しかし、元図書館司書であり、保育園の図書顧問である伊藤明美さんは、低年齢から絵本の読み聞かせを習慣化することで、お子さんの国語力を上げる効果があると話します。
伊藤さんに国語力をあげる読み聞かせの方法や、読み聞かせ中に赤ちゃんが見せるリアクションの解説、またお気に入りの一冊を見つける方法なども伺いました。
子どもと本との関係を考えるシリーズ全3回の第3回。第1回、第2回はこちら。
家に本がたくさんある子は国語の正解率が高い
結果、自宅に201冊から500冊あるおうちのお子さんは、国語の正解率が70%以上というデータに。また、学校以外で本を読んでいる時間が2時間以上のお子さんは、国語の正解率が60%以上になるということがわかりました。※
親御さんから絵本の読み聞かせの悩みを聞くと、即効性を求めていると感じます。笑ってほしい、じっと聞いていてほしい、ひいては、本好きになってほしい、勉強ができるようになってほしい……。しかし、本は心の栄養であって、薬ではありません。
子どものころ、読書感想文のために本を読むことが苦痛と感じたことはありませんか。純粋に楽しむために本を読むからこそ、結果的に学力を伸ばすことにつながるのです。
親御さんは、上手に読み聞かせしようとしなくても大丈夫。お子さんが安心できる環境で読み聞かせをして、絵本にでてくるものを、お子さんがじっと見ていたら、かわいいね、きれいだね、おいしそうだねと声をかけてあげれば十分です。お子さんと親御さんが共感しながら読む方法を、私は「共感読書」と名付けています。
読み聞かせ中の赤ちゃんのリアクションを解説!
赤ちゃんは赤ちゃんなりのやり方で、反応をしています。お子さんとコミュニケーションをとるための、ヒントにしてみてください。
声のするほうに顔を向ける
聴覚の能力を一番発達させるのは、乳幼児期です。言葉をすぐに理解することはできなくても、耳から聞いた言葉を自分のなかにためて、おしゃべりをする準備をします。お子さんが、読み聞かせをする声のほうに顔を向けたら「いろいろな言葉や気持ちを話す準備をしているんだなあ」と考えてみましょう。
また赤ちゃんは、お腹の中にいたときに聞いていたお母さんの声と、それ以外の人の声を聞き分けられるそうです。お母さんが呼びかけたときに顔を動かすのは、お母さんの声に反応しているのかもしれません。
お母さんに無理のないタイミングで、赤ちゃんが一番聞き慣れたお母さんの声で、絵本を読み聞かせてあげましょう。そうすることで、赤ちゃんが安心感を得ることができます。
絵本をじっと見つめる
また、絵本のなかに、自分の知っているものが出てくると、反応がよくなるのがこのころ。お子さんの視線に注目することで、お子さんの好きな食べ物や動物などを知ることができるかもしれません。
描かれているものを指でさす
そういった行動がみられたら、言葉で反応してあげましょう。たとえば、いちごの絵を指さしたら「いちご、おいしそうだね。今度食べてみる?」などと声をかけます。
自分の示したものに親御さんが反応してくれたことで、お子さんは、自分の意図を理解してくれたことに喜びを感じます。これを繰り返すことで、お子さんは少しずつ、コミュニケーションをとることが楽しくなっていくのです。
同じ絵本を繰り返し読んでほしいと言う
しかし、低年齢のうちは、たくさんの絵本を読んであげるよりは、お気に入りの絵本を見つけてあげて、何回も読んであげたほうが効果的です。
お気に入りの本は、大好きな友達と同じ。聴覚が優位の低年齢の時期は、親しみのある人の声から同じ言葉を繰り返し聞くことで、より物事への理解を深めることができます。