教室のクラス写真に刺さった画鋲
担任の先生から連絡が来たのは、娘が小学6年生の秋のことでした。
「教室にクラス写真を掲示しているんですが、娘さんの顔に画鋲が刺さっていました。誰がやったのかはわかっていませんが、まずはお知らせしておこうと思いまして」
「えっ、画鋲? うちの娘だけですか?」
先生の申し訳なさそうな「はい」という答えに、私はどう返せばいいかわからず「娘が帰ってきたら様子を見ておきます」と返事をするのがやっとでした。
受話器を置いたあとの頭を占拠したのは、「娘はいじめられているのか」という恐怖。でも、すぐにそれを打ち消そうとする自分もいました。「ただの悪ふざけかも」「大げさに考えすぎかな」 そう思い込みたかった。
でも刺されていたのは、娘の顔だけ。偶然そうなることはあり得ない。誰かの悪意が存在しているのは明らかでした。
犯人がわからないまま、娘は孤立していった
帰宅した娘は、いつも通りに見えました。「学校で何かあった?」と聞いても、娘は「別に」とだけ答え、それ以上は何も話そうとしませんでした。
けれどその夜、ソファで隣に座っていた娘が、突然堰(せき)を切ったように泣き始めました。泣けてよかった……と思うと同時に、私は娘に「怖かったね、嫌だったね」と言うのが精一杯。
早く犯人が見つかって、なぜ画鋲を刺したのかが明らかになり、娘がこれ以上傷つかずにすむように願っていました。しかし事態は変わらず、次第に仲良しグループから外されたり無視されたり、娘を取り巻く空気は悪くなっていきました 。
これは「いじめ」なのだろうか。それとも子どもの世界でよくある「友だち関係の変化」なのだろうか。確かめようとしても、娘自身もうまく言葉にできないようで、答えは出ないままでした。

































