
【自閉症】の妹がいても「私だけ我慢している」と思わなかった理由 「きょうだい児」「家族の距離感」を作業療法士の姉が明かす
「きょうだい児」と家族のあり方【第1回】 (2/3) 1ページ目に戻る
2026.09.15
母からの“重くない相談”
城:大人になって聞いたところによると、母は私の意見や提案をけっこう参考にしていたらしいのです。妹には、少しでも想定外のことが起こると大癇癪を起こしてしまう、そんな状態が一番ひどい時期がありました。
母は旅が好きで、妹もよく連れていっていましたが、旅先で妹が大癇癪を起こすのに困って、ふと私に「どうしたらいいと思う?」と聞いたことがあったそうです。そこで私が返したアイデアが、案外良かったらしくて(笑)。それで、それからそのやり方にしたんだよ、ということでした。
私には「特別に相談された」という記憶はなかったので、少し不思議な感じでした。でも、「妹は妹」、「私は私」と自分の人生に向き合うなかで、こんな風に母がたまに「一緒に考えよう」と声をかけてくれたことは、私が自然に妹のことを考えるきっかけにもなったと思います。
完全に別々の人生なのではなく、「障がいで大変なこともあるけれど、妹は大切な家族であり、仲間である。だからこそ、どうしたら楽しくいられるか、私もたくさん考えよう」という気持ちになれたのは、こんな“重くない相談”のおかげだったのかもしれません。
――「きょうだい児」が親から頼りにされるケースは多く、それは「生きがいでもありつつ、同時に負担でもあった」とおっしゃる方もいます。それが、城さんの場合は、頼られつつも負担にまではならない、いつでも自分自身のことに立ち戻れる、良い距離感が作られていたのですね。
城:本当にそうだと思います。
「障がい者やその家族はきっとこう」を決めつけないでもらえたら
――ご家族ではよく旅行にも出かけられたのですね。
城:はい。先ほどもお話ししましたが、母は今も昔も旅行が好きで、よく妹も連れていろいろなところに出かけました。
私が部活動の合宿で1週間いなくなるというときは、「じゃあ、私はその間、ルーちゃん(妹)と青森に行ってくるわ」と言って出かけてしまうような、自由でのびのびしたところがあります。
母は自分自身が人生を楽しもうとしている人なので、そうしてバランスを取っていたのかもしれません。
――パッと旅行に行ってしまうのはすごい行動力ですね。
城:家族旅行もたくさん行きました。ただ旅行はもちろん楽しいのですが、障がいのある妹を連れているので、ときには心ない言葉をかけられることもありました。ただ、そんななかでも、「妹は今、絶対に楽しいんだろうな」と思う瞬間はたくさんあって……。
障がいがあると、「旅行は楽しめないだろう」「本人は行きたくないんじゃないか」などと思われることがありますが、必ずしもそんなことはないんです。
障がいがあっても楽しいことはあるし、いろいろな感じ方があります。そこは可能性を排除せず、優しい眼差しで見守ってもらえたら嬉しいです。
「妹のため」だけじゃない 自分の道を決める意味
――現在、作業療法士として障がい児支援の最前線におられますが、その道を選ばれた経緯について教えてください。
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