
『放課後死体クラブ(仮題)』で国語力アップ! 現役塾講師が「物語の読み方」を伝授〔中学受験対策にも〕
ホラー好きの塾長が夢中になった ちょっと変わった友情物語~『放課後死体クラブ』(仮題)~ (3/3) 1ページ目に戻る
2026.10.29
大手進学塾 現役教室長:akira
愛想笑いの裏にある中学生のリアルな葛藤
ところが、笑いながら読み進めるうちに、ふっと胸に刺さる瞬間があります。例えば、ひよりが友達に合わせて愛想笑いをする場面です。
グループの中での立ち位置、SNSの「いいね」、話を合わせるための小さな噓……。ひよりは自分の居場所を守るため、あまり好きではないものも好きなふりをし、誰かがからかわれていても、笑ってやり過ごしてしまいます。
あの「見逃したぁ」というひと言も、最初とは少し違って聞こえてきます。子どもたちにとって、友達との関係は大きなものです。仲良しグループにいても、いつも本音を話せるとは限りません。ひよりの愛想笑いも、簡単に「よくない」と決めつけられるものではないでしょう。
だからこそ、好きなホラーの話を心から楽しめる相手と出会ったときの嬉しさが、読んでいるこちらにも伝わってくるのです。
中学受験の国語対策にも 登場人物の心情の読み解き方
中学受験の国語で大切なのは、「笑っているからうれしい」「黙っているから平気」と、行動だけで気持ちを決めつけないこと。ひよりが興味のないアイドルの話に笑顔で合わせるのも、ただ楽しいからではありません。なぜそう振る舞ったのか、前後の出来事を手がかりに考えると、登場人物の気持ちが見えてきます。
この本には、そんな気持ちの変化を考えたくなる場面がたくさんあります。もちろん、勉強のために読む必要はありません。まずはふたりのやりとりを思い切り楽しんで、読み終わったあとに「あのとき、どんな気持ちだったのかな」と話してみるのもよいでしょう。
〔読んだあとに、話してみたい3つのこと〕
親子で、あるいは友達と。答えを決めずに、こんな話をしてみるのはいかがでしょう。
1.ひよりは、どうして“愛想笑い”をするのでしょう?
2.由木さんにとって、ひとりでいる時間と、ひよりと過ごす時間は、どう違うのでしょう?
3.もしあなたが死体クラブに誘われたら、入りますか?
〔読み終えて─塾講師の感想─〕
みんなと一緒にいるのが好きな子も、ひとりの時間が好きな子も。どちらかが正しいわけではありません。ひよりと由木さんの不思議な友情を追いかけているうちに、そんなことを感じました。
笑えるのに、ときどき胸がきゅっとなる。そして読み終えると、誰かと本音で話したくなる一冊でした。
「死体クラブ」という名前にびっくりするかもしれませんが、読み始めるとぐいぐい引き込まれる物語です。ぜひ手に取ってみてください。ホラー好きはもちろん、友達との関係にちょっと悩んだことがある人にも、きっと気になる場面が見つかると思います。
最後に。胸の前で両手をクロスする、死体クラブのハンドサイン。あれ、好きです。私もやってみようかな。
文/akira
『放課後死体クラブ(仮題)』
作:ひなたきな
第66回(2025年度)講談社児童文学新人賞受賞作
〈あらすじ〉
過去のトラウマから本音を隠して過ごすひよりは、周囲を気にせず堂々と振る舞うクラスメイトの由木(ゆき)に惹かれていく。二人は、共通の趣味であるホラー映画を通じて意気投合。ひよりの過去を知る由木から「死体」の演技指導を頼まれたことで、二人は「放課後死体クラブ」を結成。異なる傷を抱える二人が、支え合いながら唯一無二の絆を築いていく物語。

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akira
学生時代から塾講師として中学受験指導に携わり、大学卒業後は塾業界に就職。2026年、関東圏にある現在の教室に室長として就任。保護者や生徒に対するきめ細かいコミュニケーションを重視した教室運営を行うことにより、御三家をはじめ、早稲田、渋谷幕張の合格者数は高い進学実績がある。SNSでも独自の学習指導法を公開している。保護者はもちろん、塾関係者からもそのノウハウに注目が集まっている。 主な著書に『偏差値が届かなくても受かる子、充分でも落ちる子 必ず合格できる学び方と7つのルール』(学研プラス)など。 X(旧Twitter):@AArukikata
学生時代から塾講師として中学受験指導に携わり、大学卒業後は塾業界に就職。2026年、関東圏にある現在の教室に室長として就任。保護者や生徒に対するきめ細かいコミュニケーションを重視した教室運営を行うことにより、御三家をはじめ、早稲田、渋谷幕張の合格者数は高い進学実績がある。SNSでも独自の学習指導法を公開している。保護者はもちろん、塾関係者からもそのノウハウに注目が集まっている。 主な著書に『偏差値が届かなくても受かる子、充分でも落ちる子 必ず合格できる学び方と7つのルール』(学研プラス)など。 X(旧Twitter):@AArukikata