5000万年前の歩くクジラ 古生物復元画家が描く「クジラの先祖」がスゴすぎ!

SNSでも話題の最新のクジラの進化の絵本をたっぷりお見せします!

画家・イラストレーター:小田 隆

5000万年前のクジラの仲間パキケタスなどの化石種とともに、いま生きているクジラたちがひとつの世界に!
『クジラの進化』(文:水口博也 絵:小田 隆 監修:木村敏之)のカバー絵より
「絵がスゴすぎる!」と刊行前からSNSなどで評判になっている『クジラの進化』(22年9月1日刊行)という科学絵本があります。

なかを見れば、確かにだれもが驚くスゴい迫力! はじめて見る不思議な生き物や、だれもが知っているシロナガスクジラなどが目の前にいるかのように描かれています。

この絵を手がけたのは、小田隆氏。だれも見たことがない(化石なんですから当たり前)生き物を「リアルに」描くという難題に挑む、古生物復元画家です。

このスゴい絵をひとりでも多くの人にお見せしたい! とお願いしたところ、ご快諾いただきました。

5000万年のクジラの進化の旅をたっぷりお楽しみください!

*全ページ公開は、2022年9月4日23時59分で終了いたしました。ご覧いただきありがとうございました。

古生物復元画家 小田隆氏からのメッセージ

これまで多くの古生物の復元画を描いてきましたが、それらを観察して描くことは不可能です。化石でしか残っていない生物の姿を、研究者とともに科学的に復元する作業は楽しいですが、どこまでいっても正解のない世界です。

今回の『クジラの進化』にも数多くの化石種が登場します。現代のクジラを知っている私たちにとっては、それほど大きな違いを感じないかもしれませんが、地上を歩いていた種や水辺と陸地を行き来していた種など、今のクジラたちとは全く違う生態を持ったクジラの祖先たちの姿を想像することはとても難しいと思います。

では現代のクジラたちの形態や生態を、私たちはどれほどわかっているのでしょうか?

この本でも深海でダイオウイカを捕食するマッコウクジラや、オキアミの群れを飲み込むシロナガスクジラの姿が描かれています。マッコウクジラは光が全く届かない海中で、巨大なダイオウイカを捕食しているとされていますが、それらがカメラに収められたことはありません。クジラが海岸に打ち上げられて死ぬことがありますが、地上の重力の影響で自重に耐えられず、生きていた時の姿を留めることは難しく、間近で観察できても正確な生きた姿を捉えることはできないでしょう。イルカなどの小型のものは水族館で観ることもできますが、マッコウクジラやザトウクジラ、シロナガスクジラを人工的に飼育することは、実現できていません。

この絵本に描かれたクジラは、化石種、現生種含めて、たくさんの想像が含まれています。それでも出来る限りリアリティを感じてもらえるよう、研究者の木村さんとディスカッションしたり、作者である水口さんからヒアリングしたりして、生き生きとしたクジラの姿を描くことを目指しました。

科学はこれからも新たな発見を積み重ねていきます。数年後にはこの絵本で描けなかった事実がわかってきているかもしれません。この本に全ての化石種、現生種が登場するわけではありませんが、最新の研究に基づいた現時点でわかっているクジラの進化について、楽しく知ることができる1冊だと思います。

2022年7月22日
小田 隆

『クジラの進化』をたっぷりご覧ください!

クジラの5000万年の壮大な進化の歴史を構成、文章を担当したのは、クジラやシャチなどの写真や著作で著名な水口博也氏。(『世界で一番美しいシャチ図鑑』などで有名ですね!) 

さらに、古代鯨類の研究者である木村敏之氏(群馬県立自然史博物館)に、クジラたちのプロポーションから生息環境まで監修を受けつつ、小田隆氏が長い時間をかけて描きあげた絵の数々をごらんください。
扉絵は、パキケタスとシロナガスクジラ。
『クジラの進化』(文:水口博也 絵:小田 隆 監修:木村敏之)より
これがクジラの祖先のパキケタス!
『クジラの進化』(文:水口博也 絵:小田 隆 監修:木村敏之)より
パキケタスがクジラの仲間であることがわかった耳の骨(鼓胞室)の絵についても、なんども打ち合わせがあった。
『クジラの進化』(文:水口博也 絵:小田 隆 監修:木村敏之)より
陸に住む生き物でクジラに近いカバから、クジラの化石種、シロナガスクジラまでが顔をつきあわせて鼻の穴の位置を見せている。
『クジラの進化』(文:水口博也 絵:小田 隆 監修:木村敏之)より
少し怖いイルカといった風貌のスクアロドンの狩りのようす。
『クジラの進化』(文:水口博也 絵:小田 隆 監修:木村敏之)より
クジラの進化の広がりがひと目でつかめる系統樹のデザインは、坂野 徹氏が担当。どこで枝分かれするのか綿密に検討され、美しくデザインされている。ペン画のクジラたちが美しい。
『クジラの進化』(文:水口博也 絵:小田 隆 監修:木村敏之)より
だれも見たことがない、リビアタンとメガロドンの戦いを活写!
『クジラの進化』(文:水口博也 絵:小田 隆 監修:木村敏之)より
この迫力! この位置からシロナガスクジラを見た人はいない!
『クジラの進化』(文:水口博也 絵:小田 隆 監修:木村敏之)より

古代クジラを愛する3人が長い時間をかけて作りあげた科学絵本

『クジラの進化』
文:水口博也 
絵:小田 隆 
監修:木村敏之(群馬県立自然史博物館) 
装丁・本文デザイン:椎名麻美
系統樹デザイン:坂野 徹
小田 隆(Takashi Oda)
三重県生まれ。東京藝術大学美術研究科修士課程修了。専攻は油画と壁画。博物館のグラフィック展示、図鑑の復元画、絵本などさまざまな分野で活躍。京都精華大学マンガ学部教員。SVP会員、日本古生物学会会員、美術解剖学会会員、なにわホネホネ団団員。
おだ たかし

小田 隆

Takashi Oda
画家・イラストレーター

三重県生まれ。東京藝術大学美術研究科修士課程修了。専攻は油画と壁画。博物館のグラフィック展示、図鑑の復元画、絵本などさまざまな分野で活躍。京都精華大学マンガ学部教員。SVP会員、日本古生物学会会員、美術解剖学会会員、なにわホネホネ団団員。

三重県生まれ。東京藝術大学美術研究科修士課程修了。専攻は油画と壁画。博物館のグラフィック展示、図鑑の復元画、絵本などさまざまな分野で活躍。京都精華大学マンガ学部教員。SVP会員、日本古生物学会会員、美術解剖学会会員、なにわホネホネ団団員。

みなくち ひろや

水口 博也

Hiroya Minakuchi

写真家・ジャーナリスト。大阪府生まれ。京都大学理学部動物学科卒業。海棲哺乳類を中心に、写真集や写真絵本、書籍など多数手がける。写真集『オルカ アゲイン』(1991)で第22回講談社出版文化賞写真賞受賞。写真絵本『マッコウの歌 しろいおおきなともだち』(2000年)で日本絵本大賞受賞。

写真家・ジャーナリスト。大阪府生まれ。京都大学理学部動物学科卒業。海棲哺乳類を中心に、写真集や写真絵本、書籍など多数手がける。写真集『オルカ アゲイン』(1991)で第22回講談社出版文化賞写真賞受賞。写真絵本『マッコウの歌 しろいおおきなともだち』(2000年)で日本絵本大賞受賞。