ウソをつきやすい子どもの特徴 ウソと成長の関連を公認心理師が解説

公認心理師・佐藤めぐみさんに聞く、「子どものウソ」の対応の仕方 #2 ウソをつきやすい子の特徴とウソを減らす親子の信頼関係

公認心理師:佐藤 めぐみ

ウソをつきやすい子の特徴はあるのでしょうか。  写真:アフロ

育児ストレスのカウンセリングなどを行う傍ら、スマホで受講できるオンラインの子育て心理学講座や、0~10歳の子どもの育児に役立つ心理学を発信する公認心理師の佐藤めぐみさんに聞く「子どものウソ」。

1回目では、子どものウソの種類についてと、子どものウソのほとんどが「自己防衛」からきていると、解説していただきました。2回目では、ウソをつきやすい子どもの特徴や、成長とウソの関連などについて、世界の研究結果を踏まえてお話しいただきます。

(全3回の2回目。1回目を読む

子どものウソはなぜ自己防衛的なところから始まる?

子どものウソですが、研究データからだと2歳過ぎから出ると言われています。言語が出てきて、会話がはじまると出てくるんですね。ウソとは、かなり小さいころからのお付き合いというわけです。

そして前回もお伝えしましたが、巧みなウソをつくには、高い思考力と推測能力が必要です。

スイスの有名な心理学者である、ジャン・ピアジェが提唱した発達段階論に、認知発達の面から見た年齢分けがあります。そこには6歳くらいまでは、非常に自己中心的なものの考えをしているとあるのですが、それはなぜかというと、自分から見えている世界と、他人から見えている世界が同じだと思っているからです。ひとつの方角からしかものが見られないため、人から見た自分というのが、まだ存在しません。

ですから自ずと、物事が自己中心的になります。それが仮にウソに転じたとしても、悪気ではなく、「自分から見える世界で損をしたくない」、「得をしたい」という部分が強くなったゆえのウソと捉えられます。

しかし、小学校中学年くらいになると、客観性が出てきます。人から見える自分をよく見せたいという発達を遂げる分、それに関するウソがちらほら出てくるように。いじめや、自分に対する劣等感、他者との比較が出てくるのもこの時期になります。認知が発達してきた分、デメリットも出てくるわけですね。こうして、発達と共にウソも巧みになっていきます。

公認心理師の佐藤めぐみさん。子どもの困った行動の悩む家庭に向けた、行動改善プログラムなどのカウンセリングも行っています。

ウソの巧みさや頻度は、どんなことと関連している?

ウソの巧さや頻度の関連で、ひとつ面白い研究をご紹介します。

2016年のイグノーベル賞を受賞した、オランダのアムステルダム大学の准教授であるブルーノ・フェルシュクーレ氏のチームの研究で、6歳から77歳までの1005人を対象にウソに関する実験を行いました。どれくらいの頻度でウソをつくかを質問し、また、時間内にウソをつく問題を解かせたのです。そこから、ウソのピーク年齢、ウソの頻度、質などを探りました。

結果、ウソの巧みさは、逆Uカーブを描いていました。小さいころは巧みさがなく、大人になるにつれて巧みになり、おじいちゃんおばあちゃんになると、また巧みさがなくなるというもの。人生において18歳から29歳が、一番ウソがバレにくいという結果でした。

この研究から、ウソをつくことが、知識レベルや知能との関係性が明らかだということがわかりますよね。脳の発達や成長、知識レベルに伴って上がる能力を、ウソに悪用してしまっているということも。

ちなみに、ウソをつく頻度のピークは、10代が一番多かったとのこと。小さいころは少なく、10代に増えて、また60代くらいになると減っていくという、同じような逆カーブを描いていました。

ウソによって得をし続けている子が「ウソをつきやすい」

ウソをつきやすい子の特徴ですが、まずひとつは、ウソに晒されている回数が多かったり、ウソによって得をし続けたことが多かったりする子です。

このような子がウソをつかないようにするには、日々の経験で「ウソで得をしてしまう」ことを積み重ねないこと。軽重かかわらず、ウソを慢性化させないことが大事になってきます。

もうひとつは、親との信頼関係がなく、親を裏切ってもいいと思っている子というのも挙げられます。

ある心理学者が、大学の授業で学生たちに、「あなたたちは、悪い行動をしたり、非行に走ったりしないで、なぜこんなにちゃんと大学の授業に出席しているのか」という問いを投げかけました。すると、「親の悲しむ顔を見たくなかったから」と答える人が多くいたといいます。

人との絆や、信頼関係は、悪い行動を抑制する力があります。逆に、裏切る相手がいないと、「悪いことしちゃえ」という気持ちが出てきやすくなります。親との信頼関係ができていないと、「別にウソなんてついたってかまいやしない」と思ってしまうのは、自然の流れでしょう。

幼い年齢の子どもで、親から愛情を感じていないからウソをついちゃえ、という思考はまだないとは思いますが、子どもは、親が信頼してくれていたら裏切ることはやめようと、理屈はわかっていなくても感覚的に身についていきます。親子で互いに信頼関係を高めていくことは、ウソをつかなくなる大切なことなのです。

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3回目は、具体的に子どもがウソをついたときの対処法と、ウソを減らすにはどうしたらいいのかを教えていただきます。

取材・文/浅妻千映子

1回目 子どもは自分を守るための「自己防衛」からウソをついていた!?

佐藤めぐみ(さとう・めぐみ)

0~10歳の子の育児に役立つ心理学を発信する公認心理師。英・レスター大学大学院修士号(MSc)取得。オランダ心理学会認定心理士。自身が運営する『育児相談室・ポジカフェ』では、子どもの困った行動に悩むご家庭向けの行動改善プログラムや育児ストレスのカウンセリングを行う傍ら、学びの場『ポジ育ラボ』にてスマホで受講できるオンラインの子育て心理学講座を配信中。

さとう めぐみ

佐藤 めぐみ

公認心理師

0~10歳の子の育児に役立つ心理学を発信する公認心理師。英・レスター大学大学院修士号(MSc)取得。オランダ心理学会認定心理士。自身が...