
「うちの子まったく勉強しません!」【中学受験】どう対応? 難関校・高合格率の『グノーブル』ベテラン講師が「保護者の悩み」にガチ回答!
「グノーブル」ベテラン国語講師・山下倫央先生に聞く、「保護者のお悩み」 #2
2025.07.15
教育ジャーナリスト:佐野 倫子
親子で志望校の意見が別れたときはどちらを優先する?

Q4:親子で志望校について意見が分かれたときはどちらを優先すればよいでしょうか?
山下先生:親と子の間にずれがあるのは当然です。完全一致を求める必要はありませんし、どんな選択にもいろいろ感じることは自然のことです。
後悔はつきものです。私がお答えできるのは、「よりましな後悔」を選ぶことが大切ということ。そう思うと、絶対にベストな志望校選定がある、という考えを変えることができます。
どこにいっても完璧はないし、後悔だってきっとあります。だから、最終的には本人にゆだねるのがいいと思います。例えば、通学時間が1時間半もある学校へ、親に強制されて通うのはとてもつらく感じるでしょう。一方で、本人の熱望校であれば、通学時間の長さはそんなに気にならないと思います。そういう意味で、本人の希望を優先するのが、本人の満足感、充足感を上げることにつながると思われます。
6年生の学習時間の配分はどうする?
Q5:受験生の6年生になったらとにかく時間が足りません! 学習時間の配分を教えてください。
山下先生:まず、「得意科目・苦手科目」という分け方をやめたほうがいいですね。例えば算数なら、単元ごとの正答率を見て、落とすべきでない問題を確実にできるようにする意識を持つこと。どこが「もったいない」箇所か、塾の先生と一緒に確認をしてみてください。
そして苦手なところだけを集めてずっとやらせる、というのは子どもにとってとてもつらいことです。せっかくのやる気をなくしてしまいますから、得意なところ、好きな分野もさらに勉強していくことが大切だと思います。

山下先生:家庭学習の工夫としては、例えば、お風呂やトイレに年表や地図を貼るという方法は、ビジュアル性の高い、目から入る情報が重要な分野で有効ですね。地図や動植物の系統図、単位換算など、まとまったものを何度も見ると定着が期待できます。
そういった背景知識があると、塾で新しいことを学習したときに、「“福井県”はあのあたりだな」「この植物の特徴はあれと似ているな」など、ベースの情報が結びついて身につきやすくなります。
もうひとつ、テスト結果だけにとらわれるのではなく、「国語が苦手」な場合は、「国語」とひとくくりにするのではなく、「漢字が苦手」「読解が苦手」、例えば算数でも「速さが苦手」「相似比の理解が不十分」など、具体的に分けて考えると対策をとりやすいです。
例えば、漢字や知識問題が弱いなら、アウトプット不足が原因。手を動かして、とにかくたくさん書かせること。読解は音読も効果的ですよ。意識して、活字に触れる量を増やしてみてください。
このように、学習ごとに細かく切り分けながら、塾の先生とも共有して家庭学習に結びつけていけるとよいですね。
最後に、保護者の方にはとにかく塾の先生に悩んでいることがあるならすぐに相談してほしいということです。この記事を読む時間があるなら、通っている塾に、今すぐ相談電話してほしいぐらいです(笑)!
相談しづらいというお声をいただくこともありますが、塾講師たちは相談を待っていますし、個々の生徒に即したアドバイスは有効なものです。
いつでも遠慮なく、相談してください。講師も生徒のことをしっかり見ていますので。試験当日へ向けて、一緒に頑張りましょう!
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2時間近い取材でしたが、山下先生の言葉の端々から、長年最前線で子どもたちを合格させているプロの知識と慧眼に感動しました。やっぱり「餅は餅屋」。困ったことや、悩んでいることはぜひお子さんを預けている塾の先生に相談してみてくださいね。
撮影/日下部真紀
取材・文/佐野倫子
グノーブル山下先生に訊く「バーチャル保護者会」は全2回。
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佐野 倫子
東京生まれ、早稲田大学卒。2025年4月から東京大学大学院情報学環教育部在学中。英国ロンドン大学ロイヤルホロウェイ留学。航空業界・出版社勤務を経て、作家・教育ジャーナリストに。 講談社mi-mollet、漫画雑誌Kiss(原作)、ダイヤモンド・オンライン、幻冬舎ゴールドオンライン、東京カレンダーWEB、月刊[エアステージ]などで小説・コラムを多数執筆。2人の男の子の母。 主な著書:『天現寺ウォーズ』、『中学受験ウォーズ 君と私が選んだ未来』(イカロス出版)、『知られざる空港のプロフェッショナル』(交通新聞社)。 Instagram @michikosano57 X @michikosano57
東京生まれ、早稲田大学卒。2025年4月から東京大学大学院情報学環教育部在学中。英国ロンドン大学ロイヤルホロウェイ留学。航空業界・出版社勤務を経て、作家・教育ジャーナリストに。 講談社mi-mollet、漫画雑誌Kiss(原作)、ダイヤモンド・オンライン、幻冬舎ゴールドオンライン、東京カレンダーWEB、月刊[エアステージ]などで小説・コラムを多数執筆。2人の男の子の母。 主な著書:『天現寺ウォーズ』、『中学受験ウォーズ 君と私が選んだ未来』(イカロス出版)、『知られざる空港のプロフェッショナル』(交通新聞社)。 Instagram @michikosano57 X @michikosano57