【1分で読める】奴隷解放に力をつくした黒人女性ハリエット・タブマン
『決定版 心をそだてる はじめての伝記101人[改訂版]』1話(ハリエット・タブマン)試し読み
2022.12.05
ハリエット・タブマン
(子どもがうまれても、その子も奴隷。市場で売られて、家族はばらばらに……。)
奴隷は人間あつかいをされません。朝から晩まではたらかされ、奴隷主のつごうで家畜のように市場で売り買いもされます。ハリエットも6さいで親からひきはなされました。当時、そんな黒人奴隷が400万人もいました。
ハリエットは夫のジョンにいいました。
「ペンシルベニア州へにげましょう!」
じつは、北どなりのペンシルベニア州は、奴隷制度がない自由州だったのです。
ところが、ジョンはことわりました。
「しっぱいしたらどうする。どんなひどいめにあわされるか、わからないんだぞ。」
それから5年ほどたった、ある日。ひとりの白人女性に声をかけられました。
「こまったことがあったら、たよってくださいね。ここからにげたいときも……。」
女性は奴隷制度に反対し、奴隷を自由州へにがす組織『地下鉄道』のメンバーでした。
地下鉄道といっても、レールや列車があるわけではありません。逃亡奴隷をかくまう家を「駅」、そこでお世話をする人を「駅長」、にげ道をおしえたり、次の駅まで案内する人を「車掌」とよんでいました。
(いまこそ、にげるときだわ! たとえひとりでも!)
ハリエットは160キロメートルさきのペンシルベニア州にむかいました。移動はほとんど夜。逃亡奴隷にかけられた賞金をねらって、悪者がおいかけてくるからです。
1週間後、ハリエットは、地下鉄道のたすけで、自由州にたどりつきました。
けれども、それで満足はしませんでした。
「こんどは、わたしがたすける番よ!」
ハリエットは地下鉄道のメンバーとしてのかつどうをはじめました。そして奴隷制度がなくなったあとも、差別にくるしむ元奴隷たちをたすけつづけたのでした。
文:石崎洋司
20年もの間売れ続けている伝記アンソロジーのロングセラーを全面改訂。子どもたちに、いま出会ってほしい、101人の物語を収録しました。
【知識と心を豊かにする5大特色】
●「子どもが共感できる」人物・エピソードを厳選。
●いっしょに読むとさらに楽しい!「親子」のエピソードも多数収録。
●一流の作家・画家による質の高い文章と絵で小さい子どもにも読みやすく、心にのこる物語に仕立てています。
●業績をコンパクトにまとめたコラムつき。写真資料もあり、子どもの質問におうちの方が答えることができます。
●すべての漢字にふりがなつき。興味をもったら何度も自分で読み返すことができます。
【主な収録人物】収録順 ☆=改訂版で新たに加わった人
<愛と平和のためにつくした人>
☆杉原千畝/マザー・テレサ/☆中村 哲/ナイチンゲール/シュバイツァー
<おどろくべき発明で人々の生活をかえた人>
☆スティーブ・ジョブズ/エジソン/フォード/ライト兄弟/豊田佐吉/☆糸川英夫
<すごい発見・研究をした人>
マリー・キュリー/☆ダーウィン/アインシュタイン/ノーベル/ニュートン/ガリレオ・ガリレイ/☆北里柴三郎
<くるしくてもきぼうをすてなかった人>
ヘレン・ケラー/野口英世/ベートーベン/アンネ・フランク/☆ルイ・ブライユ
<みんなのリーダーになった人>
坂本竜馬/リンカーン/☆渋沢栄一/ガンジー/徳川家康/☆ハリエット・タブマン/豊臣秀吉
<ひとつのことをやりとげた人>
植村直己/ファーブル/津田梅子/福沢諭吉/☆牧野富太郎/本田宗一郎/☆田部井淳子/☆金栗四三
<芸術・文化をうみだした人>
レオナルド・ダヴィンチ/☆アンナ・パブロワ/サン・テグジュペリ/滝 廉太郎/☆知里幸恵/手塚治虫
<もっと知りたい>
紫式部/☆岡本太郎/☆柳 宗悦/葛飾北斎/☆古関裕而/☆アメリア・イアハートほか
*カバー絵 佐竹美保
*文 石崎洋司/立原えりか/間所ひさこ/岡田好惠
*さし絵 伊野孝行/永田 萠/平澤朋子/牧野鈴子/沢田としき/紙谷俊平/大島妙子/ささ やすゆき/青山邦彦/瀧原愛治/牛窪良太/狩野富貴子/サクマユウコ/樋上公実子/東 逸子/谷 小夏/佐竹美保/丹地陽子/野村たかあき/笹尾俊一/吉田友和/田中六大/二俣英五郎/銀杏早苗/坂口友佳子/篠崎三朗/角しんさく
幼児図書編集部
絵本をつくっている編集部です。コクリコでは、新刊の紹介や作家さんのインタビュー、イベントのご案内など、たのしい情報をおとどけします! Instagram : @ehon.kodansha Twitter : @kodansha_ehon
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