【季節外れに異例の重版】還暦の新人日記最終回 桜の季節にまた会いましょうの巻

第44回講談社絵本新人賞受賞作家 みやもとかずあきの制作日記⑥(4コマ漫画つき)

作家:みやもと かずあき

制作日記 第6回(ひとまずは最終回!)

↑ふくちゃんのちょっとドジな一面もかわいいです。
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最終回スペシャル! 絵本制作にまつわる(まつわらないことも)質問にお答えします!

以前、講談社えほん通信のインスタグラムアカウントにて質問を募集しました。

そちらでいただいた質問の中からお答えしたいと思います。

さっそくいきます!

質問①
いつも記事を読むのを楽しみにしています! 絵本を作る上で心がけていることはありますか?

まずは「自分が楽しい」を心がけています。

楽しい気持ちで作った作品は、読者にも必ず届くと思うのです。

作っている途中に苦しいなぁとか、しんどいなぁってなったときは、音楽を聴いたり、ぶらっと出かけたりして、なるべく楽しい気持ちに自分をもっていくようにしています。

また、「話のおしまいは自分なりに良い着地で終わるように」心がけています。

良い着地をするのとしないとでは、読後の満足感が違うと思うのです。

ぼくが絵本を作る上で心がけていることはその2点でしょうか。


質問②
絵本作りで楽しいと思う瞬間はいつですか。

良いストーリーが降りてきたとき、いいものができるぞと予感する瞬間。

もうひとつは、ダミー本ができて、作品をお披露目するときです。

ぼくの場合、着色をしてダミー本を作ることが多いです。

着色したほうが、見てもらう人によりお話のイメージが伝わりますし、また本番を描くときにも、どのような表現にしていこうかと決めやすいように思うからです。

質問③
お気に入りの絵本を教えてください。

太田大八さん 『だいちゃんとうみ』
国松エリカさん 『ラージャのカレー』
レイモンド・ブリッグズ 『ゆきだるま』『さむがりやのサンタ』
ユリー・シュルヴィッツ 『よあけ』
高畠純さん 『だれのじてんしゃ』
tupera tuperaさん 『パンダ銭湯』
きたむらさとしさん 『ミリーのすてきなぼうし』『スマイルショップ』
かこさとしさん 『だるまちゃんとてんぐちゃん』
なかがわりえこさん おおむらゆりこさん 『ぐりとぐら』
みやけゆまさん 『のせてくださいな』

他にもたくさんありますが、これくらいにさせていただきます。

質問④
絵本をつくるときに、気をつけていることはありますか。

いろいろなアイデアが浮かんでくると、ついつい詰め込んでしまいたくなります。

そうすると、ごちゃごちゃしてお話の軸がぼやけてきます。

必要なものとそうでないものを見極めて、なるべくすっきり話が進むように、文も絵も気をつけています。

質問⑤
絵本のお話を思いつくときのきっかけはなんですか。

思いつくきっかけはいろいろあります。

中でもぼくがいちばんお話を思いつきやすいのは、一枚の絵からお話をふくらませていく方法です。

例えば、空と大地が描かれた絵があります。

次の場面で空に雲を浮かべます。

次の場面で雲に雨を降らせます。

次の場面で大地にちっちゃな芽が出ます。

次の場面でお花が一面に咲いていて、お花たちがおしゃべりをはじめます。

といった感じで、展開をふくらませていくのです。

よかったら試してみてください。

質問⑥
お子さんに読み聞かせをしていた絵本は?

アーノルド・ローベル 『どろんこ こぶた』
芭蕉みどりさん 『クリスマスマーケット』
わかやまけんさん 『しろくまちゃんのほっとけーき』
つつみあれいさん 『ドーナッちゃんとモンブラリン』
島田ゆかさん 「バムとケロ」シリーズ
きたやまようこさん 「ゆうたくんちのいばりいぬ」シリーズ
田島征三さん 『こやぎがやってきた』
キヨノサチコさん 『ノンタンぶらんこのせて』

絵本を読み終わって、「もう1冊!」とリクエストがきたら即興で作る、でたらめなお話……、あっ!

これは絵本ではありませんね(笑)。

『あおくんふくちゃん』制作日記もいよいよおしまいです。

6回にわたり制作日記をお読みいただきありがとうございました。

実は、作文は子どものころから苦手でした。

今回の制作日記も、担当編集者の福の神にお題をもらったり文を整えてもらったりしながら、なんとか6回まで続けることができました。

スター・ウォーズネタを入れずに原稿を提出した回があったのですが、スター・ウォーズネタはないのかという催促もありました(笑)。

(実は担当編集者福の神もスター・ウォーズファンで、悔しいですが、スター・ウォーズへの熱量はぼくより上とお見受けしています)

12月に出版して早いものでもうすぐ3ヵ月経ちますが、ぼくの最近の話を少し。

2月中旬まで、未来屋書店川口店さんの「みらいやの森」内のギャラリーにて、1ヵ月間原画展を開催していただきました。

少し前になりますが、それを見るために、夜行バスで東京まで行ってきました。

(ちなみに帰りは新幹線にしました。行きは若ぶって夜行バスにしてしまいました。朝一から行動できてとても良かったのですが、ヘタレのぼくにはちょっときつかったです)

