小学生の【読書感想文嫌い】を克服! 「親子インタビュー式読書感想文」で言語化能力がアップするワケ〔文章力養成講座の専門家が伝授〕

「親子インタビュー式読書感想文」松嶋有香さんが解説② 教材:課題図書『ぼくの色、見つけた!』

中村 美奈子

ゆか先生:『ぼくの色、見つけた!』がとてもわかりやすい例なので、それで説明しましょう。

『書影『ぼくの色、見つけた!』(作・志津栄子 絵・末山りん 講談社)
『ぼくの色、見つけた!』(作・志津栄子 絵・末山りん 講談社)
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ゆか先生:『ぼくの色、見つけた!』は、主人公の信太朗が感じたこと、考えていることが、すべて「言葉」になっています。単純に「嫌だった」ではなく、なぜ自分が嫌だと感じたのか、どんなふうに嫌だったのか、もっとこうしてくれたらよかったのにと思ったことなどが、丁寧に言語化されています。

優れた物語を読むと、読み手は「登場人物の考え」を通して「自分の考え」に気づくことができます。

信太朗が嫌だと思ったことと同じこと、自分にもあったな。
あの時自分は、なんでそう思ったんだろう?

と考え出したらチャンスです。「読書」がこれまでの経験を振り返って「自分の考え」を掘り下げるきっかけになったということです。「信太朗は嫌だったかもしれないけれど、自分はそうでもないかも」などと、「他人」と「自分の考え」が違うことに気づくかもしれません。それもやはり、考えを深める気づきです。

挿絵『ぼくの色、見つけた!』(作・志津栄子 絵・末山りん 講談社)
描いた絵の色が変だとクラスメイトに指摘され、心の中で怒る信太朗。 『ぼくの色、見つけた!』(作・志津栄子 絵・末山りん 講談社)

気持ちのラベリングで言語化能力がアップする

──自分と違うことを見つけるのは、簡単にできそうです。

ゆか先生:「自分の考え」は、頭の中だけにあるときはわりとモヤモヤしているものです。でも「他人の考え」に触れることでだんだんと整理されて、解像度が上がって明確になります。

ただでさえおっかなびっくり接している友達には、どんなリアクションをされるかわからないので、いきなり深刻な話はできませんよね。でも「本」の中の人が、現実の自分にリアクションをすることはありませんので、自分の本音をぶつけてもだいじょうぶ。だから「自分の気持ち」や「自分の考え」を、トコトン掘ってみましょう。すると、自分でも気づかなかった感情に出会うかもしれません。

そうしたらその感情に「ラベリング」をします。

──自分がどんな気持ちなのか、どんなふうに感じているかを「言語化」するということですよね。なんだか難しく感じますが、コツはありますか?

子どもにも大人にも使える! 言語化能力アップの秘訣は?
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