「環境にやさしい」とはどういうことなのか？ 東京の河川環境を【電池推進船】で観察してみた

まずは、現在、地球が抱えている課題、危機にさらされている地球環境を知ることが大切。

化石燃料に代わる“環境にやさしい”エネルギーとして、再生可能エネルギーの導入が世界各国で進められています。再生可能エネルギーのうち、太陽光や風力、水力、地熱などの自然現象から生み出されるエネルギーを自然エネルギーと呼んでおり、温室効果ガスを排出せず、枯渇する心配もないため、次世代エネルギーとして近年ますます注目されています。

しかし、太陽光や風力など自然現象からエネルギーを得る場合は、天候や気象に大きく左右されます。ヨーロッパは風が安定しているので風力発電には適しているけれど、日本は天候の変化が激しいので、自然現象から常に安定した発電量を得ることは、かなりハードルが高いそうです。

「自然現象を利用する場合、発電量の調整ができないので、その部分を今後の研究や技術開発でカバーできるようにする必要がある」と清水教授は子どもたちに話しました。また、発電量の不安定さを蓄電という形で補う方法も模索されているそうです。ただし、ガソリンなど液体の燃料と比較すると、現状では、電気はとても少ない量しか電池にたくわえることができず、充電にも時間がかかるため、これからはこうした点も一層研究が進み、発電・供給・充電するしくみを含め、技術開発していけたら、ということでした。

有限の化石エネルギーだけに頼るのではなく、これからの時代は、地熱、水力、太陽光といった自然エネルギーを使った発電にますます注目が集まっています。

午前中の講義のあとは、日本に現存する唯一の鉄船で国の重要文化財に指定されている「明治丸」を見学。海洋大出身のボランティアの方々が、隊員たちに明治丸の構造から歴史的背景までくわしく解説してくださいました。子どもたちは、探究隊の活動をとおして、海洋環境や海の生きものだけでなく、もののしくみや歴史まで、幅広い知識を得ることができ、好奇心いっぱいのようすで話を聞いていました。

そして、いよいよお待ちかねの電池推進船「らいちょうⅠ」に乗船！　らいちょうⅠは、リチウムイオン電池と推進モーターが動力のため、排気ガスや二酸化炭素を出すことなく航行でき、低騒音・低振動と、まさに地球環境にやさしい船です。

清水教授の操縦で、海洋大から、隅田川～神田川と約１時間半、20km弱のクルーズを満喫した隊員たち。事前にらいちょうの特徴を予習してきた子は、「ほかの船とすれ違ったときに、その船とくらべて、らいちょうの音が静かだということを実感した！」「ふだんは乗り物酔いするのに、振動が少なくて快適だった！」など口々に報告してくれました。

また、「東京の街を下から見上げることがなかったから景色が新鮮だった！」「自分たちがくらす場所は川や海とつながっているんだということを実感できた」「思った以上に川の水が汚れていてくさくて悲しくなった」と話してくれる子も。新しく知識を得たうえで、いつもと違う体験をすることで、地球環境の危機や目の前にある課題を本当に自分事として感じている様子がうかがえました。

体験型ワークショップの第一弾は、子どもたちの探究心を刺激するワクワクと学びが盛りだくさんの内容でした。次回の探究隊プログラムは10月下旬を予定。海洋プラスティックごみについて学ぶ予定です。