「オレンジバードのキャラクターや物語を伝えたい」ディズニーのアーティスト スコット・ティリーさんに聞いた
絵本「オレンジバード」のイラストを描いたディズニーのアーティスト スコット・ティリー氏にインタビュー
2024.06.26
「オレンジバード」の絵本でイラストを描いたのは、ディズニーのアーティスト、スコット・ティリーさん。30年にわたりディズニーやピクサーの絵本を手掛けてきたスコットさんにとって、オレンジバードの絵本はずっとアイデアを温めてきた作品のようです。
オレンジバードとの出会い
――初めてオレンジバードを知ったのはいつですか?
スコット・ティリー(以降ST) :1980年代のテレビCMで見たのが最初です。「フロリダのオレンジジュースを飲もう!」というCMのアニメーションでした。オレンジバードは栄養に関する教育的な映像にも登場していましたよ。
――パークで見たのはいつですか?
ST:1982年です。マジックキングダムの「サンシャイン・ツリー・テラス」でオレンジバードを見ました。
オレンジバードが最初に描かれたのは1969年で、最初の印刷物は1971年でした。ディズニー社は、パークのスポンサー、フロリダ・シトラス・グローワーズのためにオレンジバードをデザインしたんです。パークだけでなく、CMにも登場し、グッズにもなり、フロリダではあらゆるところにオレンジバードがいましたよ。
私はジョージア州出身で、子どもの頃はバケーションで毎年のようにフロリダへ行ったものです。州境を越えるとフロリダ・ウェルカム・ステーションがあって、そこでオレンジバードが描かれたカップ入りのオレンジジュースを飲むと、バケーションが始まったって感じがしました。ジェイソン(・グラント/この絵本を一緒に作った)はシカゴに住んでいましたが、同じような体験をしています。
オレンジバードの絵本に込めたかったこと
――なぜオレンジバードの絵本を作ろうと?
ST:アメリカでは、私たちのように70~80年代のオレンジバードを知っている人が大勢います。でも、その後20年以上パークにいなかったので、詳しく知らない世代の人もいます。オレンジバードのキャラクターや物語を知らない人たちに、それを伝えたかったんです。
実は、私たちは10年ほど前からずっとアイデアを考えていましたが、「リトル・ゴールデンブック(編集部注:アメリカの絵本シリーズ)」でテーマパーク・シリーズというのが始まって人気になり、「オレンジバードの物語を描くならこのタイミングだ」と思ったんです。
――オレンジバードが思ったことを雲に描ける能力はユニークですね
ST:オレンジバードが登場した1971年頃でしたが、フロリダ・オレンジジュースの宣伝文句に「Think Orange!」というのがあって、そこから「そうだ、オレンジの雲に考えを描けるキャラクターだ!」ということになったんでしょう。しゃべれなくても思ったことを描ければ、他の人に見える。友だちを助けることもできるスーパーパワーです! だから、絵本に入れなくてはと思いました。
リモートで作り上げた絵本
――物語を書いたジェイソン・グラントさんとは、どのように作業を進めたのですか?
ST:この絵本を手掛けていた頃、私はカリフォルニアにいて、ディズニー・イマジニアのジェイソンはフロリダにいました。彼はたくさんのあらすじを書いてアイデアを出し、私はレイアウトやキャラクターのデザイン画を描きました。それを送って、リモートでやり取りしながら絵本を作っていったんです。
私たち出版部のアーティストはアトラクションのポスターを描くこともあって、イマジニアとはよく仕事をします。ジェイソンとも何度か仕事していましたが、絵本は初めてでした。
――サンシャイン・ツリーに住んでいるオレンジバードには、友だちもいるんですね?
ST:オレンジバードがマジックキングダムに登場した時は、ほかのキャラクターはいませんでした。だから、それも作りたくてジェイソンと考えたんです、「もちろん、農場に友だちがいるよね」って。まず最初に、やはり小さな鳥たちがいるだろうとデザインを考えて、双子にしました。そっくりな双子で、違いといえば、一人がオレンジの花をかぶっていることです。他に、ディズニーキャラクターの子どもの頃を思わせる仲間もいますよ。これ(赤い鳥)は、『三人の騎士』のアラクアン・バードを基にしています。ディズニーのファンに気づいてほしくて作りました。アヒルは、『メイク・マイン・ミュージック』の「ピーターと狼」に出てくるアヒルのソーニャをヒントにしています
――日本のディズニーのファンたちにメッセージをお願いします。
ST:オレンジバードの歴史を知らない人も、グッズを見たことがある人もいるでしょう。オレンジバードをまったく見たことがない人も含めて、すべての世代の人たちにオレンジバードの魅力や個性、物語を、ぜひ知ってもらいたいです。