【残業は断れる!】子育て中の人が覚えておきたい「残業の知識」 [社労士が回答]

働くママのお悩み解決 職場問題モヤモヤ相談室 【連載】第23回 (2/2) 1ページ目に戻る

社会保険労務士、行政書士:小西 道代

育児や介護などの正当な理由があれば残業は「断れる」

子どものお迎えの時間が迫っているのに、上司から残業をお願いされて困っている人を見たことがあります。

子育て以外にも、家族の介護や自身の健康問題で、残業(時間外労働)が難しい方はいるでしょう。

残業は、業務上の必要がある場合に限って、上司の指示で行うものです。しかし、働く人側に時間外労働ができない正当な理由があるなら、本人の請求や書類等の提出により、会社側は残業を強制できなくなります。人事評価にも影響しません。

次のような場合は、法律・制度上で残業の強制が禁止・制限されるので、覚えておくといいでしょう。また、パパはもちろん、パート、アルバイト、契約社員、派遣社員の場合も同じルールが適用されます。

残業の強制が禁止されているケース

① 妊娠中の方や産後1年を経過していない場合

② 小学校就学前の子どもを養育している場合

③ 要介護状態にある家族を介護している場合

※「要介護状態」とは、介護保険制度の要介護認定とは異なります。育児・介護休業法における要介護状態とは、「負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態」のことをいいます。介護が必要な人であれば、子どもでもシニアでも、対象者の年齢は関係ありません。

①の妊産婦の場合は、法律により、本人が会社に請求すれば会社は残業を命じることはできません。②と③は、制度の利用を書類等で事前に会社に申し出ることで、残業は申請者には発生しなくなります。会社に残業を命じられても、断ることができます。

法律や制度があるとはいえ、残業がそもそも難しい場合は、上司に前もって事情を伝えておくことが大切です。

個人情報を話すことに抵抗を感じる方もいますが、事前に共有しておくことで、急に残業を依頼されて「困った!」という事態は避けられるでしょう。

─働くママの声への回答─

子育てや介護、自身の健康問題で残業が難しい場合は、断ることができる。
ただし、そもそも残業が難しい場合は、上司に前もって事情を伝えておくことが大切。

【人事評価にも影響】残業が断れないケースとは?

やむを得ない事情がある場合に拒否できる残業ですが、諸事情といっても、プライベートの理由では原則として残業を断れません。

特に、自分の過失やチームで対処が必要なトラブルなど、業務上、明らかに対応が必要な場合は、会社の業務命令に従って働く必要があります。

残業が断れないケース

・「友だちと食事の予定がある」「仕事をしたくない」といった、ごく個人的な理由の場合
・自分の過失やチームで対処が必要なトラブルなど、会社の利益に大きく関わり、業務上の必要がある場合

会社の利益に大きく関わる問題が発生しているのに残業を拒否すると、始末書をはじめとする制裁を受ける可能性があります。また、人事評価にも影響するでしょう。

ところで、自分の過失で残業したから残業代は支払われないと考えたり、罪悪感からサービス残業で対応しようとする方もいるようです。

しかし、残業代は業務の内容や理由に関係なく支払われます。残業時間に関しても会社側が管理する義務があり、上限も法律で決められていますから、働いた分はしっかりと申請してください。

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小西 道代
こにし みちよ

小西 道代

Mishiyo Konishi
社会保険労務士、行政書士

社会保険労務士法人トップアンドコア代表。行政書士法人グローアップ代表。All About労務管理ガイド。大学卒業後に日本マクドナルドに入社。多数の店舗運営を行い、幅広い年齢層の人々と一緒に働くことで労務管理・組織運営に興味を持つ。その後、法律事務所や社会保険労務士事務所に勤務。カフェ経営も経験し、労働者と経営者の両視点を養い、働く場には風通しのよい労働環境や組織づくり、ルールが重要だと痛感する。現在は正社員から派遣社員、アルバイト、経営者の広い視点を活かした労務相談を行っており、事案のアドバイスだけでなく解決へも導いている。 著書に『正社員で働く人のための労務問題のトリセツ』(つちや書店)がある。

社会保険労務士法人トップアンドコア代表。行政書士法人グローアップ代表。All About労務管理ガイド。大学卒業後に日本マクドナルドに入社。多数の店舗運営を行い、幅広い年齢層の人々と一緒に働くことで労務管理・組織運営に興味を持つ。その後、法律事務所や社会保険労務士事務所に勤務。カフェ経営も経験し、労働者と経営者の両視点を養い、働く場には風通しのよい労働環境や組織づくり、ルールが重要だと痛感する。現在は正社員から派遣社員、アルバイト、経営者の広い視点を活かした労務相談を行っており、事案のアドバイスだけでなく解決へも導いている。 著書に『正社員で働く人のための労務問題のトリセツ』(つちや書店)がある。