「ひとり」で生きている由木
「それに、あたしは集団の中では一人のほうが楽だから」
(『放課後死体クラブ(仮題)』より引用)
この一節はひよりと死体クラブを結成するときに、ひよりと交わした会話の中に出てきます。
中学時代を振り返ってみると、私も一人で行動することが楽だと感じていたし(今もそう思うことが多い)、実際そういうふうに行動していたので頷きながら読んでいました。
「あたしは昔から、この世界は無人島だと思うことにしている」
(『放課後死体クラブ(仮題)』より引用)
この言葉、なかなかパンチのある言葉じゃないですか?「由木、本当に中学生か?」と思ってしまいました。
自分は一人で生きているんだ、という諦めすら感じます。
こう考えているからこそ、自分の傷に気づきにくくなったのでしょう。
そして、このように宣言して、自分は一人だと言い聞かせてきたのだろうと思います。
痛みに敏感になったら…?
「由木さんは、もっと自分の痛みに敏感になったほうがいいよ」
(中略)
「痛みに敏感になったら、なんかいいことある?」
「敏感になったら『痛い』って声をあげられるし、そしたらこうして手当てできるでしょ」
(『放課後死体クラブ(仮題)』より引用)
この会話は、痛みに鈍感な由木を心配したひよりとの会話です。
由木は、痛みに気づかないことで、その傷をかさぶたにしていたのです。
痛みに敏感になるメリットなんて、私は大学生になるまで考えたことはなく、「痛い」と感じられることが、自分をケアすることにつながるなんてよぎったこともありませんでした。
痛みなんて見逃すほうが楽だし、気づかなければ、それはなかったことになるのですから。
この本を読んで、自分を大切にできるきっかけを与えてくれる、ひよりのような人は大切だと感じました。
大学生になった今だからこそ、私はひよりの言葉の意味が少しわかるようになりました。
自分の痛みに気づくこと。そして、その痛みを誰かと分け合うこと。
『放課後死体クラブ(仮題)』は、その大切さを押しつけることなく描いています。
由木のように自分の気持ちを見過ごしてしまう人に、ぜひ一読してほしいです!
『放課後死体クラブ(仮題)』
第66回(2025年度)講談社児童文学新人賞を受賞した、中学校を舞台に、それぞれが抱えた傷と向き合いながら、唯一無二の友情を築いていく物語『放課後死体クラブ(仮題)』は、全国の書店やネット書店にて発売中です。
自分の本音を押し込めて過ごすひよりと、周りを気にせず堂々と振る舞う由木は、「ホラー映画」という共通の趣味から、意気投合。そして「放課後死体クラブ」というホラー映画の死体役を目指すクラブを結成します。それまで関わりのなかった二人がクラブ活動を通じて、互いにかけがえのない友情を築いていきます。正反対だった二人が向かうその先にあるものは──。


































児童図書編集チーム
講談社 児童図書編集チームです。 子ども向けの絵本、童話から書籍まで、幅広い年齢層、多岐にわたる内容で、「おもしろくてタメになる」書籍を刊行中! Twitter :@Kodansha_jidou YA! EntertainmentのTwitter :@KODANSHA_YA_PR
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