「子どもが友達に暴力を振るってしまった」“キレる子ども”の暴力をやめさせる3つの方法[専門医が解説]

#2児童精神科医が説く“キレる”子どもの受け止め方~子どもの暴力・暴言~

児童精神科医:原田 謙

小学4年生で手加減なしの暴力

小学4年生・Aくんのエピソードです。彼はきょうだいや同級生としょっちゅうケンカをしています。

親や学校の先生によく𠮟られるのですが、注意されても話を聞こうとせず、反抗的な態度を取ることが多いため、大人から「問題のある子」とみなされてきました。学校で先生や同級生から言葉遣いを注意されたとき、イライラして教室の掲示物を破ってしまったこともあります。

同級生を蹴って大きな問題となってしまったケース。  イラスト/めやお『キレる子どもの気持ちと接し方がわかる本』より
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ある日の休み時間に、Aくんはボール遊びのルールをめぐって、同級生とケンカをしてしまいました。最初は軽い口論でしたが、相手を突き飛ばして一騒動に。その後、先生が双方の言い分を聞いたのですが、Aくんは相手の話を聞いて怒り出し、その場で蹴ってしまいました。手加減をしなかったため、相手に怪我をさせ、大きな問題になりました。

学校から家庭に連絡がいき、Aくんは親にも厳しく𠮟られました。親や先生はAくんに反省を促しましたが、彼は納得せず、「自分は悪くない」と言い張りました。最初に悪いことをしたのは相手のほうだと言うのです。相手が悪いのに自分のせいにされたから蹴飛ばしたと主張します。

Aくんのような例では、最初はきょうだい、一般には下の子への暴力が出てくることが多いです。それがだいたい幼児期から小学校低学年のころです。その後、暴力が減っていけばよいのですが、キレる子どもの場合、対象が同年代の他の子に広がっていくことがあります。

Aくんの事例のように、同級生を蹴ったりするのです。それを放置していると、やがて教師にも手を上げるなど、暴力をふるう対象が拡大していきます。教師の次は母親、その次には父親にも暴力が出るというのが、悪化した場合の典型的なパターンです。大人に手を上げるようになったら、問題はかなり深刻だといえます。

きょうだいや友達とのケンカは、どの子にも多少は見られます。しかしそれが小学校中学年以降にも頻繁に起こっていて、ときには激しい暴力も発生しているのであれば、なんらかの対応が必要です。キレる行動は、放っておけば悪化する可能性があります。

キレたときの対応を「枠付け」で決める

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