園「トコミドリ」とはどのような場所ですか?
森先生:里山環境の保全のために、地域や事業者が里山体験広場「トコミドリ」を運営しています。春にスイカの苗を植えたので、今日はその収穫をしました。
スイカの収穫では、久しぶりの登校日で不安な表情をしていた子や、離れて様子を見ていた子も、スイカ割りをして、自分が作ったおにぎりとスイカを食べる体験を通じて、次第に明るい表情になりました。最後はみんなで農園にいるヤギにエサをやることができました。
森先生:教員は距離感を大切にし、話しかけすぎず、子どもが自分で選択・発信できるような雰囲気づくりを心がけています。今ここにいるだけでも、もしかしたら精一杯頑張っているかもしれないので。
大人がついつい支援・介入しすぎてしまうことで、子どもが自分で決めるタイミングを逃してしまわないように、「待って見守る姿勢」を常に意識しています。
誰かにやらされるのではなく、自分でやってみようと思えるきっかけになること、そしてひとりではなく、みんなで活動する楽しさを自然に体験できることが食育の大きな効果だと思います。
「食育」が子どもの知的好奇心を刺激し、教科横断型の学習に発展する
──食育は、実際の授業ではどのように実践されていますか?
森先生:体験を単にイベントとして終わらせるのではなく、その時に感じたことや気づいたことを振り返りシートに記録したり、他教科の学習内容に関連づけて関心を深めるように工夫しています。
例えば「大根」をテーマとした場合、切り干し大根やたくあん作り、生食、保存食、さらに国語の教科書に登場するストーリーと結びつけ、季節に合わせた時期(冬)に授業を実施します。
森先生:食育は理科・国語・社会など多教科と横断的につながっており、生態系・自然環境・食文化など幅広い学びを内包しています。
最終的には、学んだことを地域の人たちや家族に対して発信するとか、何かの役に立つところまで成長できたらいいなと思っています。
「学校に行けなかった」子どもたちが自発的にプレゼン
──開校してから、印象的だったエピソードはありますか?
森先生:1学期の終業式前日、7年生の生徒たちが自ら「亀を飼いたい」というプレゼン資料を作成し、校長室にやってきました。
与えられた課題をこなすのではなく、「自分たちでやりたいことを決めて責任を持ってやります」、何が必要かちゃんと考えて準備をして、「責任持って世話をします」っていうことを、自分たちから発信ができるってすごいことだな、と思って。
入学からわずか数ヵ月で、かつて学校に行けなかった子どもたちが、自発的に企画・準備・責任を持って取り組む姿を見せてくれました。とても嬉しかったですね。






























