東海初の【学びの多様化学校】岐阜市立草潤中学校〔徹底ルポ〕 「学校が生徒に合わせればいい」驚きの取り組みとは?

不登校の子の新たな学びの選択肢「学びの多様化学校」 #2

学校内でも自分の居場所は自分で選ぶ

──授業を受ける場所も自分で決められるということですが、どういうことでしょうか?

石榑先生:授業はすべてオンライン配信しているので、自宅からでも校内のどこからでも受けられるようになっています。ただ、誰がどこにいるかわかるようにしておきたいので、教室以外の場所で授業を受ける場合は、「イマここボード」という居場所を示すボードに自分のネームプレートを貼ってもらうようにしています。

生徒の居場所を示す「イマここボード」。どこで授業を受けるのか、休んでいるのか、自分の居場所を決めてネームプレートを貼っておく。授業中でも自由に移動できる。  写真提供:草潤中学校
すべての画像を見る(全8枚)

石榑先生:一人のほうが集中できる子は個別に仕切られたEラーニングルームを選んでもいいし、開放している校長室や職員室でも、どこで授業を受けてもいい。

授業中に移動しても構わないので、疲れるとテントやハンモックがある図書室に休憩しに行く子や、逆に個別に学習していた子が「面白そう」と教室に向かったり、数学の問題でつまずいた子が、小学校の内容を復習するためにギフティッドルームという個別指導を受けられる部屋に移動する姿も見られます。

個別に仕切られているため集中し、落ち着いて勉強できるEラーニングルーム。どこにいても教員が見守っている。  写真提供:草潤中学校

石榑先生:各教室の授業では、窓際が好きな生徒は自分で窓際に机と椅子を移動していますし、友だちと席を並べたい生徒はそうしています。

椅子と机がキャスター付きで動かしやすくなっているので、質問があれば座ったまま先生のところに移動するなど、自由に居場所を選べるようにしています。

教室内でも自由に居場所を変えられるよう、椅子と机にはキャスターがついている。台形の机はグループワークに最適。  写真提供:草潤中学校

「やりたいこと」「できること」にフォーカスする

──空間が変わると気持ちが切り替わったり、もう少しだけがんばろうという気持ちになりますよね。カリキュラムはどんな工夫をされているのでしょうか?

石榑先生:登校時間は、朝が苦手な生徒や、同じ地域の学校に通っている生徒と会いたくない生徒に考慮し、少し遅めの9

放課後は「マイタイム」という時間を設け、教員の支援や見守りの下、陶芸や音楽、クッキングなど、それぞれが興味のあることに取り組んでいます。

「マイスタディ」という5教科の学び直しの時間もあるので、先生に教わりながら小学校の勉強をやり直したり、受験勉強をしている子たちもいます。

マイタイムもマイスタディも開校当初はなかったのですが、生徒からの要望で生まれました。私たち教員も、子どもたちの苦手なことやできないことにばかり目を向けるのではなく、できることや得意なこと、好きなことにフォーカスして伸ばしていこうと話しています。

「学校行事」も生徒の発案から

42 件