内気なオオカミさんのところにやってきたお客さんの正体とは?
第46回講談社絵本新人賞受賞作は、誰でも読める「コミック絵本」!
受賞作家・鹿毛トモタロウさんによる、絵本制作日記の第6回(最終回)です。

これまでの日記
まずはあとかたづけ
制作中の3ヵ月間、置き場がなくて床に置いていた下絵をしまったり(とりあえず絵本が完成するまでは捨てずに保管)、机に飛び散らせていた絵の具をこすり落としたり……。
あとは、原画に使用した紙の切り落とした部分を、手製のスケッチブックに仕立てたりもします。 メモ帳程度の大きさにして、らくがき、インクや絵の具の試し塗りをしたいときに使っています。
厚紙と単語帳のリングで作ったスケッチブック(写真提供 鹿毛トモタロウ)
描いているあいだのこと
そんな心象風景が受賞後は一変し、作品を新しく描き直している期間中は広大な土地を開拓しているように感じました。
外だ! 空も風もある!
一日コツコツ作業してくたびれても、充実感に満たされていました。
そして、毎朝、自分の机の上に置かれている、これから絵本になる予定の絵を不思議な心地でながめていました。 そんな大事な物が自分の机の上に? 本当? という具合です。
絵本が到着!
本当に、本当の、本になっている!
まずは無事完成したことにホッとし、それから中身をチェックしました。
制作期間中、色校という段階がありました。本に実際に使う紙とインクで、色味を確認したり、調整をしたりする段階です。色校の中で、細かな調整を行っていくのですが、その際、黒い部分の塗りムラが少し気になっていました。
実物では、この部分もきれいに仕上げられていました! 他にも、ピンクなど印刷で再現しにくい色がありましたが、こちらも良い具合に原画に近い仕上がりになっています。
到着した「オオカミさんのおきゃくさん」(写真提供 鹿毛トモタロウ)
というのも、今回の絵本には、巻末の見返しにおまけのマンガがあるのです。最初はこのおまけを、カバーを取ったら現れる絵本の表紙に印刷できないかと担当編集者さんに相談していました。 しかし、担当編集者さんからは、「カバーと本体は同じデザインの印刷にしたほうがいいと思います」と、逆に提案をもらいました。どうやら、図書館などでは、カバーを取ることも多いため(確かに!)、カバーと表紙を同じにしておいたほうがいいとのことです。
絵本を作ってみて
ざっと思いつく範囲だけでも、編集者さん、デザイナーさん、校閲者さん、印刷所の方々、製本所の方々、営業の方々、運送の方々、書店員の方々……。一冊の本のために、非常に多くの人の力が必要です。 このことを知ってから、本屋に入るたび、すべての本の前にひれ伏したい思いにかられています。
最後に
本は読むためのもの。自分が書くものではなく、誰かが書いた文章に絵をつける。
そういう将来を想像していました。だから、過去の自分に今現在のことを伝えたら
絵本を描いているの!? 自分で???
と驚くことでしょう。だけどきっと、「それもいいかもね!」と、言うとも思います。
改めて、審査員の先生方、編集部の皆さん、担当編集者さん、ありがとうございます!
今回、絵本を作るという素晴らしい機会を与えてくださったことを心から感謝します。
そして、この制作日記を最後までお読みいただいた皆さん、ありがとうございました!
おまけのメモ
その1
ラフと下絵は絶対に捨てずに必ず手元に残しておきましょう。 これらを参考にしつつ絵本の修正作業が進んでいくので、これ、とても大事です。
その2
原画にトレーシングペーパーを固定する際、セロハンテープではなくマスキングテープを使いましょう。 セロハンテープは剥がれたときに他の紙にくっついてしまいます。
その3
地方にお住まいの方は、オンライン上で編集者さんと打ち合わせをすることになると思います。 例えば、パソコン1台のほかにスマホやタブレットなど、通信手段は複数あったほうが安心です。ひとつだけだと打ち合わせ直前に機械が気まぐれをおこし血の気が引く思いを味わう場合があります。
老婆心ながら、参考になれば幸いです!


































鹿毛 トモタロウ
1983年生まれ、札幌出身。個展等でイラストの制作を行う。第46回講談社絵本新人賞受賞。
1983年生まれ、札幌出身。個展等でイラストの制作を行う。第46回講談社絵本新人賞受賞。