じつは0.5ミリのシャーペンの芯は0.5ミリじゃない!? そうなった理由とは?

ざんねん? びっくり! な文房具のひみつ事典(2:シャープペンシル) 文房具ライター・ヨシムラマリ

文房具ライター:ヨシムラ マリ

イラスト:ヨシムラマリ

私たちがふだんつかっている、鉛筆や消しゴムなどの文房具。いろいろな文房具の誕生したときには、「どうしてこうなった!?」と思ってしまう“ざんねん”なものや、いま見ても「すごいなあ!」と“びっくり”しちゃうものまでさまざま。そんなおもしろくてためになる、文房具の世界をのぞいてみましょう。

パッケージに「0.5」と書かれているシャープペンシルの芯の太さを測ってみると……あれれ計測器の数字は「0.565ミリメートル」。

イラスト:ヨシムラマリ

じつは、文房具メーカーが守っているJISというルールで「0.5ミリのシャープペンシルの芯は、0.55ミリから0.58ミリの間の太さで作ること」と決められているのです。

どうしてそんなヘンなルールなのでしょう?

鉛筆の芯は黒鉛と粘土でできていますが、その材料では細い芯が作れません。

そこで文房具メーカーのぺんてる社が粘土の代わりにプラスチックの一種、ポリマーを使う方法を発明。
これで細いのに折れず、くっきり書けるシャープペンシルの芯が誕生したのです。

1962年に0.5ミリの芯が発売されました。

イラスト:ヨシムラマリ

じつは、このときの芯は0.5ミリよりも少し太かったのですが、お客さんにわかりやすいよう、パッケージに「0.5」と書きました。

ほかのメーカーも、太さをぺんてる社に合わせました。

あとからできたJISのルールは、すでに世の中にある製品をもとに考えたので、今のようなちょっとヘンな決まりができたのです。

よしむら まり

ヨシムラ マリ

YOSHIMURA Mari
文房具ライター

ライター/イラストレーター。1983年生まれ。神奈川県横浜市出身。子どもの頃から絵を描くのが好きで、身近な画材である紙やペンをきっかけに文房具にハマる。主な守備範囲はノートとペンと事務用品。 文具・オフィス用品メーカー大手の元社員で、現在は脱サラしてフリーランスとして活動中。著書に『ざんねん? びっくり! 文房具のひみつ事典』(講談社)、『文房具の解剖図鑑』(エクスナレッジ)がある。

ライター/イラストレーター。1983年生まれ。神奈川県横浜市出身。子どもの頃から絵を描くのが好きで、身近な画材である紙やペンをきっかけに文房具にハマる。主な守備範囲はノートとペンと事務用品。 文具・オフィス用品メーカー大手の元社員で、現在は脱サラしてフリーランスとして活動中。著書に『ざんねん? びっくり! 文房具のひみつ事典』(講談社)、『文房具の解剖図鑑』(エクスナレッジ)がある。