東海初の【学びの多様化学校】岐阜市立草潤中学校〔徹底ルポ〕 「学校が生徒に合わせればいい」驚きの取り組みとは?

不登校の子の新たな学びの選択肢「学びの多様化学校」 #2

子どもが学校に合わせるのではなく、学校が子どもに合わせればいい

石榑先生:ならば、子どもが学校に合わせるのではなく、学校が子どもたち一人ひとりに合わせればいい、と。

「制服も校則もなくそう」「担任も授業を受ける場所も、お弁当を食べる場所も、生徒自身が決められるようにしよう」と、“学校らしくない学校”づくりが始まりました。

「トイレが古くて嫌だった」という声もあり、トイレだけはお金をかけて改修しましたが、市内の学校にお勤めの校務員の方や地域の職人さんたちに手伝っていただき、校内の壁やドア等の塗装、廃材を活用した教室の看板などすべて手作りでぬくもりを感じる空間になっています。

また、自治会の方が敷地内の清掃、樹木の伐採、花壇の整備に協力してくださいました。備品については、企業や地域の方から寄付していただいたものもあります。

教室の名前も1年は「森」、2年は「川」、3年は「海」に。職員室は「スタッフルーム」、校長室は「マネジメントオフィス」にするなど、「学校らしさ」をできるだけ取り除きました。

信頼できる担任を自分で選ぶ

──確かに、時間割りも教室も担任の先生も、学校はあらかじめ決められていることばかりですよね。先ほどお話にありました“担任の先生を、生徒が決められる”というのはどういうことでしょうか?

石榑先生:現在(2025年9月)、1年生が13名、2年生が17名、3年生が20名います。各学年3~4名先生がいるのですが、自分に合った先生を4月から1ヵ月ほどかけて一人選んでもらうようにしています。「落ち着いて話したい」「楽しいことを一緒に考えたい」など、生徒が担任に求めることは一人ひとり違いますから。

担任とは朝の「ウォームアップ」と帰りの「クールダウン」の時間に、個別で雑談を交えながら学習予定を組んだり、振り返りをするのですが、信頼し安心して話せる相手と対話を重ねることは子どもたちにとても大切だと考えています。

もちろん、担任だからと言って一人で抱え込むことはありません。教科担当の先生や、スクールカウンセラー、“心の校医”である小児科の先生、相談員や支援員など、たくさんの大人が見守り、子どもたちにかかわる体制を整えています。

学校内でも自分の居場所は自分で選ぶ

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