10時開店と同時に未来屋書店川口店さんに着き、『福の神がやってきた展』をみました。

ギャラリースペースにぼくが描いた原画を飾ってくれています。

まるで有名な作家さんです。

ちょっと恥ずかしい、ちょっと誇らしい気分です。

ギャラリースペース以外の売り場にもあちらこちらに『あおくんふくちゃん』を置いてくれていました。

ありがたいことです。

東京に戻って、また何軒か書店さんにご挨拶にまわりました。

旭屋書店池袋店さんでは、バックヤードにお招きいただき、サインを数冊書かせていただきました。

これまた、名前の売れていない作家なのにありがたいことです。

次の日は読売新聞東京本社で取材を受けました。

ありがたいことに「30年来の夢を叶えて還暦で絵本作家デビュー」ということをご注目いただき、最近は新聞社さんなど、ときどき取材を受けています。

もし見かけたらぜひ読んでください。

東京から和歌山へ帰ってきて、しばらくして嬉しい知らせがありました。

節分が終わったにもかかわらず、重版が決まったのです。

東京での担当編集者の福の神との打ち合わせでは、もう節分が終わってしまうので、来季まで重版は無いでしょうと聞いていました。

とても珍しいことのようです。

なのでとても嬉しかったです。

みなさんのおかげです。

感謝いたします。

とある保育士のかたから、こんなお手紙をいただきました。

「これまで鬼ぎらいだった子どもが、初めて好きになれた鬼かもしれないです」。

節分でなくても、読んでもらえる作品になっていけたら、こんな素敵なことはありません。

今後とも『あおくんふくちゃん』をよろしくお願いいたします。

担当編集者の福の神にもひとこと。

ぼくがジェダイの騎士なら、担当編集者の福の神はジェダイマスターでした。

新米のぼくの足元をいつも照らしてくれてありがとう。

「フォースとともにあらんことを」

そして読者の皆様は宇宙に輝くお星さまです。

皆様のもとにも福の神がきますように!

「ふくはうち!」

それではみなさまご機嫌よう。

最後にお知らせが2つあります!

お世話になった絵話塾、ギャラリーヴィーさん(神戸)にて原画展があります!

ぼくが絵本新人賞を受賞するまでの間、とてもお世話になったギャラリーヴィーさんにて、『あおくんふくちゃん』原画展を開催いただきます。

ちょうど桜の季節です。

『あおくんふくちゃん』も最後のシーンは満開の桜。

ぜひお花見ついでにいらしてください。

今回の作品展のために新たに描きおろした新作も展示する予定です。

担当編集者福の神と一緒に「講談社絵本新人賞オンラインセミナー」に出ます!

昨年、講談社絵本新人賞受賞作家である玉田美知子さんや伊佐久美さんが出演され、大変人気だった「講談社絵本新人賞オンラインセミナー」。

ぼくも、「勉強になるから見てください」と担当編集者福の神から聞き、拝見しました。

なんと今年はぼくが登場します。

担当編集者福の神も一緒です。

絵本の部署の編集長と3人でお話しします。

この連載でお話ししたようなことを、もっと詳しくお話しする会になるのではないかと思いますが、お時間よろしければぜひご覧ください。

日程は4月15日

スタート時間や申し込み方法など、詳細はまた改めてお知らせがあるようです。

ちなみに前回の「講談社絵本新人賞オンラインセミナー」の様子はこちらです。無料会員登録をするとアーカイブがご覧になれます。
↑『あおくんふくちゃん』発売中! 鬼と福の神がハイタッチしている表紙が目印です。めくると4コマ漫画もついてますよ!
↑いよいよ春。次の節分でもまたお会いできたら嬉しいです。

講談社絵本新人賞 受賞作既刊

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みやもと かずあき

Kazuaki Miyamoto
絵本作家

和歌山県生まれ。第44回講談社絵本新人賞受賞。絵本作家を目指して30年、60歳にして、ついに本作で念願のデビューを果たす。 男の子と女の子の双子育児の傍ら、「講談社フェーマススクールズ」「神戸ギャラリーヴィー絵話塾」で絵本制作を学んだ。受賞歴として第38回日産童話と絵本のグランプリ絵本の部優秀賞、第3回安城市新美南吉絵本大賞入賞など。 現在は、地元でベビー子ども服店を営みながら、みかんや野菜を少々作っている。

和歌山県生まれ。第44回講談社絵本新人賞受賞。絵本作家を目指して30年、60歳にして、ついに本作で念願のデビューを果たす。 男の子と女の子の双子育児の傍ら、「講談社フェーマススクールズ」「神戸ギャラリーヴィー絵話塾」で絵本制作を学んだ。受賞歴として第38回日産童話と絵本のグランプリ絵本の部優秀賞、第3回安城市新美南吉絵本大賞入賞など。 現在は、地元でベビー子ども服店を営みながら、みかんや野菜を少々作っている。