中学受験は「親子で臨む大冒険」 中受の意味と親の向き合い方 教育ジャーナリストが解説
中学受験をする・しない どちらの場合でも親が心得ておくべきこと #1 中学受験が増えた本当の理由
2023.02.06
教育ジャーナリスト:おおたとしまさ
コロナ禍で中学受験が増えたわけ
──コロナ禍で私立中学の受験者数が増えたというデータも気になります。
おおたさん:私立の多くは一斉休校という異常事態に即座に対応し、オンライン化への切り替えも比較的スムーズでした。しかし公立の学校では、一部の地域を除いて、まともにオンラインへの対応ができなかった。つまり、公立校の非常時における柔軟性のなさが露呈してしまった。それで、多少無理をしてでも私立に入れたほうがいいと判断する保護者が増えたと考えられます。
中学受験は親子で挑む「大冒険」
おおたさん:僕はね、小学生のうちに、日が暮れるまで友達と野山を駆けまわって遊べるなら、それはとてもいいことだと思っているんです。しかし、都市部でそんな魅力的な環境は望めませんよね。
子どもにとってワクワクするような体験がない日常に、「ゲームをするな」、「YouTubeばかり観るな」という無茶な注文は子どもにとっても酷です。
子どもが子どもらしく育つリソースが少ない現代の都市部にあって、ゲームも許されない。だったら、受験をひとつのイベントとして捉え、少しがんばってみようかなという気があるのであれば、経験させるのも悪くないんじゃないでしょうか。
中学受験はひとつの目標に向かって努力していくもの。ゲームのような仮想空間とは違ってリアルにプレッシャーや痛みを感じるし、リセットボタンも押せない、努力したとしても100%報われるわけではない。でも、努力して、挑戦して、その結果を受け入れて、選んだ道を堂々と歩いていく。合格、不合格といった結果に関係なく、難しい課題を乗り越えた先には必ず成長があります。
中学受験は知らなかった世界に足を踏み入れ、数々の試練を乗り越えていく大冒険といってもいいでしょう。10~12歳の大事な時期を過ごす、ひとつの合理的な方法ではないかというのが私の提案です。
本来、別に勉強じゃなくてもいいんです。サッカー、ピアノ、ダンス、何でもいい。小学生のうちに、何かに一生懸命打ち込んだ経験は、その子の人生にとって必ず大きな糧になります。それと一緒に、子どもをサポートする親御さんも成長しますし、強い家族の絆を作ることにもつながっていきますから。中学受験もそういう機会だと捉えてほしいと思います。
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中受ブームの背景に、親世代である私たちの影響があることには驚きました。
2回目では、親が陥りやすい中学受験観、受験することの真の意味についてお話しいただきます。
取材・文/鈴木美和
おおたさんの中学受験連載は全3回。
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(※2回目は2023年2月7日、3回目は2月8日公開。公開日までリンク無効)
おおたとしまさPROFILE
教育ジャーナリスト。1973年東京都生まれ。麻布中学・高校卒業。東京外国語大学英米語学科中退。上智大学英語学科卒業。97年、リクルート入社。雑誌編集に携わり2005年に独立。中高の教員免許、小学校での教員経験、心理カウンセラーとしての活動経験も。
おおたとしまさ
1973年、東京都出身。教育ジャーナリスト。麻布中学・高校卒業。東京外国語大学英米語学科中退。上智大学英語学科卒業。97年、リクルート入社。雑誌編集に携わり2005年に独立後、教育をテーマにさまざまな取材・執筆を続けている。中高の教員免許、小学校での教員経験、心理カウンセラーとしての活動経験もある。 主な著書に『勇者たちの中学受験』、『子育ての「選択」大全』、『不登校でも学べる』、『ルポ名門校―「進学校」との違いは何か?』、『なぜ中学受験するのか?』など80冊以上。
1973年、東京都出身。教育ジャーナリスト。麻布中学・高校卒業。東京外国語大学英米語学科中退。上智大学英語学科卒業。97年、リクルート入社。雑誌編集に携わり2005年に独立後、教育をテーマにさまざまな取材・執筆を続けている。中高の教員免許、小学校での教員経験、心理カウンセラーとしての活動経験もある。 主な著書に『勇者たちの中学受験』、『子育ての「選択」大全』、『不登校でも学べる』、『ルポ名門校―「進学校」との違いは何か?』、『なぜ中学受験するのか?』など80冊以上。